自然堂治療室・相談室のPROFILE治療者と各種治療法の紹介

フォーカシング

 

カール・ロジャースの弟子だったユージン・ジェンドリンが、1950年代に、カウンセリングの成功の鍵はカウンセラーの態度よりむしろ、クライエントの(実感にふれた)話し方にあることを発見し、ロジャースのいう「体感」あるいは「体験過程」にもっと積極的に焦点を合わせる(フォーカシング!)方法へと洗練させたものです。これに伴ないフォーカシングでは、カウンセラーは「リスナー」、クライエントは「フォーカサー」と呼ばれます。

ここでは自分が気になっている事柄について、明確な言葉になりきらない、からだの内部におこる複雑な感覚(「フェルトセンス」)を重視し、性急に概念化することを避けて、その実感を大切にしてゆきます。「フェルトセンス」は、ジェンドリンによれば、その人のプロセスの「次なるものの暗示」だからです。そこで、その実感とフォーカサー自身が一緒にいられるように、リスナーがやさしく温かい態度でプロセスについてゆくと、問題の事柄について、ある実感を伴なった気づきの瞬間(「フェルトシフト」)に到ることがあります。そのときには深い解放感とリラックスが得られるのですが、皮膚電気抵抗や瞳孔反射や脳波にも生理学的な変化が現れることが確認されています。

そのつどの「今・ここ」で、何が正しいのか、どうするのが妥当なのか、身体はすべて誰よりもよく知っていて、身体の実感がそれを教えてくれるのです。これは、身体療法において操体法が行っていたのと同じことを、心理療法において行っているといえるでしょう。

このようにフォーカシングの方法は、微妙な身体感覚にコンタクトするうえで非常にすぐれているので、自然堂ではこれを、ゲシュタルトセラピーなど他の心理療法をもっときめ細かくしようとする場合や、さまざまの身体療法のプロセスが心理療法へと発展してゆく場合に、不可欠の手段として役立てています。特に「クレニオ・セイクラルセラピー」との組み合わせは、今や自然身心療法の定番です。

 

<もっと知りたい人のブックガイド>

E・ジェンドリン 『フォーカシング』福村出版、1982年。

アン・ワイザー・コーネル 『やさしいフォーカシング』コスモス・ライブラリー、1999年。

池見 陽 『心のメッセージを聴く』講談社現代新書、1995年。

村瀬孝雄ほか 『フォーカシング事始め』金子書房、1995年。           

 

ほか多数。

 

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