韓国旅行その7
2002
15日〜19
日付内容行き先
動機+準備消化試合隣の県など
1日目2002.04.15不安と期待仁川、金浦、東大門
2日目2002.04.16予想以上の充実九宣、新竜山、三成、九宣、新堂
3日目2002.04.17オーバードライブ東廟、三成、蚕室(?)、麻浦
4日目2002.04.18心は楽に市庁、南大門、明洞、考昌公園、新竜山、明洞、新竜山
5日目2002.04.19早過ぎる人達市庁、金浦、仁川

4月16日(火)

 夜中に何度も目覚める。良く寝たと思ったら、午前2時過ぎだったり。激しい雨に今日の予定が心配になる。午前5時25分、余りにも早いと思ったが、部屋の電気をつけて起きた。ジュースを飲む。咽が乾いたのも起きた理由。コップを洗い、ついでにトイレ。

 トイレから戻って昨日の晩、洗ったTシャツと靴下を見ると、すっかり乾いていた。オンドルパワーなのか。とても便利だ。でもこの明け方の時間は、床の温度が下がっている。気温が高かったせい?

 TVをぼーっと見る。BS1でニュース。朝食はホテル前の食堂で取ろうと思うが、上手く注文できるだろうか?外の雨音は静かになったが、降っている様子。窓の外はフレヤタウンの電気が消えている。東大門が1番静かな時間かもしれない。ニュースは世界の話題に。うーむ、フォルクスワーゲンの1リットルカー(実際はもっと低燃費らしいが)はかっこいい。スーパーカーみたいだ。天気予報がはいった。今日はやはり雨模様と言ってる。

クラクションも聞こえない。6時17分。ビデオカメラを窓の外へ向け、様子を報告する。やっと明るくなってきたが、まだ薄暗い。でも雨の様子が判った。これは傘がいる。おいおい、網戸にピントがあってどうする?

 網戸越しで見づらいが、ずいぶん前に来た、孫悟空というメーカーの事務所が見える。ここだったのか。ずいぶん近い。他にタミヤマーク、バンダイと書いてある建物も見える。…タミヤ・ラジコンプラスチック。韓国語を飛ばして読んでいるのが間抜けだ。何とか問屋の地図、作れないだろうか。おっ、雨が大分止んできたのではなかろうか?

 予定通り地図を作成するためにビデオカメラを手に外へ出てみたが、傘の必要性を実感しただけだった。TVを見ながら、単語帳で韓国語で傘を調べる。「ウサン」というのか。これで売っている場所を聞くことが出来る。チャンネルを調べていると8chに僕の好きなKBSが入っていることが判った。

食堂での攻防

 実はあまり食欲がない。でも体力を維持するために朝食を取るべきである。ビデオカメラを持って出る。フロントで傘を売っている店を聞こうと思ったが、この周りはまだ営業していないので、聞いても無駄と判断。食堂は、近くにやっている店はないだろうか?なければフレヤタウンのロッテリアまで足を伸ばさなければならない。

 昨日ホテルにチェックインするときに見かけた、隣の食堂の扉が開いている。昨日と違ってお客さんが1人も入っていない。準備中なのか?でも開いているのだから、やっているのかもしれない、と思いなおし、店の外に書いてあるメニューに神経集中、韓国語を読む。お粥を食べたいのだが韓国語でお粥を意味する「ジュク」という文字が見当たらない。「タン(湯)」という煮込み料理を意味する文字はたくさんあるのだが。カルビの文字もないので、焼肉料理はない様子。煮込み料理専門店なのか?

 前(韓国その5)メニューにないのに言ったら用意してくれた、というのがあったのでここでも通じるだろうと店に突入した。店はテーブルが3つくらいで小さく、2階に上がる階段があった。おばさんが1人でやっているみたいである。「お粥、ありますか?(韓国語)」と聞くが、はぁ?といった表情。ないのなら、と「お粥にしてください。(韓国語)」と言ってみたが無理なようだ。前に可能だったのはたまたまだったのだろうか?仕方ないのでメニューを見て別のものにしようと思う。外に書いてあったメニューに価格が書かれていないので、ぜひ正式のメニューを見る必要がある。メニューを見せて…と言いかけたところで、階段上り口の壁にメニューが張り出しているのを発見。店の人に「メニューですか?(韓国語)」と確認。

 メニューで僕が知っているものは4つあった。「シッケ(米で作った甘い飲み物)」「ソルロンタン(牛肉・内臓・骨のさっぱり煮込み)」「カルビタン(カルビのさっぱり煮込み)」「ビビンバ」である。シッケは論外として、ソルロンタンやカルビタンは朝食で食べるには高い(15,000Wくらい)ので、ビビンバに決定。それでも6,000Wだ。ロッテリアのほうが良かったのだろうか?注文してビデオに報告。8時8分。おばさんの調理を観察。

手前の器の直径は30cmくらい。

8時13分。こんな感じのメニュー。この後ご飯があたるはず。トルソ(石焼)でないのが残念だが、メニューにないのだからしょうがない。「いただきます。(韓国語)」と手を合わせてから(日本のTV番組で覚えました。)、キムチ類をつまむ。唐辛子のキムチを避け、白菜キムチを中心に。辛いけどコクがあって美味い。ぐぐっ、口内炎にしみる。でも思ったほどではない。またおばさんが運んできた。

ぐつぐつと煮えたぎっている。
ペ「あっ、スープ付だっ。


あっ、ご飯が赤いっ。ご飯が赤いぞぉっ」

スープは海苔がベースで、ご飯は赤飯風で山盛り。これはお徳かも。

 「ごちそうさまでした。(韓国語)」満足。おばさんもにっこり。8時37分。食べ終わってビデオに報告。スープとビビンバで量が多かった。しかも支払いのとき分かったのだが、これで300円(3,000W)だったのだ!メニューに書いてあるのより圧倒的に安かった。なぜかはわからないが、モーニングサービス?これはこれから使えるかも。価格の違いは深く考えないことにする。ホテルに戻る。後チョさんが来るまで20分ほど。どきどきしてきた。

しくしくっキュー

 歯を磨きながらTVを見ていると、しばらくして体に異変が生じた。腹痛である。もうすぐチョさんが来るというのに、これはまずい。深刻な事態だ。原因は永年の経験で判ってる。緊張から来るストレスで、痛くなってしまったのだ。頭では、初めて会うというのを何でもないことだと思っていても、体はそうではなかったらしい。出すものを出せばすっきりするのでは、とトイレにこもる。

 トイレ内。全く期待していた効果が出ない。がんばっても出ない。もう10分だ。このまま膠着状態が続いている間にチョさんが来てしまったらどうしよう?トイレの中から「はーいっ」って、あまりに情けないぞ。

 あきらめた。韓国で便秘(?)になったのは初めてだ。いつもは昨日食べたものが必ずつるんと出て入ってくれるのに。僕は毎日のタイプなのでこれは気持ち悪い。ベッドで横になる。TVを見てるが、全く気が入らない。チョさんが来たら、最初の挨拶は日本語がいいのか韓国語がいいのか、初めて電話したときと同じようなことを考えた。

 約束の9時。チョさんはまだ来ない。僕のように遅れたのか、道に迷っているのか。僕の作成した地図が少し実際と違っていたのも心配。いや、ホテルに来ているものの、部屋が見つからないのでは。などといろいろ考えた。

 TVでKBSを見ていたのだが、日本人の部屋、というのを判りやすくするためにBS1にして待つ。まずは部屋でくつろいでもらったほうが良いのだろうか?出発したら最初に両替に行かなければならないことを伝えないといけないし。思考が巡る。

舞い上がる

 9時30分頃、ドアをノックする音。ー来た!「はーい」といってドアを開けると、おとなしそうな男の人が立っていた。手に傘を持っているのが目に入り、外の雨はまだひどいのだろうか?と思う。

チ「ペルシャたろーさんですか?」
ペ「はい。チョさんですか?」
チ「どうも、初めまして」
ペ「初めまして!」


 チョさんの流暢な日本語に、韓国語で挨拶することは完璧に頭の中から排除された。遅れたお詫びをするチョさんに、いえいえなどと会話してると、

チ「ちょっと、中はいっていいですか?」
ペ「あっ、どうぞどうぞ。(笑)」

 中に入ってくつろいでもらう、というを忘れていた。荷物が乱雑な部屋を見て彼は何と感じてるであろうか。もっとも、僕の自宅の部屋も同じく乱雑だから、僕自身が良く現れているといえるかもしれない。

 チョさんは入るなり、遅れた理由を話し出す。東大門の問屋街に来るのは1年ぶりらしく、道に迷ったとのこと。早速自作した名刺を渡した。チョさんはそれを財布にしまう。そして僕は持ってきたガンダムエースとガシャポンを渡す。お礼を言うチョさんに税関でのエピソードを話した。笑うチョさん。チョさんも以前、税関でトラブルがあったらしい。チョさんは僕が立て替えた分のお金(僕も品物をリクエストしていたので、正確にはその差額分65,000Wほど)を封筒で渡してくれた。これで当面のお小遣いになる。

チ「雨、ひどいですね。今日の予定、どうしましょうか?」

 窓を見るチョさん。僕は、どうしましょうかって、編集部と約束してるんじゃ…、でも天気が悪いと都合が悪いのだろうか、そう言えば編集部がどこにあるのかも知らない、と思考がぐちゃぐちゃ。

ペ「じゃ、少しここで雨が収まるのを待ちます?」

 と、いうと、

チ「でも出発しないと始まりませんからね」
ペ「じゃあ、行きますか?」
チ「でも、雨降ってますからね」


 どっちやねん!と頭の中で突っ込む。結局、予定通り出発することになった。チョさんは傘以外なにも持っていなかったので、僕のリュックにガンダムエースとガシャポン、他にスチルカメラとビデオカメラを収納して背負う。傘を買わないといけない、とチョさんに言うと、途中で買えますから、と相合傘で出ることになった。

チ「傘、ちょっと恥ずかしいんですけど…」

 部屋の出口で見せられた傘は真っ黒。それに赤く丸いワンポイントが。

「あっネルフだ!!!(笑)」
チ「これしかなかったんですよ。(笑)」

 ネルフ、とは「新世紀エヴァンゲリオン」の国連直轄の超法規組織、特務機関NERVのことである。そのマーク(半分に分割された無花果に英語でGOD'SINHISHEAVEN.ALLRIGHTWITHTHEWORLDと入る。)が傘に!まあ、目立たないし、マークのセンスも悪くないから。でも予想にたがわず筋金入りである。

ペ「写真で見るより(チョさんは)小さいんですね。(笑)」
チ「太ってるでしょう?(笑)」
ペ「いえ、全然」


 180cmくらいあると思っていたのだ。だが、165cmの僕より10cmくらいしか高くない。太っている、と言っているが、日本にはもっと太っている人をいくらでも知っている。チョさんはぽっちゃり程度ではないか?Y岸のほうが太ってる。階段を降り、外へ出た。今朝よりも弱いけれど、雨が降っている。

アジア1だと

 僕が傘を持ち、チョさんが濡れないようにしながら水槽通りを東大門方向へ歩く。地下鉄で移動するのだ。今の時間からなら、テクノマートの開店にちょうど良いのではないか?歩きながら、仁川空港の話をする。チョさんによると仁川空港は埋め立てて作った空港で、日本で言うと関西国際空港に当たるようだ。建設中の建物が多かったのも、そこで働く労働者のためだとか。今発展してきている場所、なのだ。僕が東大門までに要した時間を聞いて驚いていた。チョさんはまだ新空港を利用したことがないらしい。

チ「5号線に乗りましょう」
ペ「こっちにいくと1号線ですけど。または4号線」
チ「どっちでもいいです。(笑)」


 この辺りは僕のほうが詳しいようだ。チョさんがさっきの続きですけど、と税関のエピソードを話し出す。

チ「ペルシャたろーさんと同じように、ある人にガシャポンを送ってもらったことがあるんですよ。その1部が取られてしまって…、あ、ある人、というのは半田さんなんですけどね。(笑)」

 そんなこともあるんだ。と思いながらキップ売り場へ。

チ「(日本で)僕みたいな歳で(おもちゃを)買ってる人、いないでしょう?」
ペ「いえ、いっぱいいますよ。僕の店でもガンダムプラモ買って行く人のほとんどが30代ですから。(笑)」
チ「信じらんないですね。(笑)」


 僕がキップを買おうと財布を取り出すと、チョさんは切符を2枚持っていますから、これを使ってください、と僕にくれた。チョさんは定期券で「検札器を通過」した。そう言えば、東大門に来るときも見かけていたが、皆、検札器に定期券を「かざして」通っている。どうなっているのかとチョさんに聞いてみると、クレジットカードに定期券の機能を持たせているのだという。カードのICで個人情報を検札器が読み取り、口座に反映させるシステムなのだ!今は全部この方式で、クレジットカードに手続きは必要なものの、運賃の割引もあり(地下鉄の場合、利用ごとに50W引きになる)便利なので、かなり普及しているらしい。

 驚いた。定期券を検札器に「通す」のではなく「かざす」だけ。これなら立ち止まる必要もない。このシステムは進んでいる!日本よりも進んでるのではないか?少なくとも僕の住んでいる北陸一帯では目にしたことはない。日本がアジアで1番進んでいる、と思う心がなかったか。実は僕の中には、どこかアジアの他の国をさげすむ心が残っている。日本がアジアの中で唯一の先進国だから他の国は遅れていて当然だという思い。大好きな韓国ですら、少しそう言う気持ちがあったと思う。でも現実に体験すると、そんなことは僕の幻想である、と「実感」するのだ。

探り合い

 ホームへ降りる階段で、チョさんが昨日から寝ていない、といった。そう言えば、最近来るメールの時間は全て深夜か明け方だ。ご多分に漏れず、「物書き」の仕事をしていると昼夜逆転生活になってしまうのだな、と思う。

列車が到着して乗り込む。そして2号線に乗り換え。席が1人分しか空いてなかったので、立っていようかと思ったが、チョさんに勧められたので座った。こういうとき、遠慮してはいけない。チョさんは儒教の習慣をちゃんと持っているので、年上には絶対に失礼なことをしないのだ。

 しばらくして僕の隣の席が空いたのでチョさんも座る。黙って座っているのが耐えられなくなったので、話題を探りながら聞いてみた。

ペ「日本の大学に留学していたんですよね。なぜ日本を選んだんですか?」

 特にチョさんが行こう、と思った頃はまだ偏見が強かったと思う。だから余計興味があった。

 つづく。
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