Mars
火星
公転周期:686.98日
軌道長半径:1.524天文単位
赤道半径:3396km
質量:地球の0.1074倍
密度:3.93
自転周期:1.026日
ここでは2020年、準大接近時の火星を8月20日から紹介します。
2020年、2年2ヶ月ぶりに地球が火星を追い抜き、双方の距離が縮まる時期が来ました。前回2018年はおよそ15年おきに起こる大接近。その距離は地球から5759万km。今回2020年の接近はそれよりもやや距離が離れた準大接近というべきものになります。接近の距離は6207万km。最接近は2020年の10月6日。以下、2020年の8月20日のスケッチから開始。
左は8月20日、3:55〜4:05の火星。火星の中心は南緯20度、経度230度のあたり。左から中央下へ下がるのはキンメリア人の海(Mare Cimmerium)。右から中央上へ上がるのはチュレニーの海(Mare Tyrrhenum *スケッチでは間違ってCimmeriumと書いてしまっている)。右上の明るく広い領域はヘラス。下には大シルチスが広がっているはずですが、朝靄でかすんでいるのか見えません。
中央は8月24日、2:20〜30の火星。中央の経度は160度ぐらい。中央左にシレーンの海(Mare Sirenum)、その右にキンメリア人の海(Mare Cimmerium)が見えています。
右は8月26日の火星で中央の経度は130度。中央斜めに伸びる暗い模様がシレーンの海。その右に波打つように続くのがキンメリア人の海。シレーンの海の下側(方位でいうと北側)にはやや明るい領域があり、その下側がやや色が濃い。火星の下端は薄雲に覆われて白くなっています。こちらから見て火星の南の極冠が見えているように、火星は現在、南側を太陽に照らされていて、下側(北半球側)は低く照らされている状態。つまり北半球が冬。具体的にいうと地球時間で2020年9月2日に火星の北半球は夏至を迎えます。このように寒い北半球、高緯度の冷えた上空(画面でいうと下側)は雲がかかった状態となります。
左は8月26日 3:35の火星 中央の経度は164度。火星中央を横切るジグザグはシレーンの海とキンメリア人の海。上に見えるのはクロノスの海(Mare Chronium)
中央は8月27日、2:30の火星。 経度は130度。 中央に見えるのはシレーンの海。画面左上、南半球の夕暮れ部分が白く、どうも雲がかかっているらしい。
右は8月27日の10:40、つまりは22:40の火星。火星は空にあがって間も無く高度が低い分、気流は悪い状態。スケッチ下の概略図では中央の経度を73と書いているけども、実際には60度ぐらい。さらに模様の同定にも誤りがあって、おそらくは中央の暗い部分アーロラ湾(Aurorae Sinus)。その右側に伸びている暗い帯がおそらくは太陽湖(Solis Lacus)
左は8月28日、1:45の火星 中央の経度は120度。真ん中右寄りの黒い帯はシレーンの海。シレーンの海は左が垂れたへの字型で、その先に斜めになったかすかに暗い部分が見えます。このあたりはゴルジーの結び目(Nodus Gordii)とか、ユリシーズの水路(Ulysses Fossae)など模様がいくつかあります。位置的には三つの連なる大火山、タルシスの三つの山(Tharsis Montes)のあたりであり、どうもそれを見ているらしい。
昔の人はシレーンの海などが季節ごとに濃淡を変えるので、これを植物群だと解釈し、熱心に観察していました。実際のところこれらは単なる地表の色の違いであり、地形を反映してすらしていません。その一方で実際の地形である大火山は模様としては目立たず軽視されていたわけで、感慨深いものがあります。
真ん中は8月28日、3:45の火星。火星の中央を東西にシレーンの海が伸びています。その下側の北半球には三角型の色がやや濃い部分があり、これはアマゾニス地方(Amazonis)。同日の2時間前、1:45に見えていたタルシスの山々は見えていません。気流が悪くなったせいなのか、それとも夕暮れになると山が見えにくくなるのかは不明。
右は8月28日 23:45の火星。中央の経度は100度。スケッチ下の概略図は模様の同定を誤っているらしい。中央やや左の暗い斑点はチトヌスの湖(Tithonius)ではなく、これがおそらくは太陽湖(Solis)。チトヌスの湖やアガトダエモン運河(Agathodaemon)は見えていないらしい。画面左上の夕暮れ部分は白く輝いていて、おそらくはボスポロス海峡(Bosporos gemmatus)あたりに雲がかかっている模様
そして画面中央下、北極地方にかかる白い雲の縁の近くにあるかすかな斑点。これは位置からするとオリュンポス山(Olympus)であるように思えます。
左は8月29日、1:55の火星。中央の経度は120度。模様の同定に誤りがあって、概略図でチトヌスの湖(Tithonius)とされているのは、おそらくは太陽湖(Solis)でしょう。火星の中央右を走る濃い模様はシレーンの海。
中央は右に引き続き2:15の火星。かなり気流の状態が良かったので鉛筆で細部までスケッチしたもの。シレーンの海は左の方(方位で言うと東)に下へ曲がって尖った部分があります。そしてシレーンの海の下に見えるかすかな暗い斑点は、おそらくはオリュンポス山(Olympus)
右はこれまた29日の3:25の火星。中央の経度は150度。シレーンの海が火星中央を横切っており、下に向いた尖った部分の延長線にかすかな暗い領域があります。タルシスの山々(Tharsis Montes)を見ているのかもしれません。その右下の暗い斑点はオリュンポス山かもしれませんがよくわからない。1時間前の2:15のスケッチと位置が変わっていないし、これは別の模様かもしれません。
左は8月29日の早朝4:45の火星。経度は165度。火星の中央を東西にジグザグに横切るのはシレーンの海とキンメリア人の海。シレーンの海の下にかすかな斑点が見えるけども、これはよく分からない。概略図ではオリンポズ山? としているけどもオリンポス山だとしたら位置が上すぎ。あるいは気流の乱れで位置が上にあるように見えたのか、はたまたオリュンポス山とは別の模様なのか...
中央は翌8月30日、5:10の火星。中央の経度は160度ほど。気流の状態が良かったので、パステルのカラースケッチだけでなく、鉛筆画のスケッチも残しています。パステル画は定着させた黄色のパステルの上に観測しながら鉛筆で描いたもの。鉛筆画はパステルのスケッチと記憶に基づいてより具体的に描き起こしたもの。パステルの上に鉛筆は簡単に描ける一方で、細部の描写にやや難があります。だからより細かく描きたい時は鉛筆で描き起こす次第。シレーンの海とキンメリア人の海は縁の色が濃いことが分かるでしょう。
下段右は5:10の火星をさらに概略図として描いたもの。左下のかすかな黒い斑点はオリュンポス山かもしれません。
左は9月2日、4:20の火星。経度は110度。気流の状態は良くないものの、時折、細部まで観察できるので、下段に鉛筆のスケッチを追加。真ん中は続いて4:45の火星。火星の北半球(下側)の観察に重きを置いています。火星の中央右側のヘの字型の模様はシレーンの海。そのへの字の左、下に向いたとんがりの先にある暗い斑点はタルシスの山々のように思えます。その右の暗い斑点はおそらくオリュンポス山。
なお火星はこのスケッチでは右から左へと自転しています。つまり左側はこれから夜になる夕暮れの部分。この部分が4:45の時点で奇妙に黄土色に見えています。気流のゆらぎでおかしく見えているのかとも思いましたが、後日の観測から考えると、夕暮れの領域が薄暗く、小汚い色に見えることがどうやら原因らしい。言い換えると、この日、この夕暮れの経度では、見た目を白くする雲やモヤ、霧などは発生しなかったことを意味しています。この経度のあたりは太陽湖で、他の日にも白くは見えませんでした。この領域は雲が発生しにくいのかもしれません。
右は2日の10:45、つまりは22:45の火星。台風9号が九州の西を北上中。遠いとは言えども台風に吹き込む空気で気流が極めて悪くて、どこが見えているのかよく分からない。多分、中央の暗い模様はオーロラ湾?(Aurorae)
左は9月3日、0:30の火星。中央の経度は40度。台風の影響で気流悪く、望遠鏡は揺れてよく分からず。中央の模様は多分、オーロラ湾(Aurorae)。火星の左側、夕暮れの経度は黄土色で、見た目を白く染める雲などはないらしい。反対に火星の右側、朝焼けの経度は白く、朝靄がかかっている模様。
真ん中は9月6日、5:00の火星。台風10号が九州の西側を北上中。どういうわけか今年の台風は偏西風を無視するように北上して朝鮮半島へ向かう奇妙なルートを辿ります。そして気流は悪く、望遠鏡は揺れて模様はよく分からない。多分、右側が太陽湖。左の暗い模様がオーロラ湾。左側夕暮れの経度は黄土色で雲がないらしく、右側朝焼けの経度は白く、朝靄がかかっているらしい。
右は9月7日、0:50の火星。星は見れども台風の影響で気流最悪、望遠鏡揺れる。南極冠はやや凹んで見え、中央の経度が30度であることを考えると、このあたりは極冠の溶けがやや早いらしい。極冠の左は少し明るく、このあたりは夕暮れの雲が出ている模様。
またこの時は確信が持てなかったけども真ん中やや右の暗い模様がオーロラ湾で、よく見えないけども左にマルガリータ湾(margaritifer)があります。
前のスケッチに引き続き左は9月7日、2:10の火星。中央の経度は40度。気流は台風のせいで最悪だけども自分が見ているのが本当にオーロラ湾(Aurorae)なのか確認したくて観察継続。するとなにやらカニ状に見える模様を確認。これはオーロラ湾から太陽湖へと広がる右の模様と、マルガリータ湾からパンドラ海峡へと至る左の模様が左右対称に見えているため。
中央右がオーロラ湾(Aurorae)。左がマルガリータ湾(Margaritifer)。オーロラ湾から下方のアキダリアの海へと模様が伸び、マルガリータ湾からはオクススの湖へと模様が伸びている。鉛筆画で詳しく描いたのが下。概略図は描く場所がなかったので、止むを得ず、左右に分割する形で後方に。
真ん中は同じく7日3:20の火星。経度は60度。中央の模様はオーロラ湾。
右は翌日8日、4:10の火星。経度は75度。真ん中の火星よりもやや自転した状態で、左がオーロラ湾。右に太陽湖とその周辺が見えています。火星の夕暮れの経度、下側左に明るい領域があり、ここには夕暮れ雲がかかっているらしい。気流の状態はほぼ最悪。
左は9月8日23:20の火星。中央にサバ人の湾(Sabaeus)の先端である子午線の湾が位置していて、っこが火星のちょうど経度0。子午線の湾の右隣はマルガリータ湾(margaritifer)。火星の左上ヘラス(Hellas)は白くなっていて、雲がかかっているらしい。
ちなみにサバ人の湾は下側(方位で言うと北側)の色が濃いことがわかります。
真ん中は左に引き続いて9月9日、1:10の火星。中央の経度は20度。火星の自転に従って模様は左へ移動。マルガリータ湾が濃い姿を見せてきたところ。興味深いのは気流が悪い視野の中、南極冠の左上がまたたくように明るい白に見えたことで、このあたりに白雲でもかかっていたのかもしれません。
引き続き9月9日、3:05の火星で中央の経度は50度。9月7日の2:10の火星(40度)と見ている経度はほぼ同じ。中央の右がオーロラ湾。左がマルガリータ湾。アントニアジの火星地図を見るとマルガリータ湾は薄く描かれていますが、見た限り、オーロラ湾と同じかより濃く見えます。時代の違いかもしれないし、季節の違いかもしれません。
なお南極冠の下に奇妙に明るい領域が見えましたが、これはアルギューレ2(Argyre II)かもしれませんが、良く分からず。
左は前のスケッチに引き続き9月9日、4:50の火星。中央の経度は70度。夕暮れの経度の中央あたりに白い雲があるらしい。南極冠の下が明るのはアルギューレ2?(Argyre II)。
真ん中は9月12日の0:30の火星。経度は330度。サバ人の湾が中央にあり、左では大シルチスが夕暮れで白い雲がかかっています。一方、画面下の北極領域。ここは現在冬至で冷えており、ずっと白い雲がかかっていますが、この日は奇妙に青く見えました。火星の暗い模様に白い雲がかかると青く見えるので、多分、北半球のこの領域に海などがあって、その上にもやがかかっているように思えます。経度からするとイスメヌスの湖(Ismenius)かもしれません(9月16日4:10を参考)。
右は9月12日、3:50の火星。経度は20度で、中央やや右がマルガリータ湾。オクススの沼(Oxia)の同定に間違いがあって、マルガリータ湾から下のアキダリアの海(Acidalium)へ伸びる細長い模様がオクススの沼。
左は9月12日 4:45の火星。経度は35度。火星の自転に従い、マルガリータ湾は左になり、オーロラ湾が右に見えてきたところ。しかし気流が悪く細部は不明。とはいえマルガリータ湾からアキダリアの海へとのびる模様の様子はわかります。また、火星の夕暮れの経度が黄土色なので、夕暮れ雲などは出ていない模様。また下側、北半球にかかっている雲の白味が強いことに注目。
真ん中は9月12日、23:00の火星。経度は300度。大シルチス(Syrtis Major)が夕暮れを迎え始めており、左下の領域が白く、雲がかかり始めているらしい。一方、大シルチスよりも上の夕暮れの経度は黄土色で雲がかかっていない模様。
右は続いて9月12日、23:45の火星。経度は315度。大シルチスにかかった雲がどうなるのかを見たいために観測続行。大シルチスの縁の雲はより白くなり、さらに青味を帯び始めました。多分、大シルチスの暗い領域にも雲がかかりはじめたように思えます。この後は空が曇って観測不可能に。
なお、左の火星、経度35度の北極の雲が明るいのに対し、真ん中と右の火星(経度300度あまり)の北極の雲が目立ちません。どうも北極の雲は経度によって張り出しがずいぶん違う様子。
以下は9月12日、23:45の火星を鉛筆画で描いたもの
9月12日、23:45の火星を鉛筆で詳細に描いたもので、左の大シルチスから中央へいくに従って模様が狭まり、中央から3本に分岐するように広がります。この狭まった領域の中央付近に濃い斑点があるのに注目。これはイアフィギア(Iapygia イタリアの南東部)と命名された模様ですが、実際の地形でいうと巨大クレーター、ホイヘンス(Huygens 直径467km)と、その周辺に該当します。
左は9月16日、0:20の火星。書いていないけども経度は300度。大シルチスが日没を迎えようとするところなので、夕暮れと雲がどのようになるのかを以下、継続観察、スケッチ。北極の白雲は目だ立ず、火星の夕暮れな経度は黄土色で雲は無い模様。シルティスの左がやや明るく見えるものの、これは目の錯覚かもしれません。例えばより夕暮れに近い領域が暗いので、この場所が相対的に明るく見えるだけかもしれない。
真ん中は9月16日、1:24の火星。経度は315度。大シルチスの左は白く、0:20より明るい感じ。他の夕暮れの経度は黄土色で雲は無いらしい。左の大シルチスから右へ三分岐する模様。その途中のくびれの真ん中にある暗い帯はイアフィギア(Iapygia)で、大クレーター、ホイヘンスとその周辺。。
右は9月16日、2:15の火星。経度は320度。暗い夕暮れの領域に雲がかかり始めたように見えます。大シルチスのあたりは青味がかかっており、多分、暗い模様の上に雲がかかり始めた状態。北極の白雲は前の時間よりも目立ちます。
以上に引き続き左は9月16日の火星で、時刻は3:05 経度は335度。夕暮れの経度は気流が良い時にはオレンジに見えて、雲は見当たらない感じ。夕暮れの大シルチスは明るくなって、盛り上がって見えています。ただしこれは3:10前後の5分ほどだけ。色は灰色であり、白い雲という感じではありません。日没の雲が最後に光を浴びて明るく輝いたのかもしれないし、気流が悪かったので、明るい様子がふくらんで見えただけかもしれない。反対に朝焼け側は全体に白く、モヤがかかっている様子。北極の白雲は明るいものの、輝きが前の時間よりも落ちています。
下段は詳細のために鉛筆画。その右は概略図。
真ん中は9月16日、4:10の火星。経度は350度。夕暮れの経度の雲は消えて色はオレンジ。概略図は右下に図示しています。この後、天気が悪くなったので観測を断念。
左は9月17日、1:10の火星。気流は良くないものの、時々、安定。通常は200倍で観察していたのだけれども、400倍でも観察。経度は305度。火星の中央左はアフリカ大陸のような姿を見せる大シルチス。右の三又に分かれた模様は上からヘレスポントス、パンドラ、サバ人の海。この両者をつなげる中心に小さな帯状の斑点が見えます。気流が良い時には二つの小さな斑点(左がやや大きい)で成り立っていることがわかりました。より詳しい様子を示すため、下段に鉛筆画によるスケッチを描いています。
この二つの斑点からなる小さな帯状の領域がイアフィギア(Iapygia)。注目したいのはこの領域の左すぐ下、ちょうど勾玉(まがたま)をひっくり返したような斑点、勾玉の尻尾がイアフィギアに延びるように存在する暗斑。位置からするとこれこそ火星最大のクレーター、ホイヘンス(Huygens 直径467km)であるらしい。スケッチの右にこの周辺を青灰色で描いた概略図がありますが、ここでは隣接する二つの斑点のどっちがホイヘンスかわからないので、どちらかがHuygensとメモしてあります。
ちなみに火星にはホイヘンスより大きなクレーターもありますが、いずれも盆地(basin)扱いされています。そういう意味でホイヘンスは最大の火星クレーターであり、地球から望遠鏡で確認できる数少ない火星クレーターだと言えるでしょう。ただし、この暗斑はホイヘンス・クレーターの地形を反映したものではありません。ホイヘンスはクレーターの底の一部が、おそらくは玄武岩が露出していて黒くなっており、それが模様になって見えているだけです。実際、直径467kmという大きさそのままに見えていたら、もっと大きな模様になるはず。多分、ひっくり返した勾玉(まがたま)の尻尾の部分、ここがホイヘンスに該当すると思えます。
なお、17日、1:10の火星は北極の白雲は目立たず、夕暮れの経度はオレンジで雲がないらしく、明け方の経度は白くモヤがかかっている模様。
真ん中の火星は18日の2:30。前線が通過する気流の悪い日で、夕暮れの経度はオレンジで雲がないらしく、北極の白雲は目立たず、明け方の経度にはモヤがあることが記録するにとどまっています。ちなみにこの状態でもイアフィギアやそれに連なるホイヘンスとその周辺はなんとなく見えています。
秋雨前線が列島の上にあって観測できない日が続き、間が空いて右は9月22日、1:15の火星。今いる場所は盆地で、西から山を越えた空気が来ると高度が下がる。そのせいで盆地の上空に雲ができ、空気の上下があるせいか、雲がその場で出たり消えたりする場合があります。この時はその状況で雲は出て見えなくなったり、雲がそのまま消えていって良く見えたり。そんな空模様。
火星の経度は250度。火星中央の左にあるのはキンメリア人の海、右にあるのはティレニア海(チュレニーの海 Mare Tyrrhenum)とその先の大シルチス。縮小しつつある南極冠が妙に正中線、さらに視線の向こう側にあるように思うので、夏を迎えて溶け残った南極冠が経度250度の反対側、経度70度のあたりでやや張り出しているのでは? という印象。南極冠の左隣に円形の明るい領域があるけども、これは第2チューレ(Thyle II)。ちなみに第2チューレは円形であることからクレーターのように思えますが、実際にはそうでないらしい。等高図を見ても、幾つか崩れたクレーターらしきものが見えるものの、明瞭な構造は見当たりません。
以上に続いて9月22日、3:15の火星。中央の経度は292度。 下段の右下に大シルチス付近の概略図を描いています。大シルチスの右上にある勾玉(まがたま)をひっくりかえしたような模様、その尻尾に当たる部分がおそらくはホイヘンス(Huygens)。その右側へ伸びる筋状の模様がイアフィギア(Iapygia)
他、ヘラスの上にかすかだけども明るい領域が舌状に伸びます。また下側(北極)の白雲が目立ちません。