Mars

火星

公転周期:686.98日

軌道長半径:1.524天文単位

赤道半径:3396km

質量:地球の0.1074倍

密度:3.93

自転周期:1.026日

 

ここでは2018年、大接近時の火星を7月26日以降から紹介します

 2018年は火星の大接近で、最接近は7月31日の予報。6月5日に砂嵐が発生。6月14日には全球を覆うグローバルダストストームになりました。6月25日に大シルチス周辺が晴れ始め、7月13、14日以降にはかなり急激に晴れが進み今に至ります。

 

 7月26日の火星。晴れは進み、火星は大きくなり、これまでのスケッチの大きさでは細かな模様が描ききれなくなりました。さらに黒地のボードにパステルで描くやり方は細かな作業にあまり向いていません。そこで暫定的に鉛筆の白黒スケッチをしたもの。左上は日付が変わる前、7月25日、23:30の火星。中央の経度は290度ぐらい。

 左下は日付が変わって26日0:00の火星。中央の経度は310度ぐらい。気流が比較的良いので大きなスケッチで模様を描いています。ヘラス盆地(HELLAS)が妙に大きいですが、緯度や経度と周囲の様子からすると、ヘラスとその周辺が砂嵐に没していることが分かります。本来ならヘラスの左を縁取るアドリア海(HADRIACUM)は完全に隠れています。見えているのはチュレニーの海(TYRRHENUM)。このスケッチでもそうですが、前のスケッチではここをアドリア海だと思っていました。このスケッチでHADRIACUMが二重線で消されているのは、間違いに気づいて修正したから。

 ヘラス盆地は巨大クレーターですが周囲も低くなっています。火星の高低差と比較すると、ヘラス盆地周辺では0メートルより下の地域が軒並み黄雲の下のようです。6月25日もこれと似た状態だったので、一ヶ月、この状況は変わっていないのでしょう。一方、大シルチス(SYRTIS MAJOR)とサバ人の海(SABAEUS)をつなげる場所、火星のスケッチ中央、経度310、緯度0にはデルタの湾(DELTOTON)が見えるはずですが分かりません。この地域は0メートルより高い地域であるにも関わらず、砂嵐たる黄雲に覆われているようです。低くて覆われているヘラス盆地。高いはずなのに覆われている、少なくとも見えないデルタの湾。違いがどうして生じるのかよく分かりません。

 後、経度310度付近、南緯20度よりやや上に黒い斑点が見えますが、これは蛇の海(SERPENTIS)のようです。

 

 27日は台風12号ジョンダリが接近。28日、ジョンダリは太平洋を北上してそのまま関東、東日本をかすめるという稀有な動きを示し、そして西へ。これを書き込んでいる7月31日現在でも、九州南部を台風のままうろついています。おかげでずっと天気が悪く。あるいは雲間から火星を見ることができても気流が悪すぎて何もわからない。ようやく30日の夜、そして日付が変わった31日に見ることができました。以上は左上が30日23:00のもの。左下が31日、0:00のスケッチ。どちらも申し訳程度の色が塗られています。

 左上30日23:00の火星。中央の経度は240度ぐらい。左に見えているのはキンメリア人の海とその右端(CIMMERIUM)。右に大シルチス(SYRTIS MAJOR)が見えています。

 左下31日0:00の火星、中央の経度は270度。ヘラス盆地(HELLAS)が見えていますが、妙に横長です。これはヘラス盆地の左側にあるべき、アドリア海(HADORIACUM)やアウソニア(AUSONUA)が軒並み砂嵐の下にあるかららしい。高低差地図を見ると、ヘラス盆地左側は経度250度近辺まで0メートルより低い地域が横に広がっています。低い場所が軒並み砂嵐に沈んでいること、ヘラス盆地周囲は地形で見ると横長であることがここから見て取れます。

 

 以上に続いて31日の火星。ただし上段の左は29日の火星。台風通過後に晴れたものの、あまりに気流が悪くて観測をあきらめた日のものです。上段左から二つ目は30日、22:00の火星。説明線画は下段左。中央の経度は225度。上段右と下段右は31日、2:00の火星。中央の経度は290度。ヘラス盆地(HELLAS)周辺が砂嵐に沈んで、奇妙に横長に見えていることが分かります。

 ちなみに、台風前に比べると、火星は妙に白っぽく見えます。赤味も戻っているから砂が薄まってきたことは疑いない。だけど妙に白っぽい。まだ空中に漂う非常に細かな粒子のせいでそう見えるのか、どうなのか。

 

 8月1日、雲間から見えた火星。台風通過後、しばらく白っぽく見えた火星は再び、赤味、黄色味を帯びてきました。台風の影響で空気が澄んで白っぽく見えたということでしょうか? 上段は8月1日、0:00の火星。中央の経度は250度ぐらい。ヘラス盆地(HELLAS)周辺が砂嵐に沈んでいるのは相変わらずですが、経度280から250度、緯度にして南緯40から30あたりにうっすらとした、カーブした模様が見えます。アントニアジの火星図にあるエウリプス(EURIPUS)なるものかもしれません。一方、火星の中央、現地時間で正午を迎えているはずのチュレニーの海(TYRRHENUM)は見えません。どういうわけか7月30日、23:00のスケッチでも似たような感じになっています。

 下段は8月1日、1:30の火星。中央の経度は275度ぐらい。小シルチス(SYRTIS MINOR)が正午を迎えています。この時刻になるとチュレニーの海(TYRRHENUM)がはっきり見えています。ひょっとしたら正午から時間が過ぎると、地球からは斜めに見るようになるので、模様が濃く、目につくようになる、ということでしょうか? 一方、0:00にはかすかに見えていたエウリプス(EURIPUS)が見えません。

 なお、チュレニーの海から上へ伸びる模様は、アントニアジの火星図を見る限り、クサントス(XANTHUS)、そしてプロメテウスの湾(PROMETHEI)であるように思えます。

 

 8月2日の火星。パステルの下地の上に鉛筆で描いたもの。こうすると簡単にスケッチできるけど、鉛筆が紙に描いた以上に目立ちます。現在の火星は砂嵐の真っ最中。実際の模様はここまで真っ黒ではありません。左は日付が変わる前1日、23:00の火星。中央の経度は多分、230度ぐらい。真ん中に見える斑点はキンメリア人の海(CIMMERIUM)の右端。その上に見えるのはクサントス(XANTHUS)? 右は小シルチス(SYRTIS MINOR)。クサントスと小シルチスをつなげるチュレニーの海(TYRRHENUM)がよく分かりません。クサントスから右下にやや伸びるものがそれでしょうか? どうもチュレニーの海は黄雲で覆われているか、分断されている様子。

 中央の火星は2日、0:00のもの。中央の経度は245度ぐらい。左右に並ぶようにキンメリア人の海の右端、小シルチスの斑点が並びます。その間、少し上にぼんやり見えているのがチュレニーの海でしょうか?

 右は1:00の火星。中央の経度は260度。ヘラス盆地(HELLAS)とその周辺が黄雲に沈んでいます。ヘラス周辺を囲むのは大小シルチスと、そして左上のエウリプス(EURIPUS)でしょうか? チュレニーの海は分かりません。

 

 8月3日の火星。後半雲が出てきたので1:00以降に観測断念。スケッチブックとパステルの下地に鉛筆で描いたものです。左は日付が変わる前、2日、23:15の火星。中央の経度は225度ぐらい。真ん中に見える濃い斑点はキンメリア人の海(CIMMERIUM)の右端。その右の淡いものがチュレニーの海(TYRRHENUM)? さらにその右、火星の縁に見え始めた濃い斑点が小シルチス(SYRTIS MINOR)。

 真ん中の火星は3日、0:00の火星。真ん中の経度は240度ぐらい多分。中央やや左がキンメリア人の海の右端。その上の淡い部分がチュレニーの海の部分? そして中央右の濃い斑点が小シルチス。チュレニーの海は真ん中が分断されているように見えます。

 右は3日、1:00の火星。少しパステルを厚塗りしたので、なんか妙に濃くなっている。重ね塗りは効果もないし、手間がかかるだけらしい。中央の経度は250度。チュレニーの海はやはり分断されているように思えます。砂煙るヘラス盆地周辺をチュレニーの海が縁取っている。しかしあちこちに残っている黄雲でチュレニーの海も分断されている。そんな感じでしょうか? 過去数日のスケッチを見ても、時刻によってチュレニーの海がはっきり見えたり、反対に不明瞭になっています。

 

 8月4日の火星。当日はずっと晴れでしたが気流が悪い。左は日付が変わる前3日、22:15の火星。中央の経度は205度ぐらい。気流は非常に悪いですが、キンメリア人の海(CINMMERIUM)などが確認できます。

 真ん中は3日、23:00の火星。中央の経度は215度ぐらい。キンメリア人の海とその周辺が見えています。キンメリア人の海は経度215度、230度近辺に黄雲があって、分断されているか、あるいは部分的に隠されているように見えます。

 右は日付変わって4日、0:00の火星。中央の経度は230度ぐらい。キンメリア人の海は二箇所に黄雲があるらしく、一方、中央では南にやや淡い領域が張り出して見えます。これはゴメル湾(GOMERO)のように思われます。ゴメル湾近辺はやや高いので、砂嵐に隠れていないのかもしれません。

あと、キンメリア人の海と小シルチスの間に、縦に黄色の線が入っているように見えました。黄雲が下へ伸びているのでしょうか? ここは要確認です。なお、小シルチスの同定にちょっと疑問符があります。

 

 上に続いて4日の火星。気流は良くありません。左は1:00の火星で中央の経度は245度ぐらい。どうも小シルチスとキンメリア人の海の間に切れ目がある感じ。黄雲のように思えます。また、チュレニーの海(TYRRHENUM)はやはり黄雲に分断されているか、一部が隠されている模様。

 真ん中は1:30の火星。気流は悪くはっきりわかりません。左のスケッチのすぐ後ですが、気流が急激に悪化しました。また、このスケッチではキンメリア人の海と小シルチスの間をつなげて描いていますが、さて?

 

 8月5日の火星。昼間は34度でも夜、そして明け方になると24度にまで下がるこの場所。ありがたい話だけども温度が下がる分、湿度は上がり、そしてどうにも気流が悪い。左は5日、0:00の火星。中央の経度は220度ぐらい。キンメリア人の海(CIMMERIUM)が火星を斜めの伸びていますが、左側が二股に割れているように見えます。下のものはアントニアジの火星図にあるATRANTIDUMというものかもしれません。

火星の真ん中、やや右にごちゃっとあるのはキンメリア人の海(CIMMERIUM)の右端とその周辺。上に突き出たコブのような部分は、どうもヘスペリアの地峡(HESPERIA)、あるいは、アントニアジの火星図だとHESPERUSと書かれている場所らしい。これはキンメリア人の海とチュレニーの海(TYRRHENUM)をつなげる場所です。ただしチュレニーの海は見えません。また、キンメリア人の海の下、ゴメル湾(GOMERO)らしきもののさらに下が奇妙に明るく見えました。もしかしたら濃い黄雲のように思えますが、さて。なお、キンメリア人の海は、右に見える小シルチスから分離しているように見えます。

 真ん中は1:00の火星。中央の経度は230度ぐらい。チュレニーの海はやはりよく見えません。黄雲に隠されているらしい。

 右は2:00の火星。気流は悪くて詳細は不明。ただ、どうもヘラス盆地周辺が明るい黄色に輝いており、相変わらず砂に煙っているらしいことが分かります。そしてキンメリア人の海と小シルチスが一応はつながっているものの、この間を通って溢れるように下へ(方位では北へ)明るい領域が広がっているように見えました。ヘラス盆地周辺の黄雲が下へ溢れ出したように思えるのですが、さて詳細やいかに?

 

 8月6日の火星。気流はまあまあだけども雲の多い夜。パステルに鉛筆だと、鉛筆が過剰に黒くなるので、やはりここは改良の余地あり。

 左は6日、0:00の火星。中央の経度は210度ぐらい。

 真ん中は6日、1:00の火星。中央の経度は225度ぐらい。

 右は6日、2:00の火星。中央の経度が240度ぐらい。

 キンメリア人の海(CIMMERIUM)の右端とその周辺、HESPERUSなどが見えること。上半球(南半球)の緯度40度前後にうねったように黄雲があること。あるいは断片的に黄雲が存在すること。ヘラス(HELLAS)周辺はあいかわらず黄雲に覆われていること。その雲が伸びるように、キンメリア人の海と小シルチス(SYRTIS MINOR)の間を切って見えること。それが下半球(北半球)にまで伸びているように見えること。しかしここ数日見え方が変わらないので、黄雲が拡大しているとか、動いているとかではなく、あちこちに濃い黄雲が残ったままであるらしいこと。そういうことが見て取れます。

 

 前線が東日本を縦断。さらに台風13号がのろのろと、またもやおかしな経路で南から近づいて天気が悪く、曇天の蒸し暑い7日。しかし夜になると時々雲が通過するもののおおむね晴れ。気温も低下。湿度もあまり無し。気流は良くもないが、悪くもない。火星が昇る時刻が早まって来たので、日付が変わる前のスケッチです。

 左が7日、21:30。中央の経度は150度ぐらい。

 真ん中が7日、22:30。中央の経度は170度ぐらい。

 左が7日、23:30。中央の経度は185度ぐらい。

 経度にして120度から170度。緯度にして0度から南緯20度が明るい菱形に輝いています。どうも大きな黄雲があるらしい。見えている模様はシレーンの海(SIRENUM)とキンメリア人の海(CIMMERIUM)。キンメリア人の海は上半分がかすれていて、ATLANTIDUMがむしろはっきり見えているように思えます。なお、鉛筆のスケッチだと模様が濃く出てしまいますが、実際の模様は非常に薄く、火星が黄色に輝いているため、補色である水色っぽく見えます。

 

 台風13号が東北沖合を北上して曇天からほぼ快晴になった8月9日の火星。

 左が20:30 中央の経度は120度ぐらい 左の斑点はどうも太陽湖(SOLIs)のように思えます。

 真ん中が21:30 中央の経度は135度ぐらい

 右が22:30 中央の経度は155度ぐらい

 太陽湖からシレーンの海(SIRENUM)までが見えています。緯度にして南緯30度から20度をうねるように、東西に明るい領域が伸びています。どうも先日見た黄雲らしい。先日は菱形でしたが、上下に(南北に)狭くなり、さらに広い領域の場所が少しだけ右へ(西へ)ずれたように思えます。7日の時は経度140度ぐらいが一番幅広かったけど、9日には155度ぐらいが一番幅広くなっている。火星の上半球(南半球)には今、東風があるということなのでしょうか? 火星は今月から大気の大循環の時期に入ったはずで、その場合、南極から吹く風がゆるゆるぐるぐる火星を回りながら北半球へ流れ込むそうです。それを見ているのか、どうなのか。

 

 これも9日の火星。左が23:50。中央の経度は165度。右が日付変わって10日、0:40の火星。中央の経度は180度。シレーンの海からキンメリア人の海(CIMMERIUM)までが見えています。やや明るい領域がやはり右へ(西へ)伸びているように思えます。

 

 8月12日の火星。左は21:45 中央の経度は115度。

 真ん中は23:00の火星。中央の経度は130度ぐらい。

 右は23:45の火星。中央の経度は145度ぐらい。

 シレーンの海(SIRENUM)が帯状に見える。その左にある斑点はアオニアの湾(AONIUS)か、その周辺らしい。アオニアの湾は上半分が黄雲で隠されている可能性がある。さらにその左から太陽湖(SOLIS)が見え始めて来た。緯度にして南緯10度近辺に、東西の伸びるストームらしき明るい領域がある。7日、9日に見えていた幅の広い領域は見当たらない。そんな状況です。

 

 8月13日の火星。左は日付が変わった直後0:00の火星で、中央の経度は145度ぐらい。以上12日、一番右の火星と同じ経度で見ています。見た目も同じで特に違いはありません。この夜は天気が悪く、気流も悪く、スケッチはこれ1枚。

 中央は23時間後、13日の夜、23:00の火星。天気は良くなったけど、気流は良くない。中央の経度は120度ぐらい。左は太陽湖とその近辺が見えているらしく、中央やや左寄りにある暗斑は不死鳥の湖(PHOENICIS)かもしれません。右にあるへの字に曲がった帯はシレーンの海。火星下半分にかすかに見える暗い模様はタルシス3山やオリンポス山近辺の可能性がありますが、気流が悪いこともあり、確証できるほどはっきりは見えませんでした。

 右は13日24:00の火星。中央の経度は135度ぐらい。他の時刻のスケッチと同様、緯度にして南緯10度から20度近辺に、東西に伸びる明るい領域があります。多分、黄雲。

 

 ずっと天気が悪く、あるいは晴れ間が広がっても気流が悪すぎで観測しようがない数日が過ぎ、8月17日の火星。左は20:00のもので中央の経度は45度。気流は不良で細かい模様はまったくわかりません。しかし極冠の下にぽつんと黄色い斑点があることがわかります。経度と緯度、そして過去一ヶ月の観察からするとアルギュレ盆地(ARGYRE)でしょう。クレーターであるこの盆地内部には、いまだに黄雲が濃く残っているようです。

 真ん中は20:45の火星。中央の経度は60度。真ん中に見えるのはアウロラの湾(AURORAE)。そこから斜め下にのびる薄い帯はガンジス運河(GANGES)でしょう。太陽湖(SOLIS)はほとんどわかりません。上ではアルギュレ盆地が黄色く輝いています。

 右は22:00の火星。アルギュレ盆地は日没を迎え、アウロラの湾も左へ移動しています。火星の中央やや下を東西に伸びる黄色い帯は、黄雲が充満したマリネリス峡谷(MARINERIS)のように思われます(*8月20日追記:マリネリス峡谷はこの日、すでに晴れ始めていた、という話があるのでこの明るい領域は峡谷以外のものかもしれません。確かに、一ヶ月前に見たマリネリス峡谷とは見え方がちょっと違うのですよね)。

 

 以上に続いて17日の火星。左は23:00。中央の経度は90度。太陽湖(SOLIS)が真正面にくるはずですが、姿はほとんどわかりません。下半球(北半球)の模様が見えてきたように、嵐はかなり晴れてきました。しかしなんだかんだいって、いまだに惑星全体が煙っています。右は日付変わって18日、0:15の火星。気流が悪くて詳しいことは不明。ただ、これまで見えていた南緯20から0の間を東西に伸びていた明るい帯(多分、東西に伸びた黄雲)が、よく見えません。光や気流の加減でそう見えるだけなのか、それともこの黄雲は薄まってしまったのか?

 

 8月19日の火星。空は薄曇り、半月にも暈がかかる夜です。気流もあまりよくありません。

 左は21:15の火星。中央の経度は40度ぐらい。気流は悪く、かすみもひどいので詳細は不明。それでも極冠の近くにある、砂に煙って明るく輝くアルギュレ盆地(ARGYRE)がわかります。

 真ん中は22:00の火星。中央の経度は55度ぐらい。火星の真ん中に見える暗い斑点はアウロラの湾(AURORAE)。ただ、実際のアウロラの湾よりも下へ(北へ)広がっています。周囲が砂に隠された結果、アウロラの湾よりも下の領域まで暗斑に見えているのかもしれません。アントニアジの地図を見るとHYDRAE PALUSと呼ばれる地域に該当するようです。なお、火星の地形図と照らし合わせると、0メートルより低い場所が軒並み砂煙に没していると考えると以上の見え方をうまく説明できます。

 右は22:30の火星。中央の経度は60度ぐらい。砂に煙るアルギュレ盆地、アウロラの湾などが見えます。

 

 以上に続いて8月19日の火星。左は23:15の火星。中央の経度は70度ぐらい。右側の薄っすらとした斑点が太陽湖(SOLIS)とその周辺。太陽湖はあまり明瞭ではありません。気流が悪く、観察は難しい。経度70度、緯度0近辺にやや明るい領域があります。17日、22:00に見えたものと同じで、しかしより淡くなっています。砂に煙るマリネリス峡谷のように思えます。しかし実はマリネリス峡谷はすでに晴れているという話があるので、明るく見えるのは別のものなのかもしれません。

 右は23:45の火星。中央の経度は80度ぐらい。気流が悪いので詳細不明。

 

 8月20日の火星。気流は中の下で、時々安定。しかし風が強く観測しずらい夜です。左は22:15の火星で中央の経度は50度。火星の真ん中にある暗斑はアウロラの湾(AURORAE)とその周辺。これまでの観察ではアウロラ本体と周辺を区別できなかったのですが、今回、明瞭に区別できています。全体としては逆三角ですが、よく見ると二つの逆三角がずれて重なっている。左上のものがアウロラの湾本体。右下がその周辺でしょう。アントニアジの地図を見ると周辺は本体よりずっと薄いはずなのですが、ほとんど同じ濃さに見えます。そしてそこから先はほとんど見えません。多分、黄雲に隠されているのでしょう。スケッチ上では極冠の下に輝くアルギュレ盆地(ARGYRE)が見えています。

 右は23:15の火星。風があまりに強く、気流も悪化し続けるので観察は途中で断念。

 

 二つの台風が通過。晴れて火星が見えても気流の悪い日が続き、ようやく26日に観察。

 左は21:30の火星。中央の経度は345度。左にヘラス盆地(HELLAS)。中央やや下、東西に伸びるのはサバ人の海(SABAEUS)。

 真ん中は22:30の火星。中央の経度は360度、あるいは0度。サバ人の海とその右端、経度0点がちょうど中央に見えています。黄雲はずいぶん晴れたようで、サバ人の海の形がはっきり分かります。ただし気流はかなり悪い状態。

 右は23:20の火星、中央の経度は15度。中央から右に見えるのはマルガリータ湾(MARGARITIFER)。

 

 台風21号チェービーが接近しつつある9月3日の火星。気流は中の下、そして風が非常に強くて観測しにくい夜。左は20:15の火星。中央の経度は260度ぐらい。真ん中やや左に見えるのはキンメリア人の海(CIMMERIUM)。右に見えるのは小シルチス(SYRTIS MINOR)。真ん中やや上にぼんやりと見えているのはチュレニーの海(TYRRHENUM)らしい。模様は分断されていて、今も部分的に黄雲に隠されている感じ。一ヶ月前と見た目や状況は変わっていないように見えます。

 真ん中は21:30の火星。中央の経度は275度。小シルチスと大シルチス(SYRTIS MAJOR)が見えています。

 右は22:15の火星。気流はいよいよ悪く、詳細は不明。

 

 秋雨前線が列島にかかり、雨の日が続く9月。晴れ間から見えた17日の火星。しかし気流が悪い。シーレンの海(SIRENUM)が見えていますが、上半球の暗部と区別ができません。

 

 秋雨前線の曇り間から見えた9月18日の火星。シレーンの海が見えていますが、気流が悪く詳細不明。

 

 9月19日の火星。気流は中の下。

左は21:15の火星。中央の経度は125度。中央の暗斑は不死鳥の湖(PHOENICS)のように思われます。左に見えるはずの太陽湖(SOLIS)はほぼ見当たりません。どうも後日のスケッチを参照にして考えるに、太陽湖は下半分がまだ消えているらしい。中央左に横に伸びたやや明るい領域があります。これはもしかしたら砂に煙るマリネリス峡谷(MARINERIS)のように思えます。

 真ん中は22:30の火星。中央の経度は150度。不死鳥の湖からシレーンの海(SIRENUM)が見えています。

 右は23:15の火星。中央の経度は165度。シレーンの海からキンメリア人の海(CIMMERIUM)が見えています。火星の中央を横断するように明るい領域が見えていますが、これが黄雲なのか、元からある明るい領域なのかは判別できませんでした。

 

 9月22日の火星。中央の経度は60度。太陽湖の左側(東)を見ているのですが、分かるのは太陽湖の左上を縁取るボスポラス海峡(BOSPORUS)のみ。どうも太陽湖は下半分(北側)が砂煙に覆われているらしい。気流は悪いものの、アウロラの湾(AURORAE)がなんとなく見えています。上側、極冠周辺が明るいのは、砂煙かもしれませんし、アルギューレ盆地(ARGYRE)が見えているのかもしれません。

 

 9月24日の火星。晴れ間がわずかにあるだけなので連続して観察できず。中央の経度は72度。太陽湖(SOLIS)らしきものが右上に見えています。やはり太陽湖の周辺は下側が見えず、この領域はまだ砂に煙っているらしいことがうかがえます。極冠の左下に見える丸く明るい領域は砂に煙るアルギューレ盆地(ARGYRE)なのでしょう。ただこの数日後のスケッチではアルギューレ盆地が見えていません。数日でいきなり晴れるとも思えないので、光の調子で見え方が変わるのでしょうか? 例えば日が高く上がると見える。あるいはこちらから”はすかい”に見える位置にくるとはっきりする、そういうことなのかどうなのか。

 

 秋雨前線の晴れ間が広がり、かなり天気の良かった9月27日の火星。しかし気流は悪く、なおかつ21:00には曇ってしまいました。今いるこの場所の地形的特性もあるのか、夜間の晴れが継続しません。

左は20:00の火星。気流が悪くぼんやりしていますが、アリンの爪(ARYN)、マルガリータ湾(MARGARITIFER)、アウロラの湾(AURORAE)が見えています。ただしアルギューレ盆地が見えません。

 右は続いて20:30の火星。見えている箇所は左とほぼ同じですが、こちらの方がうまく描けています。そしてやはりアルギューレ盆地が見えません。

 

 台風24号チャーミーが沖縄を北上しようと移動しつつ、秋雨前線が太平洋の沖合に下がり、晴天が広がった9月28日。気流は中でまあ良し。夜間に雲が出てしまったのでスケッチは2枚だけ、1枚目がうまく描けなかったので、2枚目について詳細を述べます。

 中央は20:30の火星。気流が良い瞬間だと、サバ人の海(SABAEUS)がはっきりと見えました。アウロラの湾(AURORAE)もかなりよく分かります。中央に見えるマルガリータ湾(MARGARITIFER)。これは暗斑としてはよく分かります。だが下への伸びが悪い。下半分は砂煙にかすんでいるのでしょうか? また下半球には小さな黒い斑点が見えています。多分、これはルナ湖(LUNA)。一方、アキダリアの海は見えていません。

 あと、話を上半球に戻すと、極冠の下に見えるべきアルギューレ盆地が分かりません。

 

 秋雨前線は列島の南に下がったものの、やはり天気が悪いまま10月の第2週に突入。比較的晴れ間が広がった15日の火星。気流は中の下。火星(南半球)は現在、ちょうど夏至。

 左は19:30の火星。中央の経度は225度ぐらい。中央左の暗斑はキンメリア人の海(CIMMERIUM)。左端の上下にやや分かれている部分は、多分ATLANTIDUMへ続く場所。右側はチュレニーの海(TYRRHENUM)。極冠の下で東西に走るのは多分、クロノスの海(CHRONIUM)。間をつなぐ暗い模様は多分、XANTHUS。

 真ん中は20:00の火星。中央の経度は230度。この3枚のスケッチはほぼ時間をおかずに描いたもので、この2枚目は一番気流が良く見えたものです。火星中央を東西に走るのはキンメリア人の海とチュレニーの海。良くみると、二つの海は画面真ん中でキンメリア人にチュレニーがおおいかぶさるような感じになっていることが分かります。チュレニーの海は下の東西が濃く、キンメリア人と接する部分で、薄く上へ伸びることも見て取れます。画面左上で斜めに走る濃く細長い模様は多分、スカマンデル運河(SCAMANDER)

 右は20:30の火星。中央の経度は235度。気流は悪く詳細不明。ただスケッチ右上、極冠の下にある明るい領域アウソニア(AUSONIA)から、黄色い帯が左へ伸びているように見えます。気流が悪いからそう見えただけなのか、ストームなのか、あるいは明け方のもやなのか不明(ただし、改めてみると他のスケッチもここに該当する領域が東西帯状に薄い、あるいは運河も途切れがちなので、本当にストームの帯なのかもしれない)。

 

 以上に続いて2018年10月15日の火星。途中で雲がわいたものの、15日はここしばらくでは珍しく1時間以上連続して火星を観察できる天気。しかし火星の高度は低くなり、気流が悪くなって22:00に観測終了。比較的ましなスケッチができた中央の火星のみ説明。

 22:00の火星。中央の経度は260度。真ん中の濃い斑点は小シルチス(SYRTIS MINOR)。その上にある、東西に伸びるぼんやりしたしみは、ユーリプス運河(EURIPUS)のように思えます。

 ユーリプス運河の右にある明るい領域はヘラス(HELLAS)。そしてユーリプスの下と小シルチスの間にある明るい領域はアウソニア(AUSONIA)の下半分。画面左上の明るい領域がアウソニアの上半分でしょう。(ユーリプス運河はアウソニアを横切って二分する運河です)

 火星中央右、境界線に見えているかすかなしみは大シルチス(SYRTIS MAJOR)。大シルチスが良く見えないのは、明け方でまだもやに覆われているからかもしれません。

 

 晴れ間が広がったり雲が出たりの10月17日の火星。気流は中の下。左は19:30の火星で中央の経度は207度。火星を東西に横切る暗い帯はシレーンの海(SIRENUM)とキンメリア人の海(CIMMERIUM)。ただしシレーンの海は左上にちょこんと見えているだけです。火星中央の暗斑はおそらくラエストリュゴンの湾(LAESTRYGONUM)。

 なお、この湾から下(北)へ運河ラエストリュゴン(LAESTRYGON)が伸びるのだけど、もやがあるのか、まだ煙っているのか、火星が明るすぎてかき消されているのか、なにはともあれ見えません。

 右は21:00の火星。中央の経度は235度。気流は下。中央から左はキンメリア人の海。右はチュレニーの海(TYRRHENUM)。経度から考えると右端に見えるだろう小シルチス(SYRTIS MINOR)は朝もやでもかかっているのでしょうか、見えません。スケッチの概説では位置だけ示しています。

 

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