Bryophyta
ブリオフィタ
(狭義の意味でのコケ植物)
セン類/蘚類
コスギゴケの配偶体と胞子体 撮影:2012/12/06 神奈川県
胞子体の先端にあるカプセルは、フェルト状の帽(カリプトラ)に覆われている
セン類とは?:
セン類とはスギゴケやギンゴケの仲間のことで、いわゆる広義のコケ植物からゼニゴケの仲間とツノゴケの仲間を除外したものです。細長い茎と葉っぱを持ち、多くの場合、葉っぱは尖っています。外見的には針葉樹を思わせる姿だと言えるでしょう。胞子体は上に高く伸び、先端に胞子を収めるカプセル(Capsule)がつきます。多くの場合、カプセルには蓋があり、さらに当初はカリプトラ(Calyptra)というかぶり物(日本語では帽と呼びます)がついています。
*セン類のカプセルは、日本語では、漢字で草かんむりに朔と書いて”さく”と呼びます。フォントによっては漢字で出力できません。ちなみに10画です。部首別で漢字を探す場合にはそこを見ると良いでしょう。
日本語におけるセン類のセンとは、漢字で書くと”蘚”。意味はコケで、苔とは異音同義語と言って良いでしょう。ゼニゴケ植物には苔という漢字が割り当てられてタイ類。スギゴケやギンゴケの仲間には蘚の字が当てられてセン類と呼ばれています。セン類とタイ類、2つのグループをまとめた蘚苔類(センタイ類)という用語がありますし、ツノゴケも含めて広義のコケ植物(Bryophyta:ブリオフィタ)として、まとめてしまうこともありました。
しかし、こうした広義の意味でのコケ植物は、配偶体が主体で胞子で繁殖する陸上植物、というグルーピングであって系統を反映していません。現在、Bryophytaという言葉はセン類だけを指します。
*ややこしい話ですが、狭義のコケ植物(セン類と同義語)と広義のコケ植物(コケ植物門)は、いずれも英語ではBryophyta:ブリオフィタです。
*ちなみに蘚(せん)は17画。
セン類の共有派生形質:
:胞子体は高く伸び、先端に胞子を収めるカプセルがつく
:カプセルに蓋がついている
:配偶体に葉っぱがあり、多くの場合、細く尖っている
*セン類の葉っぱは針葉樹を思わせますが、針葉樹の葉は胞子体のもので、セン類のものは配偶体です。つまり別起源。タイ類には配偶体に葉を持つものがいますが、セン類とタイ類の葉はこれも別々に起源した模様。
身近で見れる主なセン類:
ギンゴケ
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