Deuterostomia

デウテロストミア/新口動物

 

 

 デウテロストミア/新口動物とは?:

 胚発生(卵から子供の体が出来ていく過程)で、分裂した細胞はボール状になります。その一部が内側にへこみ、さらにボールの向かい側に貫通するようにして消化器官が形成されますが、デウテロストミアの場合、最初のへこみが肛門に、後から貫通してできた穴が口になります。だから新口動物。後から出来るので後口動物という訳語もあります。

 デウテロストミアにはヒトデやウニのような棘皮動物、ホヤ貝のような尾索類、人間のような脊椎動物が含まれます。多くの種類が特徴的な器官(鰓裂:さいれつ:Gill slit)を共通にもっていいます。これをつかって食物を水中からこしとって生活する種類が多く、もともとは餌をこしとる器官だったのかもしれません(「比較生物学」M・フィンガーマン 培風館 pp198 pp200)。魚類などでは鰓で呼吸することにも使われます。

 デウテロストミアのうち、棘皮動物には鰓裂がありませんが、絶滅した奇妙な棘皮動物カルポイドには鰓裂があったらしき証拠があります。本来は持っていたのに、二次的に消滅したのかもしれません。

 デウテロストミアのうち、棘皮動物と脊椎動物、尾索類はよく繁栄していて、私達にとっても身近な動物です。尾索類のホヤや棘皮動物のウニやナマコは珍味として食べられていますし、脊椎動物は魚や鳥、獣のように人間にとって重要なタンパク源です。

 分布も広く、棘皮動物は海にしかいませんが、海岸から水深11000メートルのマリアナ海溝まで分布しますし、尾索類は海だけでなく沼などにもいます。また脊椎動物はあらゆるところにいて、多くは巨大です。海、陸上、空中でも地球上最大の動物を生み出した系統です。

 

 デウテロストミアが持つ派生的な特徴

 :胚発生の過程で、後から出来た穴が口になる

 :鰓裂(Gill slit)をもつこと

 

 デウテロストミアの系統:

  

____________Echinodermata:エキノデルマータ/棘皮動物 

   |         (ウニ、ナマコ、ヒトデ、ウミユリなど)

   |

   |     ?___Carpoidea:カルポイディア/カルポイド類

   |         あるいはCalcichordata:カルシコルダータ・石灰索動物)

   |

   |_________Hemichordata:ヘミコルダータ/半索動物  

       |     (ギボシムシ、フサカツギなど)

       |_____Chordata(コルダータ/背索動物・せきさくどうぶつ) 

             (ホヤ、ナメクジウオ、イワシ、カエル、恐竜、人間など)

 

 

 参考:

 「脊椎動物の起源」H・ジー 培風館 2001

 「比較生物学」M・フィンガーマン 培風館 S.57

 「動物系統分類学」

 棘皮動物は、いかにつくられたか 雨宮昭南 1996「科学」Vol.66,No.4,1996, pp306~311

 

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