オンケルツ歌集――その3(D〜F)(高橋秀寿訳)

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★『思い出』

「おまえは本当に信じているのかい/時間が進みつづけないなんて/おまえは本当に信じているのかい/すべてがおまえを中心に回っているって

あまるほどぶつかり、そこから学び取らなかった/大量のアルコール、多くの女、現実から遠ざかって

俺はよくこの時代を思い出す/けっして忘れない時代を/だけど俺は自分の人生を生きなくちゃならない/自分の道を一人で歩まなければならない/元気でな、おまえ、美しき時代よ、さようなら

おまえは本当に信じているのかい/時間が進みつづけないなんて/おまえは本当に信じているのかい/すべてがおまえを中心に回っているって

光っているものがすべて金ではなかった/でも素敵だった/光っているものがすべて金ではなかった/おまえは過ぎ去らない時間の色を身に付けている

俺はよくこの時代を思い出す/けっして忘れない時代を/だけど俺は自分の人生を生きなくちゃならない/自分の道を一人で歩まなければならない/元気でな、おまえ、美しき時代よ、さようなら

俺はよくこの時代を思い出す/けっして忘れない時代を/だけど俺は自分の人生を生きなくちゃならない/自分の道を一人で歩まなければならない/元気でな、おまえ、美しき時代よ、さようなら」

※一方でネオナチが接近し、他方でネオナチ呼ばわりされる事態に辟易したオンケルツは、このうたでスキンヘッド界からの離脱を宣言。

『爆撃機パイロット』

「雲の上で、自分の家のようにくつろいでいる/俺はここで上からもっとも美しい場所を探している/そこがみんなのものだって知っている/だけど世界はあまりにも小さすぎる/だから爆撃させてくれ、爆撃させてくれ

俺は爆撃パイロット、俺はおまえたちに死を招く/俺は爆撃パイロット、爆撃パイロット!

数万メートルで音速よりも早く/俺は自分の爆弾を見送り/爆音を待つ/荒廃と破壊が、俺ができるすべてのこと/そして俺は自分が気に入ることを見る/俺は爆撃をはじめる

俺は爆撃パイロット、俺はおまえたちに死を招く/俺は爆撃パイロット、爆撃パイロット!」

※スキンヘッド界から離脱したが、その破壊衝動は衰えることはない

★『間違った預言者』

「彼がなんと呼ばれていようがまったくどうでもいい/どの神もその価格を持っている/俺は自分の生に意味を与える/オンケルツに身をささげる

十戒、俺たちは寒々となる/単なる空虚な言葉、俺たちは暴力の聖職者だ/愛するオンケルツで俺たちはうれしくなる/俺はおまえたちの言葉を明言しようと思っている/俺たちはただ酒を飲むだけ、タバコを吸うだけ/おまえたちのために罪を犯すつもりだ

オンケルツとBagwahn、間違った預言者/自分自身を信じろ、祈ることを止めよ/脳みそから間違った見かけを解放しろ/自分の道を歩め、自分の道だけを

彼がなんと呼ばれていようがまったくどうでもいい/どの神もその価格を持っている/俺は自分の生に意味を与える/オンケルツに身をささげる」

※離脱したオンケルツは自分の道を進むことを薦め、自己の生の意味を自己発見しようとしている。

★『居酒屋テロリスト』

「母親たちよ、娘を閉じ込め、息子を救え/居酒屋テロリストから、国民の恐怖から/通りは人影がなく、どの居酒屋の亭主も治療中/そのときには居酒屋テロリストはテロの旅行中

俺たちは居酒屋テロリスト、とても激しく入れ墨を入れている/俺たちはいつも「ひとつ」の席を持つ、何が起ころうともまったくどうでもいい/立ち入り禁止は俺たちのモットー、喧嘩は俺たちの目的/毎日ひとつの悪行、多すぎるかい

ほらみろ、居酒屋の亭主が苦労して汗をかいている、客が慌てふためいて消え去っている/居酒屋テロリストはいいことはもくろんでいない/俺たちの旗には「居酒屋蛮行」とかいてある/居酒屋テロリストは容赦を知らない!

俺たちは居酒屋テロリスト、とても激しく入れ墨を入れている/俺たちはいつも「ひとつ」の席を持つ、何が起ころうともまったくどうでもいい/立ち入り禁止は俺たちのモットー、喧嘩は俺たちの目的/毎日ひとつの悪行、多すぎるかい

母親たちよ、娘を閉じ込め、息子を救え/居酒屋テロリストから、国民の恐怖から/通りは人影がなく、どの居酒屋の亭主も治療中/そのときには居酒屋テロリストはテロの旅行中」

※飲酒と狼藉、乱痴気騒ぎのテーマはまだ歌われている。

★『もう二度と』

「おまえはそれがなんと言うか知らない、おまえはその価格を知っている/生と呼ばれるこのゲームのなかで/準備しろ、時がきた/いかに前進していくかをおまえが知らなければならない時が

おまえは下水溝の汚物をなめた、くそがどんな味なのかをおまえは知っている/おまえは通りを見た、友人がいかに落ちぶれて行ったかを/二度と、二度と、二度と最下級のものであるなんていやだ/二度と、二度と、二度と最下層であるなんていやだ

おまえはそれをのぞき見ない、くそのためにおまえは閉じ込められている/そのしるしをおまえだけが身につけている/準備しろ、時がきた/いかに前進していくかをおまえが知らなければならない時が

おまえは下水溝の汚物をなめた、くそがどんな味なのかをおまえは知っている/おまえは通りを見た、友人がいかに落ちぶれて行ったかを/二度と、二度と、二度と最下級のものであるなんていやだ/二度と、二度と、二度と最下層であるなんていやだ

※下層階級にいることの怨念、そこからの脱出が歌われている。

★『ウソ行進曲』

「俺たちのことを繰り返し書くやつらのために/長い髪をして、俺はおまえたちが我慢ならない/プレスやそのようなもののやつらのために/便所にある新聞のためのいくつかのウソ/俺たちのレコードを禁止したやつらのために/愛すべてのためのいくつかの決り文句/いつも語り、語るやつら/すべてを知っているが生についてのみ知らないやつら

俺たちはまったくのメタラー――俺たちはまったくのメタラー/俺たちの髪はけつまで届く――俺たちの髪はけつまで届く/俺たちはまったくのメタラー――俺たちはまったくのメタラー/そしてこれは俺たちのウソ行進曲――くそッ垂れ/

俺たちの歌詞を理解しないやつらのために/ここに散歩しにきな、ここには見るものがあるから/風評すべてのために/このウソのために/自分自身を欺いているこのやつらすべてのために

俺たちのレコードを禁止したやつらのために/愛すべてのためのいくつかの決り文句/いつも語り、語るやつら/すべてを知っているが生きるということについてのみ知らないやつら」

※「ウソ」の文字が飛び交う。ネオナチ呼ばわりするメディアへの批判。

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