オンケルツ歌集――その1(@〜A)(高橋秀寿訳)

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★『トルコ人、出て行け』

「トルコ人出て行け! トルコ人出て行け! トルコ人出て行け!/トルコ人は全員、出て行かなくちゃいけない/トルコのヴァギナ、ぬらして剃られて/トルコ人のヴァギナ、つるつる剃られて/トルコ人のヴァギナ、ぬらして剃られて/トルコ人のヴァギナ、つるつる剃られて

 トルコ人出て行け、トルコ人出て行け、俺たちの国から出て行けアンカラへ帰れおまえらのせいで俺は病気になっちまうからドイツの占領者、ビニール袋を持ち歩くやつらよ古着収集者、保菌者たちよ

 トルコのヴァギナ、ぬらして剃られて/トルコ人のヴァギナ、つるつる剃られて/トルコ人のヴァギナ、ぬらして剃られて/トルコ人のヴァギナ、つるつる剃られて

  トルコ人出て行け! トルコ人出て行け!トルコ人は全員、出て行かなくちゃいけないトルコ人出て行け! トルコ人出て行け! トルコ人出て行け!トルコ人は全員、出て行かなくちゃいけないトルコ人出て行け、出て行け、出て行け

  トルコ人のヴァギナ、おまえらは殴られるのを求めている」

※反外国人感情を剥き出しにした初期の歌

★『ドイツをドイツに』

「ドイツは屑と汚物の中にはまり込んでいる/そしておまえら、ブタどもよ、あっさりと見過ごしている/ポリ公は反乱をすでに鎮圧した/問うことなしに、いつもただ叩き潰した/おまえたちはもう十分長く共に見つめてきただろう/俺たちの町がいかに破滅していているかを

   いま、俺たちの国で布告が出されているストリート・キッドたちは力を合わせたスキンヘッドはおまえたちとおまえたちの外国人野郎世界に対抗した団結だ

 愛の時代はいまや過ぎ去った/暴力は搾取に対する手段だ/おまえたちの前で膝まずくなんて、俺たちはもううんざりだ/俺たちはもうそんな気はない、俺たちはもっとよい生活を享受するに値するんだ/外国人野郎がいつも勝利するなんて、もうこれまでだ

 ドイツをドイツ人に」

※ローカルな空間が外国人によって「破壊」されていることに対してスキンヘッドが暴力的に団結すべきことを歌う

★『サッカーと暴力』

「土曜日の午後、スタジアムの時間火酒とビール、俺たちはもう盛り上がっている13列はもう大混雑/スタジアムの入り口で武器がしらみつぶしに調べられる

 俺たちのブロックにたって、俺たちの歌を歌う俺たちの標識に手を当てて誓い、みんな打ち殺すサッカーと暴力森の中での流血の争いサッカーと暴力

 試合は終わり、ビール・スタンドに立つ/スタジアムは俺たちの手の中にある/俺たちは敵を待つ/勝利を祝うことができるのはその後のことだ

 俺たちは前線にいて、俺たちの歌を歌う…」

※サッカーと彼らのフーリガンとしての日常的暴力が描かれている。

★『ドイツ』

「おまえの歴史に横たわる12年間の暗黒の年月によってもおまえとの俺たちのつながりが断ち切られた汚物と残骸を免れている国なんてない俺たちはここで生まれ、死ぬつもりさ!

 ドイツ、ドイツ、祖国/ドイツ、ドイツ、我が故国

 この12年間がドイツ人であることの誇りをおまえから奪いこの国を汚物に引き込み、その旗をあざけっているでも、俺たちはおまえのなかで生まれたことを誇りに思うでも俺たちはドイツ人であることを誇りに思う!

 ドイツ、ドイツ、祖国/ドイツ、ドイツ、我が故国

 俺たちはおまえのなかで生まれたことを誇りに思う/俺たちはドイツ人であることを誇りに思う/ドイツの女、ドイツのビール/黒−赤−金の旗、俺たちはおまえを見捨てない!

 ドイツ、ドイツ、祖国/ドイツ、ドイツ、我が故国

 ドイツ、ドイツ、祖国/ドイツ、ドイツ、我が故国/ドイツ、ドイツ、祖国/ドイツ、ドイツ、俺たちはおまえに手を差し伸べる」

※オンケルツの祖国観。ナチスの12年間がドイツ人としての誇りを奪ったことを嘆く

『歌って、踊って』

「週末になって、身なりを整える/ドック(Docs)の汚れを落として、シュタプレッス(Stapress)に入り込む/鏡をちょっとのぞみ込み、すべてが完璧だ/フレッド・ペリーにびしっとアイロンかけて、頭もすっきりそのもの/帰り道は気分爽快/ほかのやつらとあって/一緒にキューといっぱい、引っかける/スカ・コンサートがアナウンスされる/酒の勢いで、ちょっと踊りだす

俺たちゃ、一晩中、歌って、踊る/喧嘩、ロマンス、いっぱい飲んで、げらげら笑って/俺たちゃ、一晩中、歌って、踊る

気分の疲れ果て/空は白々空けていく/車に乗って猛スピードで突っ走る/次の角を曲がると、列車とぶつかる/瓦礫の前で立って、俺たちゃ、歌い始める

俺たちゃ、一晩中、歌って、踊る/喧嘩、ロマンス、いっぱい飲んで、げらげら笑って/俺たちゃ、一晩中、歌って、踊る

反吐を吐くまでべろんべろんに酔っ払い/最後のビールケースまで夜通し飲み明かす/その後、緑の男(警官)がやってきて、俺たちを背負い込む/だけど狭いブタ箱で宴会だ!

俺たちゃ、一晩中、歌って、踊る/喧嘩、ロマンス、いっぱい飲んで、げらげら笑って/俺たちゃ、一晩中、歌って、踊る」

※スキンヘッドの日常生活の賛歌。

『団結せよ』

「一人はみんなのために、みんなは一人のために/これが俺たちの雄たけびでなければならない!/結束は俺たちの強み/スキンヘッドは力を合わせなければならない/友情によって俺たちは力を与えられる/苦しみのなかで俺たちを強くしてくれる力を

 統一がモットー/俺たちはみな、同じボートにいる

団結せよ、団結せよ、俺たちは鎖を断ち切る/団結せよ、団結せよ、壁は崩さなければならない/団結せよ、団結して/俺たちは力となる/団結することはストリートでの雄たけび/そのことをおまえたちはわかっていない/スキンヘッドは同じ思いを抱いている/だから同じ道を歩もう

友情によって俺たちは力を与えられる/苦しみのなかで俺たちを強くしてくれる力を/統一がモットー/俺たちはみんな同じボートにいる」

※スキンヘッドの共同体のあり方を示した歌。

★『誇り』

「剃った頭の多くの中の一人/おまえはたじろぐことなんてない、怖くなんてないから/シェルマン、サスペンダー、ジーンズ、ブーツ/ドイツ国旗、だっておまえはそれを誇りにしているから/労働者だからとおまえはあざけられている/でも俺はそれが誇りさ、馬鹿げたことに俺は耳を貸さない

おまえはスキンヘッド、おまえは誇り高い/おまえはスキンヘッド、大声で叫び出せ/おまえはスキンヘッド、おまえは誇り高い/おまえはスキンヘッド、大声で叫び出せ

家にいるとき、おまえはオイ!を聞く/おまえは仲間さ、おまえは一人じゃないから/おまえは胸に刺青を入れている/おまえにとってどんな礼賛が一番かって、知っているから/人々は目に憎しみを込めておまえを見る/やつらはおまえの陰口をたたき、嘘八百を並べる 

おまえはスキンヘッド、おまえは誇り高い/おまえはスキンヘッド、大声で叫び出せ/おまえはスキンヘッド、おまえは誇り高い/おまえはスキンヘッド、大声で叫び出せ」

※ファッションと祖国愛と階級的帰属が並存している。社会に対する激しい憎悪。

★『ベーゼ・オンケルツ』

「俺たちは左手(links)で飲んだくれ、右手−右翼(Rechten)で支配する/俺たちはフランクフルトの支配者、夜の国王たち/俺たちは権力、だから俺たちの賛歌を演奏する/暗闇の中の叫び、闇世の中の叫び/オンケルツ考えよ、権力を考えよ/権力を考えよ!

おまえたちは取り囲む力を感じるか/俺たちはおまえたちの意志、俺たちはおまえたちを導くだろう/共に俺たちは世界を統治するだろう!

俺たちはベーゼ・オンケルツ、俺たちが気に入ることをする/今日、ドイツは俺たちの手にあり、明日は全世界が俺たちの手に/俺たちはベーゼ・オンケルツ、俺たちが気に入ったことをする!/俺たちは左手(links)で飲んだくれ、右手で支配する/俺たちはフランクフルトの支配者、夜の国王たち/俺たちは権力、だから俺たちの賛歌を演奏する

おまえたちは取り囲む力を感じるか/俺たちはおまえたちの意志、俺たちはおまえたちを導くだろう/共に俺たちは世界を統治するだろう!」

※スキンヘッドの活動舞台、夜の居酒屋での狼藉と権力志向を歌う。

★『アルコール』

「そして俺たちは彼に乾杯する/俺たちの親友、アルコールに/俺たちを愉快に、俺たちを酔わせてくれるアルコールに/昼も、夜も

肝臓もおまえによろしく言っている/肝臓はおまえをあがめ敬っている/おまえは肝臓を幸せにするものだから/昼も夜も

俺たちは楽しいときを体験した/それは消え去らない思い出のままだ

乾杯しよう/アルコールに

そして俺たちは彼に乾杯する/俺たちの親友、アルコールに/俺たちを愉快に、俺たちを酔わせてくれるアルコールに/昼も、夜も

肝臓もおまえによろしく言っている/肝臓はおまえをあがめ敬っている/おまえは肝臓を幸せにするものだから/昼も夜も

俺たちは楽しいときを体験した/それは消え去らない思い出のままだ/乾杯しよう/アルコールに

アルコール、オ〜、アルコール/アルコール、オ〜、アルコール/アルコール、オ〜、アルコール/オ〜、アルコール」

※スキンヘッドの自虐的な飲酒習慣が歌われている。

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