Ⅲ心、懐かしむ

                                     懐
                                          ①おもう。なつかしむ。いたむ。
                                      ②こころ。おもい。
                                      ③なつく。なつける。したしむ。
                                      ④いだく。ふところにする。みごもる。
                                      ⑤ふところ。
                                             (角川 大字源より)

 懐-前口上

再放送や懐メロ放送それにトーク番組が
多くなった最近のテレビ番組制作。
安上がりの制作費咎めるより。
過去懐かしむ思い強い制作好まれたからと考えよう。
ならば硬派の視聴者のためにも。
民主党が政権取っていた頃の風景
リメイクしてもらえないか。
様々な問題と教訓を残した政治劇だった。
歴史的実験が日本を舞台になされた思いだった。
その被験者は民主党。
主役を演じ消化不良のままに悪夢を見た。
脇役の自民党には屈辱の薬になった。
その演出をしたのは何ものだったのか。
歴史に判断任せられる懐かしの喜劇でもあった。


 懐①

かつて自民党負けるかもしれないの風聞流れた時
その危機意識からか
「自民党が駄目なら日本が駄目になる」と盛んに言われた。
この言い方
我が子を信じられない親や
部下を信じられない会社経営者がよく使うパターン。
自民党もその手法を使った。
自分がいなければすべてが駄目になると言うことで
結局自分自身が
権力維持に固執したかったたけだ。
ても歴史は皮肉なもの。
初めて実質的な権力者になった民主党も
現実離れの夢を抱き
日本を駄目にした。


 懐②

私が生きている間に
一度味わった政権交代劇。
そんな歴史の瞬間に立ちあえたのだから
有象無象の一人もコメントしたくはなる。
敵失によっても
国民が積極的に選択をしたということで
今までの国民の意識が変わったのか。
たが健全なライバルでないままに天下取った民主党。
国民が託した思いは
きっと負託に応えてくれるだろうの期待。
にもかかわらず負託に応えられず
非難囂々の中で降板。かくて
自民党も健全野党にならないままに
同じ敵失で復権したのは懐かしさ覚える事実となった。


 懐③

民主主義国家唱う日本の政治は
政官財癒着どっぷりの自民党政権にとってかわって
野党ぼけした民主党に政権託した。
出来そうにもない公約掲げたものだから
国民第一の生活できると国民は喜んだ。
民主党政権誕生してから以後
公約をほとんど実行しないばかりか
官僚の走狗となってその指示に従うのが
民主党政権のむなしいアイデンティティとなった。
一方政権奪われた自民党。
当初は健全な野党でありたいと謙虚さ示したのに
野党時代の民主党以上に揚げ足取りばかり。
健全な民主主義制度が出来上がるための
懐かしいというより日本で最初の悲しい試練となった。


 懐④

脱官僚掲げて政権取った民主党。
述懐すればなにかもたもたしている感じはあった。
正義者気取りのマスコミ同様
結果を早く知りたくなった人々は
4年間をじっくり待てなかった。
いくら政治主導を謳っても
霞ヶ関官僚は政治家を取り込んで来ているし
大臣答弁もいつの間にか官僚型になっていた。
知事始め地方議会や地方の役人も
実は一番霞ヶ関的で非協力的だったし
民も今まで得た物は失いたくないと思っていた。
日本が本当に変わるのは
野党が政治主導できる健全な野党であり
与党が現実分かる力を持たねばならなかった。


 懐⑤

最低でも海外と言った初代民主党首相の辞任後
マスコミは「親小沢」か「反小沢」かで党首選挙煽り立てた。
ダーティーな力のある政治家を選ぶか
力はないクリーンな政治家を選ぶかを
民主党の選挙民に判断させるものであったが
「開いた口がふさがらない」のメディアの後押しで
力なき「菅政権」が誕生した。
未曾有の大震災後の復興の際にも
こんな時にこそ「一致団結を」派と
こんな時だからこそ「強力なリーダーシップを」派との
二つのグループが自然発生的に生まれた。
この時も「親菅」か「反菅」かを選ばせて
小沢つぶしに加担したメディアの在り様は
その本性知る懐かしい思い出となった。


 懐⑥

百年に一度の大惨害に限って
百年に一度の最悪宰相。
よりによってのこの組み合わせ。
まさに運命としてか言いようのない日本のこの不幸。
野党時代に華々しく見えたのは
責任伴わぬ気軽な立場だったからか。
いざ最高権力者になったときの決断のなさは
見事に民主党の体質を象徴している。
マスコミや市民の告発に便乗して
「政治とカネ」でダーティーなイメージの元幹事長を
追い出した熱意と実績はあった。
それで懐寂しくなったのか
世話になった民主党を消滅させてもいいとばかりに
ひたすら最高権力者の蜜の味に酔いしれた。


 懐⑦

民主党政権時代に
存在自体が風評被害といわれた市民運動出の首相。
カイワレ大根食べて颯爽とした姿は
化けの皮はがれぬ前のポーズだったのか。
リーダーシップ取れない日本の政治システムでは
たとえ資質がなくても
運良く樽みこしに乗れば首相になれる。
その中で一番期待を裏切った一人。
千年に一度の災害時に
千年に一度のチャンスを得たのだから
地位に固執するのなら
やはり名宰相であったと後から懐かしまれるように
身を犠牲にしてことにあたるべきだった。
彼は首相になることで歴史に汚名残した。


 懐⑧

いい大学に入ること自体を自己目的化し
入った後さえなくなった学生のように
市民活動出の懐浅い総理は
総理大臣になることを目差しただけだったのか
これがあの人かと疑わせる程に光を失っていた。
元々口はうまいが力のない人だったのか。
力はあるが周りがそれを封じているのか。
視点変えた見方すれば
国民は変化を望んで民主党を選んだのだし
民主党は金まみれの政治家嫌ってこの総理を選んだのだし
マスコミはマスコミでこの総理を煽り立てたのだから
他人事のように頬かぶりして
ただ選ばれた総理の資質をとやかく言うより
選んだ方の資質に対して責負わせるべきだろう。


 懐⑨

毎年替わると世界から揶揄される日本の首相。
民主党政権になっても
3人の首相が誕生した。
最低でも海外で日本を沸かした初代。
騎兵隊内閣で勇ましさだけの二代目。
日本中からの「やめろコール」の挙げ句に生まれた
「ノーサイド」唱った三代目。
いずれも首相としての資質に欠ける言動に
民主党はかつての野党時代よりもを力落とした。
民主党支持者が
最低より低くはならないと悟り
せめて4人目を出さないようにと総選挙に出たが
見るも無惨に敗れ元の木阿弥になったのは
懐かしくもあまりにも苦い思い出となった。


 懐⑩

初めての政権交代なって
何かが変わると期待懐い人間の気持ちを
民主党は裏切った。
この程度の力なのかと冷ややかにもなった。
変わるように思った程に変わらなかった。
強いて言えば前より悪く変わってしまった。
以前の与党のようになった与党。
はたして
政治指導と言いながら前以上の官僚依存になっていた。
それに以前の野党のようになった野党。
あろうことか
健全な野党と言いながら前以上に品の悪い追求していた。
今の与党は厭、さりとて前の与党に戻って貰いたくない。
健全な二大政党時代到来はまだまだだったのか。


 懐⑪

歴史を「もしも」で語っても
意味がないと言われるが
初めて民意が選んだ民主党政権の件では
いろいろな「もしも」の考え懐く機会与えた。
千年に一度の自然災害なかったならばとか
議員がもう少し政策勉強をしていてくれたならばとか
政党がもう少し公約守る気概あればとか
マスコミがもう少し中立的であったならばとか
お家芸の党内抗争起激化させなかったならばとか
参院選挙で負けなかったならばとか
政治と金がうたい文句の首相にもう少し実力があればとかと
「もしも」考える気持ち数々出てきた。
こんな「もしも」に取り囲まれるのも
失望感それほどあったということだろう。


 懐⑫

自民党政権では
もはや日本の陋習断ち切れぬと
見切った国民を見透かすように
華々しい公約掲げ誕生した民主党政権は
自民党政権を倒すことだけが目的だったのか。
相変わらず老獪な霞ヶ関に翻弄され
大見得切った政治主導が官僚主導に戻らされている。
幼稚化した素人の政権と言えばそれまでだったが
せめて公約違反してしまったことの
罪の意識と恥の意識の両方を
かけらでも自覚してもらいたいものだ。
不幸にも
懐狭い民主党の政治家に投票してしまった人間の
気持ち払わせるためにも。


 懐⑬

そして自民党が続き様に勝利した最新の衆議院議員選挙。
自民党が評価されたわけではない。
民主党の政治があまりにもひどく
期待裏切られたの思いがきつくしっぺ返しをした結果。
裏切られたという思いは
理念なき国家戦略室の設置を初め
禁止したはずの天下りの容認や
パフォーマンスでしかなかった仕分け作業や
大震災後の無策ぶり露呈してしまった。
左翼運動家特有の権力争いして純化路線をとり
結局は官僚のいうままに踊らされた。
国民のバツの悪さはこの上もない。
で再び自民党政権を選挙民は選んだわけだが
それだけに異様な懐かしさ国民に味あわせた。

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