Ⅱ心、苛立つ
苛
①小さい草が生えているさま。
②こまかい。わずらわしい。
③からい。むごい。きびしい。
④おもい(苛疾)。
⑤みだす。みだれる。
(角川 大字源より)
苛-前口上
病気で体に不具合持ち
普通の振る舞い出来なくなると
昔を思い出しては不運をかこつ。
そればかりか小さいことにも腹立つようになり
人や物にも苛立ちぶつけるようになる。
その原因自分の方にあるのは分かってはいても
なぜか矛先他者に向ける。
苛立ちは義憤の表れと言い訳させる
不自由な体の自分が恨めしい。
人間出来た賢人言うように
飛べない鳥は飛べないところに自由があるのだ
こだわり棄ててこそ明日への出発出来るのだと
悟ればいいものを
体の不自由さが私の心乱している。
苛①
私より年の若い人が
次々と亡くなっていく
それを目にして次は自分かもしれないと思ってしまう。
それだけ年をとっているのだからと
殊勝げに言ってはみても
世の中の事もう少し見聞きしたいとも思うのは
煩悩のなせるさもしい言い訳か。
年取ればこそ落ち着きも寛容さも出来て当然なのに
ちょっとしたことにも苛立ち覚えるのは
生きたいと思う気持ちの表れなのか。
間違いもなく死への準備しているのに
今私が生きているのは
多少の欲と多少の煩いあればこそと
感謝する私になりさがっている。
苛②
日本人的な人生パターンに従って
定年後に郷土に帰り
長男ということで
猫の額のような畑の幾つかを継いだ。
病気の後遺症で耕作もままならず
土地には草がぼうぼうと生えている。
過疎地のこととて価値もなく処分も出来ない。
寄付すると言っても維持費かかると断られる。
そんな土地でも固定資産税払えよの通知が毎年来る。
利益あげる都市とは違い
片田舎の土地持ちには税金は納めるものではなく
むしり取られるものでしかない。
利用価値のない土地にしたのは国なのか私なのか
苛立ちの一つともなっている。
苛③
企業は儲けることか゜その使命。
そのために時には恫喝めいた警告もする。
今、印象に残るのは
原発なければ電気代もっと上がるという恫喝。
ウインドウズXPはそのまま使えるが
ウイルスにやられてしまうとの恫喝。
一見利用者のための物言いのように見えるが
自利を図っての恫喝であるのは見え見え。
企業は儲けることで社会のお役に立つとの理屈は
資本主義社会でこそ通用するのではあるが
そんな社会が長く続くと
企業は社会的貢献どころか社会的束縛さえかけるのだ。
経済的余裕のある庶民には何ともないだろうが
年金生活者には心苛立せるきびしい時代となったものだ。
苛④
電力を供給する民間会社がある。
民間会社である以上
経営で損失出せば
経営与る人は責めを負う。
だのにこの民間会社
赤字を出したというのに役員には多くの手当を出し
正規雇用者の社員には高給を出す。
大企業の上に
公的企業ということでおごりあるので
後ろめたさもなく値上げして平気で庶民にツケを回す。
真実を庶民に知らせず嘘ばかりをつく。
国の政策にべったりだと
消費者の苛立ちさえも封じられるということを
この民間会社は図らずも証明してくれた。
苛⑤
日本で一瞬原発稼働が皆無になったのは
原発推進派にとっては恥ずべきことだったのか。
福島の原発事故で懲りたはずなのに
あっという間に再稼働の動きが加速されていく。
原発は麻薬のようなものかもしれない。
安全で心地よいこと楽して味わえると吹き込まれ
一度使用してその習慣性から逃れられず
ついには使用せねばならない体にしてしまう。
まるでやくざが人をシャブ漬けにするような
手法をまねしたかのように
政府や電気会社が
国民を怠惰で欲どしい人間にしていく。
そして計画停電で脅かす姿を見るにつけ
われわれの苛立つ心もいつしか麻痺されていく。
苛⑥
選挙がくる度に思うのは
その都度行われるメディアの事前調査。
90%の人投票するとが答えているのに
実際は50~60%くらいの投票率。
日本の国民は選挙にいい加減なのか。
それとも報道する側がいい加減な質問するからなのか。
メディアは常に世論調査に依存しながら
さも報道が正しかったと言い訳するように
なぜ投票率が低かったのかをしたりげに解説する。
実際投票しなかった人の決まり文句も
「仕事が忙しく行けなかった。」
「投票したって何にも変わらない。」
壊れたレコード聴くだけの
苛立ち覚えるいつもの選挙風物詩である。
苛⑦
日本のお偉方のよく言うせりふは
「辞するよりこのまま職責を全うしたい。」
これはいったん選ばれたエリートの常套語。
にもかかわらず言葉通りに実行した人は
まあ、お目にかからない。
大半が地位に固執して高収入に酔いしれている。
例の大震災以後のお偉方の立ちいふるまいは
何十万の人を路頭に迷わせ苦しめながら
誰もが責任を取らず日本人の心を苛立たせている。
天災にかこつけて民を利用しようとする魂胆は
日本の無責任体制そのもの。
和を以て貴しの日本民族に流れるよさが
戦後教育によってその良き部分を封じ込められ
負の部分として跋扈したからでしかない。
苛⑧
自民党にはこりごり
民主党にはがっかり
第三極はさっぱり分からぬ。
これはメディアが世論調査で捻り出した政党観。
現実はこりごりのはずの自民党が支持率第一位。
がっかりのはずの民主党が支持率第二位。
こりごりなのにこの数値。
がっかりなのにこの数値。
あきらかにこれはメディアに国民が踊らされたせいか。
日本の国民は変化を求めるに懲りたのか。
第三極の日本の仕組みを変えるのどうのの動きも
生活がどうの安全がどうのの関心に取って代わられた。
われわれの心を苛立たせているのは
今の風潮がなかなか変わらないということである。
苛⑨
テレビなどで見聞きして苛立つのは
「私達も反省しなければならないが」とか
「私達も悪いところがあるのだが」とか言いながら
相変わらずの自己主張し続ける出演者の光景。
しおらしげに前置きして言うものだから
ちっとは反省したかと思いきや
相変わらずの傲慢さを懲りなく維持している。
その典型を今までの政治に驕っていた自民党と
正義面して報道するメディアに見る。
権力の復権や持続図るにこれほど便利な言葉はない。
これらの言葉が使われた時
心苛立たせるだけではなく
より狡猾な戦術が採られているかもしれぬと
裏読みすること不可避だろう。
苛⑩
何をやっても責任をとらないのは
日本の役人の本質。
いっぱしの提言しながら
いざそれができる立場になっても
決断実行しないのは
日本の政治家の一般的特徴。
役人や政治家の資質がないというのではない。
むしろ個人的には優秀だと思わせる。
それなのにそんな身分を持つと
役人は相変わらず責任はとらないし
政治家は決断力がなくなってくる。
われわれの苛立ち高じてくるのは当然としても
よく見れば日本の国民の方が
そのこと許す体質を持っていた。
苛⑪
イエスかノーかをはっきりさせてから
いろいろ行動するのが西洋の人間。
そのずるい逃げ道はダブルスタンダードで臨むこと。
イエスかノーかをはっきりさせずに
いろいろ行動するのが日本人。
そのずるい逃げ道は周囲に決めさせて自利謀ること。
結局人間とは欲どしい存在なのだと言っても
倫理的にそれ自体を非難できないのは
それが近代的人間の本質だから。
日本の場合は借り物の民主主義である上に
今も村社会の生き方に固執している。
総論賛成、各論反対のやり方で我欲満たそうとし
身内の判断を優先するにはばからない。
それで何が悪いのかと思っている日本人はごまんといる。
苛⑫
ヤクザという組織がなくならないのは
談合という手法がなくならないのは
裏金という使い道がなくならないのは
望む気持ちが
日本人の心の中で払拭されていないから。
反社会的のイメージ強いヤクザはともかく
談合や裏金は「和をもって貴し」の日本よく表している。
口では否定するが腹では「必要悪」認めている。
本音と建て前使い分けしつつ
それって悪いことだったのかと初めて気づく日本人。
それの何が悪いのかと開き直る確信的日本人。
そんな悪弊ひたすら恥じる日本人の混在する中で
日本とは何?と確認しようとしても
確認できない苛立ちがまだまだ残っている。
苛⑬
中国や韓国で反日教育受けて育った子供たち。
大人になって道理がわかってきても
日本の国旗や財産を踏んづけ燃やしたりするのに
何の後ろめたさも感じない。
同じように
日本で戦後の国連賛美の平和教育受けて育った子供たち。
大人になって道理がわかってきても
反日教育染みついた中国人や韓国人の行為を知っても
戦後教育染みついた日本人としては
平和的に処するのだと別段騒ぎもしない。
そんな中国人や韓国人を愛国的であると思わせ
そんな日本人を人間的であると思わせるのが
国が管理する戦後教育だと思えば
苛立つ日本人の心も少しは治まる。
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