ゾイド戦史(ZAC2045〜48年)

年代(ZAC) ロールアウト(または初登場)したゾイド 主な出来事
2045 レドラー、ツインホーン、ディバイソン、各種MKU部隊、アロザウラー、メガトプロス、バトルローパー、ネプチューン <デスザウラー捕獲作戦>

ヘリック大統領は海岸地帯の至る所に替え玉を配置、帝国の兵力を分散させ各個撃破で消耗させていた。しかし、戦局は決して有利とはならない。デスザウラーを倒すためのゾイドを開発するには、デスザウラーを捕獲し研究するこができればどれほど助けになろう。そんなヘリックの意図を察した将軍達は、無断でデスザウラー捕獲作戦を計画した(おお、独断専行)。

3月、共和国に駐屯するデスザウラーを監視するシールドライガーから、ターゲットが単独で行動をしているとの報告が入った。将軍達はウルトラキャノンとサラマンダーのミサイルで、デスザウラーの弱点インテークファンを撃ち抜き、捕獲するつもりでいた。しかし、予定より早くデスザウラーとサラマンダーが遭遇、焦ったウルトラはキャノンを撃つもインテークファンに命中するはずもなく、サラマンダーは荷電粒子砲の一撃をくらい撃墜された(お粗末ですなあ……)。

<フロレシオ海海戦>

ヘリック大統領は中央山脈を押さえるため、中央大陸南方に広がるフロレシオ海を横断し、山脈の南端から上陸する手段を考えた。

5月、リンデマン提督はフロレシオ海制圧のためウルトラザウルスを結集し、基地に張りぼてのウルトラを偽装として残し出撃した。海上で空母型に改装し、ありったけのプテラスを搭載する。次にアクアンドン、フロレシオス、バリゲーターからなる無人の艦隊を動かし帝国軍に迎撃させ、帝国海軍を誘い出した(哀れ小型3ゾイド)。そこへ後方に控えていたウルトラ艦隊から対艦・対潜装備のプテラス隊が発進して帝国艦隊に襲いかかり、ウルトラ艦隊の方角へ追い立て全滅させた。一方、海上をパトロールしていた対レドラーのプテラス隊は、高速で接近するレドラー隊を捕捉、激しい空中戦を展開した。激戦の末、プテラスの抵抗を排除したレドラーは既に燃料を多く消費していたが、尚もウルトラ艦隊を探す。しかし目標は遠く、発見したときにはもう燃料は残っていなかった(ゾイドも燃料を使うらしい)。指揮官ガーランド中佐は麾下のレドラーに対艦ミサイルを棄てて着水するよう命じ、自らは二発のミサイルを撃つ。それは標的確認用の信号弾だった。彼は誇りと、勝敗の決した今無駄に敵兵を殺すまいという両方の信念を見せたのだ。リンデマン提督は敵パイロットの救助を命じ、ここにフロレシオ海海戦は決着した。

<ヘリック大統領誘拐作戦>

昨年末の北洋艦隊壊滅以後、教え子を戦死させたフランツ大尉はこの戦争を終わらせるため、ヘリック大統領を捕らえることを考えた。

6月、デスザウラーによって壊滅させられたゴジュラス駐屯地の生き残りと称した彼は、デスザウラーの作戦指令書を奪ったと言う。それを見たヘリックはデスザウラー捕獲作戦を実行、サラマンダーの赤外線ホーミングミサイルでインテークファンを撃ち抜き、コマンドウルフがコックピットに催眠ガスを流し込んで捕獲に成功した(哀れデス様のパイロット。ほとんど道化)。フランツはヘリックとの面会を許され、デスザウラーと共に秘密基地に向かった。そこで彼はデスザウラーの胸部に隠していたロードスキッパーに飛び乗りヘリックを拉致、しかしヘリック親衛隊の女騎士ローザ=ラウリに阻まれた。彼女はフランツの命を取ろうとはせず、「私は誰も倒したくない」と告げた。この言葉はフランツの胸に深く刻まることとなった。

<ウルトラザウルス陽動作戦>

7月、共和国軍は5千隻、17万人からなる大規模な上陸部隊を組織し、中央山脈南端ゲルマンジー半島への上陸作戦を開始した。その為には上陸地点付近に居るデスザウラーを排除しなければならない。共和国軍は一機のウルトラ、二機のゴジュラスMKU、数機のバリゲーター(バリゲ、さっきからロクな扱い受けてません)から成る囮部隊を編成、帝国軍海岸陣地に襲いかかった。激しく戦う囮部隊だがデスザウラーの前に壊滅、すぐ近くに大規模な上陸部隊がいると思ったデスザウラーのパイロットは、荷電粒子砲の一撃で海を割る。しかしそこには僅かな戦力しかなかった。はるか沖合に敵本隊の存在を認めたデスザウラーは海を渡ろうとする。その時瀕死のウルトラがキャノンを撃ち、インテークファンを破壊した。だが、デスザウラーは前進をやめなかった。ウルトラ艦隊に追いついたデスザウラーは果敢に攻撃を仕掛けるが、袋叩きにされ、遂に海底に沈み共和国軍は中央山脈に進出した。

<共和国軍、中央山脈へ進出>

8月、中央山脈に進出した共和国軍は有利に戦況を進めていた。山岳地帯という特性上、デスザウラーなどの大型ゾイドの行動は制限され、代わって中型ゾイドが活躍した。この点において共和国は帝国に勝っていたのだ。とりわけ活躍著しいのはコマンドウルフであったが、ここに一つのエピソードがある。中央山脈の山奥に戦災孤児達がつくった村があった。ある時そこへ傷ついたコマンドウルフが逃げ込んできた。子供達は帝国の追跡部隊からこの兵士を守ろうと決意、コマンドウルフを囮にし、追跡してきたツインホーンの一瞬隙を衝いて機体を奪取、続いて谷間の崖を砲撃し落石を起こして後続の部隊を埋めた(ひでえ)。さらに帝国軍がブラックライモスを出してくると、張りぼてのゴジュラスMKUで騙し退却させ、とどめに山頂の湖の土手を砲撃で決壊させ、大量の水でライモスを流し去った(またやった)。子供達は見事に兵士を守ったのである(死んだ帝国兵士はどうするんだ)。

2046   <帝国山岳基地陥落>

共和国軍は順調に中央山脈を北上していた。

3月、ゼネバスは冬将軍の到来にあわせて山岳基地に共和国軍を釘付けにし、決戦を挑む構えでいた。しかし共和国軍も長期戦の構えだった。やがて帝国軍基地の備蓄が底を尽きはじめ、救援に来たデスザウラーも寒冷地仕様のマンモスによって氷づけにされる(有名なシーン。マンモスファン感涙)。そして、共和国軍はヘリック・ルートと呼ばれる秘密の山道を使って物資を輸送し、帝国軍基地よりも高地で5台のウルトラを組み立てた。そして、山頂からの攻撃により、文字通り帝国の山岳基地を踏み潰したのである。ヘリック大統領は司令部を中央山脈に移し、首都を目標に据えた。

<レッドリバー包囲陣突破作戦>

8月、中央山脈南部を出て、レッドリバー沿いに平原地帯を進撃していた共和国軍が、敵の占領地に深入りし包囲されてしまった。総司令部に救援を要請する味方に、ヘリックは親衛隊のローザ大尉と共に総司令部の兵力を率いて向かう。中核は大統領専用ゾイド「ケンタウルス」。ウルトラの胴体にゴジュラスの上半身、サラマンダーの翼、ゴルドスの背鰭で構成された改造ゾイドである。突如として背後に現れた巨大ゾイドに、帝国軍は大混乱に陥った。だがその頃、デスザウラーを山岳地帯用に改造した4足ゾイド「デスドッグ」が、コックピットにフランツ大尉を乗せて共和国総司令部に接近していた。彼はヘリックを殺すつもりでいた。ゼネバス皇帝の命に背き、階級を棄て、過去を棄て(この人、かなり追い詰められてます)。ローザの言葉を頭の片隅に響かせつつ、彼は進んだ。レッドリバーの味方を救出し帰還したヘリックとローザの前に、破壊された総司令部が待ち構えていた。信じられない彼等に、がれきの下に潜むデスドッグが襲いかかる。ローザは強制的にヘリックを脱出させると、デスドッグと激戦を繰り広げた。近接戦闘になり首に噛み付かれると、デスドッグもろともエネルギーが尽きるまで天高く上昇する。そして、落下。大破する二体だが、フランツ大尉は脱出する。ローザ大尉は脱出できなかった。かけつけたヘリックはコックピットに残ったローザを救出し、傷つきながらも敵パイロットの身を案じる彼女の優しさに衝撃を受け、彼女の存在をかえがえのないものだと認識したのであった(ちなみに、フランツその後。撤退する帝国軍の中に彼の姿はあったのだが、その後の行方はようとして知れない)。

<共和国軍、平原地帯奪回へ>

10月、共和国軍は突撃ゾイド・ディバイソンを先頭に立て、遂に平原地帯への攻勢を開始した。帝国軍はデスザウラーを先頭に立てて防戦に務めたが疲労の極みにあり、徐々に後退を重ねていた。

<ヘリック大統領、ローザと結婚>

大晦日、負傷の親衛隊ローザを見舞ったヘリック大統領は結婚を申し込んだ。時にヘリック=ムーロワ89歳(ローザは確か20代だったと思うが……いいんでしょうかね。いいんでしょうねえ)。長寿のゾイド星人ならではの逸話である。尚、二人は翌年11月に男子をもうけた。

2047 グレートサーベル <チェスター教授救出作戦>

4月、共和国軍は帝国軍に捕らえられているゾイド星きっての優れた科学者ハーバート=リー=チェスター教授を救出するため、敵の占領下にある首都に特殊部隊を送り込んだ。彼は若い時から第一級科学者として認められ、以来40年にわたり共和国のゾイド開発に携わった。特にウルトラザウルスは、名声を決定的なものにしている。一方、帝国にはチェスター教授と双璧をなし、デスザウラーを開発したドン=ホバート博士がいたが、この時期に亡くなっている。彼は亡くなる直前にチェスター教授に会い何かを渡したが、それについてはもっと後になるまで明らかにはならない。

さて、チェスター教授救出作戦は、まず大口径砲を積んだ改造ディバイソン「ビッグ・バッド・ジョン」が陽動を行い、メガトプロスやネプチューンが地下水道を利用し教授を救出、高速仕様のアロザウラー(最高時速200km以上。虎より速いんかい……)が脱出を担当するというものだった。これは途中までうまくいったのだが、アロザウラーがデスザウラーに遭遇してしまい危うく破壊されそうになった。いや、正確には破壊されたのだが、すんでの所でアロの頭部が切り離され飛んで行き、上空でダブルソーダに回収され、なんとか逃げおおせることができた。

<グレートサーベルロールアウト>

チャスター教授救出作戦は成功した。のみならず、陽動のディバイソンと救出を担当したメガトプロスが帰還したことは、帝国の戦力が低下したことを示すに充分な判断材料と思われた。ヘリック大統領は、新型ゾイドの開発は全てに優先して行うが、先に中央山脈北部の帝国補給線を分断し、これに成功したときは新型の完成を待たずに首都を奪回することを決定した。この補給線を断ち切れば、共和国領の帝国軍は孤立するのだ。

6月、補給線に西からはシールドライガー部隊、東からはベアファイター部隊が進撃した。しかし、ベアファイター部隊はシールド部隊との合流前に連絡が途絶えた。急行したシールド部隊は壊滅したベアファイター部隊の負傷者を収容しようと機体を降りたが、その瞬間に現れたのは帝国軍のグレートサーベル。瞬く間に部隊は壊滅し補給線分断作戦は失敗した。……個人的に、グレートサーベルよりノーマルの虎の方がかっこいいと思う……。

<かまどとツバメ作戦>

共和国は新型ゾイドの開発に国運を賭けることになったが、ひとつ問題があった。チェスター教授の身の安全である。ここでルイス大尉とマーチン少佐という二人の変わり者将校がある作戦案を提出してきた。ちなみに、どれぐらい変わっているのかと言うと、雨の日に洗剤まみれの軍服を着たり、使用済み靴下で茶をこして部下に振る舞うぐらいの変わり者である。前者はまだいいとして(よくないか)、後者は陰湿な部下いぢめに見えてしまうと思うのだが(飲まされる方はたまったものではあるまい。むさい男の靴下なのに)。さて、彼等の提出した「かまどとツバメ作戦」案を見たヘリック大統領は「ふざけるな」と二人を一喝、後に「これなら帝国を騙せるだろう」と了承を与えた。その上で危険な「かまど作戦」を二人に任せ、自分は簡単な「ツバメ作戦」を受け持つと言った。

7月、ルイスとマーチンのにわか将軍はフロレシオ海の小島に乗り込み、大規模な基地を急ピッチで建設し始めた。特に「一万人分の屋外トイレを」との注文を付け、二週間で基地と地下工場を完成させた。11月、帝国軍は案の定デスザウラーを先頭に大規模な上陸部隊を差し向けた。ここがチェスター教授の秘密工場と睨んだのだ。攻撃を受けた共和国軍は島の奥地に退却したが、ルイスのアロザウラーは格下の相手とは派手に戦い、一方デスザウラーにはこれ見よがしに逃げ回り、基地全体をくまなく破壊させた。やがてルイスは山頂の火口に追い詰められたが、ここでマーチンのディバイソンが不意を衝いてデスザウラーを火口に突き落とし(ゴ○ラ?)、彼等は密林に逃げてしまった。結論を言うとこの島は欺瞞である。大量の屋外トイレは基地の規模を帝国軍に誤認させるための策であり、事実帝国軍は見事に引っ掛かり大軍を派遣してしまった。これほどの大部隊はそうそう動員できるはずもなく、もう一回やるまでに新型ゾイドは完成してしまうであろう。その頃共和国内の空軍基地では、機内を研究所に改造したサラマンダーにチェスター教授が乗り込み、三日に一度の補給だけで延々飛び続け、新型ゾイドを研究することになった(監禁同然だと思うが……)。更に組立には三ヶ所の研究所を使用し危険を分散させる。チェスター教授はこの作戦の立案者を「野蛮人で詐欺師で、天才的な作戦家」と言ったという。

2048 ゴーレム、ライジャー(?)、マッドサンダー <共和国研究所空爆作戦>

忽然と「消えた」チェスター教授を血眼になって捜している帝国軍に、ある情報が入った。中央山脈南部に大規模な発電所と研究所の存在が確認されたのだ。ゼネバス皇帝はドン=ホバート博士の子息マイケル=ホバート技術少佐に強力な飛行ゾイドの開発を命じた。彼は死にものぐるいで新型ゾイドの開発に取り組んだが、時間の関係からデスザウラーを改造するにとどめざるを得なかった。

1月、「デスバード」は高度4千mからマッハ2で共和国秘密研究所上空に侵入し、猛爆撃を行った。不意を衝かれた研究所は壊滅、出撃したプテラス部隊も運動性能が低下する高度3万mの高度での戦闘で次々撃墜されてしまった。しかし、プテラスを改造し最高速度マッハ4、最高高度4万mを誇る偵察機ステラスがデスバードを追跡し、その基地を割り出していた。

<デスバード基地奇襲作戦>

同じく1月、チェスター教授救出作戦を指揮したロバーツ大佐は改造ゾイド部隊でデスバード基地を奇襲する作戦を立てた。自らはパワーハンドとビームガンを装備した陸戦型サラマンダー「ガブリエーレ」に乗り込み、両脇にアロザウラー2機を抱え込んだ輸送型サラマンダー「ランフォリンクス」2機を連れて夜間に攻撃を仕掛けたが、そこには陸戦型改造デスザウラー「デスシャドー」が待ち構えていた。電磁剣で真っ二つにされるガブリエーレとランフォリンクス。逃げ出したアロザウラーも「イエロー・フラッシュ」を浴び特殊な電波を発生するようにされてしまった。デスシャドーは追跡し、遂には全てのアロザウラーと救援に来たサラマンダーを撃破した。賞賛の声を浴びるマイケル=ホバートだが、彼の心は晴れなかった。彼は全く新しいゾイドを開発し偉大な父ドン=ホバート博士とチェスター教授を超えたかったのだ。……尚、改造サラマンダーの名誉のために言っておくと、ランフォリンクスは50機動員で一夜で100機のアロザウラーを空輸したこともあり、大空輸作戦にはなくてはならない存在である。

<ゴーレムの活躍>

マイケル=ホバートはひとつの万能歩兵ゾイドを完成させた。名は「ゴーレム」。高性能センサー、高い運動性能、あらゆる武器を操る精密なパワーハンド、分厚い装甲でパイロットを守るコックピット。これらを持つゴーレムはマイケルのある考えを体現していた。「敵ゾイドを倒すのにその機体を完全に破壊する必要はない。敵のパイロットを倒すかコックピットを使用不能にすれば、勝利を得ることが出来る」そして、優秀なパイロットが操縦すれば巨大ゾイドですらも倒せるはずである。マイケル少佐は自らそれを実行した。ウルトラザウルスのハッチを爆破し機内に侵入、爆破装置をセットして脱出、爆破させたのだ。爆発は弾薬庫に引火しウルトラは業火の中に倒れ去った。マイケル少佐の活躍は帝国中に響き渡ったが、皇帝ゼネバスは喜ばなかった。科学者としてのみならず、パイロットとしても優秀なマイケル=ホバート少佐。彼のその能力と闘志が、いつか不幸を呼びおこしそうに思えたのだ。

<共和国新型ゾイド攻撃作戦>

帝国は共和国に対し大反攻作戦を開始した。もはや猶予なしと見たチェスター教授は、自分が直接研究所で新型ゾイドの開発に取り組むことを進言、一ヶ月の時間を欲した。ヘリック大統領はこれを承認した。すぐに帝国軍はこの動きをキャッチ、直ちに第二次空爆作戦が決定された。目標は共和国セシリア市西方100kmの研究所。そこに何百人もの科学者と膨大な物資、大規模な守備隊がいるとの情報が入ったのだ。この時ゼネバスは空爆の前にチェスター教授を誘拐し、共和国の新型ゾイド開発の元の根を断つことにした。

9月、高々度偵察機から飛び降りたゴーレムが高度3万mから敵地に侵入、研究所に忍び込んだ。しかしそこには人影はなく、戦闘音が響いても敵は出てこない。不審に思うゴーレムの前に、新型に見せかけた錆びたゴジュラス。ここに来てゴーレムのパイロトは確信した。ここは囮だと。実は共和国軍は帝国を騙すためにいろいろとやっていた。大量の物資や増援を要求する嘘の通信文を送り、空のトラックを頻繁に出入りさせ、大型トレーラーにゴジュラスのジャンクを載せ新型の部品に見せかける。ゴーレムは空爆に来た味方にここは囮だと訴えるが、その声は届かなかった。彼は偽の研究所と共に火炎の中に消えてしまった。それにしても帝国軍は本当によく騙されている。

そして、セシリア市から1000km以上北方にある秘密地下研究所にて、待望の新型ゾイド「マッドサンダー」が完成した。

<マッドサンダーロールアウト>

帝国は、西から本土の部隊を、東から共和国駐屯部隊を動かし、中央山脈の共和国軍を包囲していた。これに対しヘリック大統領は、全ての航空戦力を中央山脈に向ける一方、マッドサンダーを先頭に首領を首都に向かわせ首都奪回作戦を開始した。だが首都の前には難関があった。堅固な要塞と、塔の上から大型ミサイルを撃ち共和国軍を撃退し続けるアイアンコングである。

10月、マッドサンダーはこの要塞に正面から立ち向かった。十字砲火をものともせず、長く延びた二本のドリル「マグネーザー」で城壁を突き破り、強烈なサーチライトとサイレンで敵兵を恐慌状態に陥れる。「塔の上の悪魔」アイアンコングは至近から大型ミサイルを浴びせたがこれも通用せず、マグネーザーで塔を破壊され、ビーム砲で撃ち抜かれてしまった。首都への道は切り開かれた。

<マッドサンダー対改造デスザウラー>

12月、「狂える雷神」マッドサンダーは首都の目前に到達した。それを迎え撃つのはマイケル=ホバート少佐が首都防衛用に開発した決戦ゾイド「デスファイター」。超合金の剣「エクスカリバー」を装備し(Zナイト……というツッコミは禁句ですか?)火力・機動力をアップさせたデスザウラー最終改造タイプである。しかし、マイケル少佐には己の敗北が見えていた。彼に対峙するゾイドは「完璧」だったのだ。それでもこのマッドサンダーを知り尽くしたい思いが彼を動かした。正面から衝突する巨大ゾイド二体。振り下ろされたエクスカリバーが砕け散る。デスファイターはマグネーザーを掴み荷電粒子砲を至近距離で叩き込む。しかし、共和国が必死になって開発した反荷電粒子シールドはこれを跳ね返した。そして、マグネーザーがうなりをあげてデスファイターを貫く。勝敗は決した。死を覚悟するマイケル少佐だが、マッドサンダーのパイロットは彼を助命し、「敵は倒さねばならん。だが殺すことはない。これがあのゾイドの戦い方なんだ(大嘘つきめ)」と告げ、更にマイケル少佐の名を正確に言い当てた。「何故私の名を知っている。君は一体誰だ」問いかけるマイケル=ホバート少佐には答えず、マッドサンダーのパイロットはコックピットに消えていった。

<共和国首都奪回>

12月、首都にある帝国軍司令本部はマッドサンダーのマグネーザーで破壊され、掲げられていた帝国軍旗が地に落ちた。共和国軍は首都を奪回したのだ。一方中央山脈の共和国軍山脈部隊も帝国軍の包囲網を打ち破り、反撃に転じていた。ゼネバス皇帝は相次ぐ敗北の報に耐えていたが、マイケル少佐が行方不明との報告に我を失った。彼はマイケルを弟のように思っていたのだ(公式記録ではゼネバスには兄とその息子以外に肉親はいないことになっている。本当は「エレナ」という娘がいたはずなんだけど……陛下、隠し子ですか?)。

そのマイケル=ホバートは共和国の病院で一人の科学者に面会していた。名をハーバート=リー=チェスター。会ってマイケルは驚いた。マッドサンダーのパイロットだったのだ。チェスター教授は一組の義手と義足をマイケルに手渡した。これはドン=ホバート博士が開発しながらも、志半ばで倒れる我が身を知ってチェスター教授に託したものであった。そして、チェスター教授もまた病におかされていた(マッドサンダーに乗って戦っていたのも同じ人。マイケルといい、ゾイド星の科学者は無茶しすぎだと思う)。教授は義手の裏をマイケルに見せた。そこにはこう書かれてあった。「ゾイド星で、最も心正しき科学者に、これを託す」

完成された義手と義足は共和国は勿論のこと、帝国にもヘリコプターにより配られた。「もしこれを使って帝国兵士がもう一度戦争に来たら」そんな疑念に一人の看護婦が異をとなえ、そしてこう言った。「だって私たち……、人間ですもの!」

〜ZAC2039年  ZAC2040〜44年  ZAC2049〜56年

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