ワタシは美内すずえのかなりのオールドファンである。 (全然自慢にはならない・・そればかりか、トシがぁぁ・・・!) 半分以上は作品を読んだつもりである。最近文庫を買い漁って、 過去に読まなかった作品にも出会ってふと気付いた・・・。 あちらこちらにマヤと真澄がいる!これを語らずにはいられない!! |
各作品における真澄度 評価基準 |
イイ男であるが、顔が長い。 金持ち、又は身分が高い。 主人公を陰から見守る、又はプロデュースする立場にある。 そう簡単には主人公と結ばれないようなワケがある。 とにかく何かしら苦悩している。または白目になる。 |
各作品におけるマヤ度 評価基準 |
一見平凡ではあるが、そこそこかわいい。 ドジである。またはおてんば。 明るい性格で、苦難を乗り越える強さがある。 何かしら才能がある。 時々神がかる事がある。またはトリップする。 |
掲載作品にジャンプします。 | ||
エリカ風の中を行く | 王女アレキサンドラ | 帰らざる氷河 |
金色の闇が見ている | 白ゆりの騎士 | 13月の悲劇 |
ジュリエッタの嵐 | 聖アリス帝国 | はるかなる風と光 |
ビクトリアの遺書 | 冬のひまわり | ポリアンナの騎士 |
燃える虹 | 雪の音 | 妖鬼妃伝 |
人形の墓 | アマテラス | |
納涼企画・ホラー3部作 黒百合の系図 魔女メディア 白い影法師 |
アマテラス | 千倉沙耶 (クシュリナーダ) ジュリアス・レイア (エリオス) スサノオ(?) |
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1986〜 月刊ASUKA連載 あすかコミックス 2001〜 月刊少女帝国連載 |
千倉沙耶は幼い頃から不思議な能力を持った子だった。家族が無くした物の在処を言い当てたり、幽体分離し てさまよったり、不思議な人と接触したり。(&小さい頃からよく‘白目’になった・・・爆) 成長するにつれ、それは頻繁に起きるようになり、16才の誕生日を迎えた日、ついに彼女は目覚める。彼をねらっ て頭上に落ちてきたシャンデリアを‘気’で破壊したのだ。その場に居合わせた(といおうか、見張っていた)不思議 な外人ジュリアスは、沙耶を‘クシュリナーダ’と呼ぶ。 その日を境に、沙耶の能力はさらに高まり、また彼女を ねらう影が暗躍しだす。その魔の手がクラスメートや家族にも及ぶに至って、沙耶は家族のもとを離れ、ジュリアス に連れられ、白上倭多里老のもとに身を隠す。 沙耶ははるかな昔、海に沈んだムー大陸の戦士クシュリナーダの生まれ変わり。ムーは、全知全能の創 造神である‘ラ・ムー’の代理人たる国王が治める帝国だった。平和だった帝国はいつしか、破壊と闇を支配する 魔神をあがめる者たちによって二分され、ラ・ムーの使いである神軍との長い長い戦争が続けられた。ついに‘ラ・ ムー’の怒りによって引き起こされた天変地異でムー大陸は沈み、残された人々は世界中に散っていった。 帝王は三人の子供達に鏡、玉、剣を与え、はるか後の世に神軍の再来を預言、その三つの宝を集め、再びラ・ ムーの治める国を立て直すようにと命ずる。クシュリナーダは、その第3王子スサノオの‘妃’でもあるのだ。 沙耶は‘竜宮城’で神々(=宇宙人?)の洗礼を受け、自分の使命を自覚し、真理を得る。 魔軍の矢で射られ噴火の危機に瀕した富士山を守るべく、彼女のアイテムである‘盾’を求めて鳴門に赴いたと ころで、物語は止まっている。(2001年8月現在休載中) ガラかめの結末を占うか?アマテラス 「わたしは誰・・・?わたしは光・・・有りて有るもの・・わたしは命・・・」 「天地一切の万物がわたしと同じものであり わたしと天地一切の万物が 同じものである」 「・・・遺伝子DNA・台風・竜巻・蔦の蔓・銀河・・数えあげればきりがないほど自然界のあらゆるものが渦巻きの エネルギーを持つ それを生命エネルギーとして筒にたとえるなら渦巻き螺旋をそこから見た姿・・・ それが勾玉の姿・・・」 「我が力は螺旋となりて天へ昇り 地のものを育ててゆく 水のものを育ててゆく・・」 「アマテラス」と「ガラスの仮面」紅天女編からの抜き書きである。 美内先生が‘宗教’をやっているのは有名な話だし、「アマテラス」の中でその教義を述べているらしい事も有名。 沙耶の‘洗礼’の場面はまさにそうなのだが、読んでいると(先生に申し訳ないが)アタマが痛くなっちゃうのだ。 ただ、素直に読めば、先生が現在の地球の様子、堕落した人間の様子を憂いている事は伝わってくる。地球を 救いたい気持ちを沙耶に託して、「アマテラス」を描いているのだろうと思う。 (ただ、地球を守るために日本が大きな役割を負っている。そして戦士となるのが‘ヤマト神族’だ、というのには、 なんだかな〜、危ういなあ〜、なんて思う私。ま、それは置いといて。) そして、「ガラスの仮面」のメインイベント「紅天女」の世界は、即、「アマテラス」の世界だ。 特に「螺旋=渦巻き」の表現は、よく出てくる。紅天女の登場の「おおおおお・・・」もそう。これはもともと神道の儀 式の最初に、神主さんが神を呼ぶ声ですよね。そして、なんといっても、「陽と陰、ふたつの勾玉」でしょう。引かれ 合う二つの魂、二つの命の象徴・・・そして国造りの原点でもあるらしい。 「陰と陽」は‘真澄とマヤ’なのか、‘沙耶とスサノオ’なのか、それともひょっとして‘沙耶とジュリアス’なのか。 ふたつの魂は結ばれる運命なのか・・・・。「アマテラス」の結末が「ガラスの仮面」の結末を左右するように思う。 もっとも美内先生が「アマテラス」を終わらせないと、「ガラスの仮面」にも終わりはこない・・・だろうけど。(そう簡 単に終わるような話でなくなってきたようで・・・T_T) |
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ジュリアス・レイアは現在も過去もクシュリナーダを守る立場であり、その役割から踏み出すのは許されない。 だが彼が沙耶=クシュリナーダを愛しているのは明白だし、それを彼の上司?(導師 グルと彼は呼ぶ)も知って 彼にクギを刺している。つまり、「まったくむくわれない恋」を現在も過去もしているのだ。気で電車を止め るほどの強い力を持ち、何度も沙耶の危機を救っている使い手だが、しょっちゅう顔に影線or頬染め線が入って いるかわいそうな方である。 見た目はまったく‘真澄さん’なので、「ガラかめの真澄さんも、ジュリアスのような運命なのだろうか」、なんて思う と、居ても立ってもいられない気持ちになる。「ジュリアスよ、天に逆らってでも、やるのです。」なんて、誰か言わ ないんだろうか。 沙耶ほど感情移入できない少女マンガのヒロインはいるだろうか。と言おうか、この作品を読む読者は、いったい 誰に感情移入して読むのだろうか。思うに、沙耶は美少女だわ、お勉強もそこそこ出来るわ、いいお姉さんだわ、 あまりに普段からよく出来過ぎるのだ。「美少女戦士 セーラームーン」のように、「実は彼女は前世では○○ だった」というのはよくあるお話だが、定石として、『普段はドジでワガママでどーしよーも無いけど、イザとなったら 自分を投げ出し、みんなのためにスゴイ力を出す』という手段を採っている。(セーラームーンは、特にアニメでは そのあたりを強調したため成功している・・と思う。)そういう手段を採っていないため、読者は「がんばれ沙耶!」 という気持ちになれないのではないか、と思う。(いたらゴメンなさい。) スサノオは、いまだ存在自体がいまいち不明。いったい何者が「帝王の第3王子スサノオ」の生まれ変わりになっ ているのか、物語ではまだ何も語られていない。ただ、沙耶だけは彼の気を感じられ、わずかに交信できるようで ある。とにかく彼は沙耶=クシュリナーダの夫となる運命を背負っているらしい。彼と波長が合えば、積み重ね が無くとも‘妻’になれるか、沙耶よ! スサノオは‘剣’を持つ者であるゆえ、敵の手におちる前に彼を捜しださねばならない。もし敵の手に落ちてしまっ たとしたら・・・彼の力が仇なすものとなってしまったら・・・・。(何とかジュリアス君にチャンスをやりたい私・・・何か 悲しいっ!!) 最後に、何のマンガのセリフだったか覚えていないんだが、 「我々は、同じ事をくり返すために、生まれ変わって来たのではない。よりよい未来のために、よりよく生きるため に生まれ変わってきたのだ」 と言う言葉を捧げよう。 |
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真澄度 ジュリアスとして |
満点です!!! |
クシュリナーダ・・・ |
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真澄度 スサノオとして |
判断できず | クシュリナーダ!!(絶叫) | |
マヤ度 | 神懸かる点では 並ぶものナシ! |
会いたい!あなたに会いたい! おねがい、気づいて! |
人形の墓 | ジョエル アナベル ローズ・リー夫人 |
1973 週刊マーガレット 傑作選7より |
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孤児アナベルは、ジョエルによって孤児院から引き取られ、彼の姉ローズ・リー夫人のもとに連れてこられる。 ローズ・リー夫人は12年前に夫を、3年前に娘のセーラを亡くして以来、家に引きこもっており、弟ジョエルは それを心配してした事だった。それどころか、リー夫人は娘の遺した人形をセーラと思いこみ、生きているように 接し、アナベルに心を開かない。 しかし、明るい性格のアナベルは屋敷の暗い雰囲気を一掃、もともとやさしいリー夫人は、アナベルを認め、か わいがるようになる。そして、その頃からアナベルの身辺で、人形がからんだ奇怪な出来事が起こり始める。 そして、ある嵐の晩、ケガをして屋敷にひとりぼっちで残されたアナベルは、人形にさそわれるように手すりの くさったテラスから落とされる・・・。 なんでこの作品をホラー部屋に入れないのかって、思われる方もいらっしゃるだろう。 私の勝手な基準でいけば、この作品は‘ホラー的な少女マンガ’なんである(ハア?)。 アナベルを助けようとして、リー夫人は心臓の発作をおこす。必死で夫人の看病をするアナベルは、思わず人形 に向かって叫ぶ。「あたしはこの家を出ていかないわ どんな事があってもおばさんのそばを離れるもの ですか! ・・・あなたではおばさんを幸せにはできないのよ!」 リー夫人が意識をとりもどした時、人形の目から、まるで涙のようなしずくが流れおちる。本当にせつない場面だ。 数日後、人形をのせた車いすは、テラスからひとりでに落ち、人形は壊れてしまう。リー夫人とアナベルは、人形 を生きていた人間のように、セーラの墓の横に埋葬するのだった。 人形には娘セーラの魂が乗りうつっていたのかもしれない。自分と母の間に入り込んだアナベルに嫉妬したが、 自分には母を幸せには出来ないと悟り、消えていったのかもしれない。それはあくまで憶測。ただ、わかる事は、 登場人物たちが、おたがいの事を思いやり、幸せを願った事。人形を埋葬するラストシーンの、ふたりの会話は、 ほんとうにやさしく、胸を打つ。(本当にセーラの霊がいたとしたら、さぞかし満足でしょう。) |
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う〜ん、今回も下の覧、苦しいなぁ・・・(^^;。 ジョエルは姉を思うあまり、アナベルに苦難と幸せをもたらした人物・・・という役柄。ずいぶん歳も離れているが、 独身っぽいし、そのうち成長するアナベルに、くらっと来る事もなきにしもあらず、って事で。 アナベルは11か12才、といったところ。う〜ん、う〜ん・・・でも、「帰らざる氷河」の例もある事だし(爆)。 |
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真澄度 | ありゃ、意外と高得点? |
よかった・・・ねえさんもアナベルも・・ これでしあわせになれる・・・ (甘い!) |
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マヤ度 | 歳のわりにしっかり者!! |
ええ、ママ・・・人形もママを愛していたのよ とても・・・ |
エリカ 風の中を行く エリカ 赤いつむじ風 |
剣持竜二 聖 エリカ |
1975 1976 月刊ミミ 傑作選11より |
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18歳のエリカは、死んだ母の残した小料理屋‘すずや(!)’を高利貸しから守るべく、東京へ向かう。店で働い ていた八重の過去の男で、今は大盛食品社長となった大盛操一を脅して2300万出させるために。借金の返済 期限はわずか2週間。妊娠していた八重を捨てたという後ろめたい過去がある所に、八重の娘‘操’と名乗る少女 (エリカ)が現れては、創業者の家に婿養子に入った大盛操一にとって身の破滅に繋がる。エリカは東京で出会っ たサブ、剣持竜二と組み、大盛操一をみごとに追い込み、2300万円を出させる。 意気揚々と大阪に戻るエリカは、電話で店が全焼してしまった事、母をだまして借金させた店員の達一が博多に いるらしい事を聞き、博多へと向かう。(ここまでが「エリカ風の中を行く」。借金は返した方がいいと思うが・・・。) ついてきたサブと博多に着いたはいいが、達一の姿はみつからない。ひょんな事から出会った姉弟、美奈子と 正利を助けるために、エリカは一肌脱ぐ事となる。姉弟は、博多人形作家だった死んだ祖父の作品を すべて だまされて人形店黒羽堂に取られてしまったのだ。またまた後を追ってきた竜二とともに、黒羽堂をワナにかけ る。1200万で人形を買う事で信用させ、こんどは1800万で買い戻させる。このへん、なかなか少女マンガで は見られない内容!で、最高に面白い。みごとに姉弟のもとに奪われた人形を返す事に成功する。(しかも儲け て!)しかし、肝心のカタキ、達一は、すでに博多を去った後で、行方不明。使い道もないのに、お金だけが貯まっ ていくエリカ。今度は竜二のペースに乗せられて、3人は広島に向かう・・・・ハズが、ここでお話はチョン切れてい る。ああ、この作品も未完の大作(か、どうかはわからないが)なのだ。 |
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竜二とサブは、もともとサギ師だ。エリカの天性(?!)のサギ師ぶりにほれ、彼女と行動を共にし、補佐する。竜二 はエリカに惚れているようだが、それはちっとも彼女には通じていない。今後お話が進めば、ひょっとして進展も あるかもしれないが、美内センセはきっと忘れているんだろうな。 エリカは、清く正しく美しく・・・はない登場人物が多い美内作品の中では、異色の存在。エリカが騙した相手は、 とりあえず‘悪い連中’なので、正義のサギ師(?)と言えるかも。‘小市民的悪い連中’相手だけでなく、‘巨悪’ とも闘って欲しいものだ。 |
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真澄度 | 彼氏として見てもらえてない |
この身も腕もみんなおまえに貸してやる・・・ おまえのすきなようにおれをつかえばいい |
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マヤ度 | 天才サギ師!! |
いくらで? (このかみあわなさがイイ!) |
燃える虹 | アンドレ・グリュウ ドーナ・マーリン (ダニエル・バイロット) |
1970 別冊マーガレット 三話完結 傑作選9より |
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「ドーナ、あの虹がきれいに見えるかい・・・おまえは幸せだね。不幸な人間には美しい虹すら美しく見えない事が ある。おまえにとって虹はいつまでも美しいものであっておくれ。幸せとはきっとそんなものなのだから。」 幼いドーナは目の前で両親をロッキンガムに殺され、家もなにもかも失った。彼女はロッキンガムとその共謀者達 への復讐を虹に誓い、何があっても生きていこうとする。収容された慈善院のある島で、世捨て人のバイロット 伯爵に出会い、復讐の方法をともに思いめぐらす。(伯爵の発明した、金山を探り当てる機械ってえのが最高!!)島 の仲間達とともに島を脱出したドーナは、大金持ちのダニエル・バイロット伯爵令嬢として、故郷の街に舞い戻り、 彼女の復讐が始まる。主謀者のロッキンガムの息子達を誘惑し、決闘の末に死なせるわ、共謀者ラシュリイはア ル中である事を利用し、精神的に追い込むわ・・・。ロッキンガムの麻薬製造の証拠をつかみ、麻薬中毒にさせた 者達に彼を殺させる(結果的だが)。もう一人の共謀者メリー(ドーナの幼なじみアンドレの母)は、罪の大きさにお ののき、自殺する。ドーナは復讐をなしとげたものの、心は晴れない。仲間達と船で街を去ろうとする時、ドーナは 船を飛び出す・・・。 美内すずえ得意ジャンルのひとつ、復讐ものである。そして、子ども達を虐待する孤児院ってのも、パターンだ。 蛇足だが、昔は孤児院の子供達の縦縞の服、何でどのお話も同じなんだろう、と思っていたものだ。最近になっ て読んだウェブスター作の本家「あしながおじさん」には、‘べんけい縞のギンガム’の服という表現があったので、 どうも欧米の孤児院の子には、それが制服のようなものだったらしい。 |
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幼なじみだったアンドレは、ドーナに昔の無邪気で幸せだった頃の事を思い出させる存在である。彼の存在故に、 ドーナは悪女になりきれない。アンドレはダニエルがドーナだと気が付いているが、それは一体何のためなのか 調べようとはしていない。すべての事情を知るのは、母メリーが残した遺書からである。存在する事のみ価値が あるのだが、これほど何もしない‘彼’は、他にはいないぞ。 ドーナは、3人の敵達が少しも幸せでなかった事に気付き、復讐を終えた今、自分自身も幸せでない事を思い知 る。そしてすべての財産を放棄し、アンドレのもとへと向かうのだ。しかぁ〜し、ドーナ、あまりにも短絡的じゃあな いかい?その、夢ばかり語っている彼のそばで、あなたほど行動的な女が幸せになれるかい?もうちと考えたほ うが・・・おせっかいですかね。 |
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真澄度 | これほど魅力のない男って・・ |
大きくなったら君を妻にして、牛と草のにおいのする 家で暮らしたいと思っていたんだよ・・・ |
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マヤ度 | みごとな復讐のお手前! |
ただ虹がとてもきれいに見えて・・・・ |
ビクトリア の遺書 |
オスカー・ヤング ナナ・デ・ プランタジネット |
1971 別冊マーガレット 一話完結 傑作選7より |
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物語は国王を暗殺しようとしたという無実の罪で、ビクトリア・デ・プランタジネット伯爵夫人が火刑されようとする ショキングな場面からは始まる。250年後、ビクトリアの住んでいた屋敷に、彼女の子孫達が引っ越してくる。 そして、ビクトリアの魂は、孤児でプランタジネット家の居候ナナの中で突然蘇り、一家を大混乱に陥れる。 ‘ビクトリア’に興味を持ったオスカーと共に、彼女は「国王暗殺事件」の真相を探り始める。オスカーはいつしか、 ナナの中のビクトリアに恋をしている自分に気付き、オスカーにあこがれていたナナは、彼の興味が自分ではなく、 ビクトリアにある事を知り、ショックを受けるというややこしい事態に。 やがてふたりは王城のかくし部屋にあった王の日記を読み、王が真実を知っていた事、ビクトリアの死後も彼女を 愛し続けていた事を知る。ビクトリアの魂は満足し、消えていく・・。 「美しくも儚く散った女王の、愛と憎悪が時をこえ、今蘇る!」 と、扉絵につけられていたコピーは、いったい何だったの?!のラブ・コメ。ひょっとして、打ち合わせまではホラー 作品の予定だったのかも?「魔女メディア」と設定は似ているが、とても楽しい、ホっとする作品。 |
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「私は幸せになりたかったのです」 それがビクトリアが蘇った理由。「魔女メディア」とは、幸せのベクトルが全然違うのだ。自らの潔白を晴らし、王の 自分への愛を知るや、子孫であるナナにすべてを託していくのだ。 (それにしても、ナナはずいぶんとたくましい。養家族に「カエルの天プラでもつくろうか」などと言っているし・・・。) ビクトリアに恋をし、彼女の望みを叶えたオスカーは、その生まれ変わりであるナナに自分の家に来る事を勧める。 「ナナを愛している・・・」とまではいっていないにせよ(どうなんだろ?)、物語はふたりの暖かい未来を感じさせて 終わっている。 |
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真澄度 | すいません、優キャラです |
幸せにしてみせるよ、ビクトリア! |
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マヤ度 | 霊媒体質? |
オスカー!私はナナよ! |
冬のひまわり | ルーア ニコラ・ルーセン ロミリー・ハリファックス (現実の世界のルーア?) |
1975 別冊マーガレット 一話完結 傑作選4より |
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ニコラは、幼い頃美術館でみた不思議な絵が頭から離れなかった。それは、雪景色を背にした美しい少年マリ オンの肖像。そして、その絵の片隅に小さく描かれたひまわりが、ニコラの生き方を決めた。 絵を描かせたハリファックス卿の子孫であるロミリーとともに、彼女は‘冬のひまわり’の謎を解く鍵となるハリ ファックス卿の日記を見つける。ある山から連れ帰ったマリオンは、春のおとずれと共に、消えてしまったという。 ニコラは、ひまわりを求めて山岳部に入り、ある日、冬山で遭難してしまう。彼女が避難した洞窟の奥に見いだした のは、地図にもない不思議な常冬の村、そこに住む不思議な人々。その中で、ニコラは絵のマリオンそっくりな 青年ルーアに出会う。彼と心を通わすものの、怪我の癒えたニコラはもとの世界に戻らねばならない。ルーアとの 仲を嫉妬した娘の讒言で村人に殺されかけたニコラは、逃避行の途中に雪の中に咲くひまわりを見つける・・・。 あまり目立たないが、不思議な魅力がある作品。 何とコメントしようかと何度か読み直すうち、ハタっと思い出した。萩尾望都の‘ポーの一族’シリーズ!! 「ポーの村」に、それに続く「グレン・スミスの日記」。ついでに「ランプトンは語る」・・・か。 父の日記の中の不死の村の話を読んだエリザベスは、夢に守られるように2つの大戦の時代を生き抜く。 冬に咲くひまわりを追い求める事で、ニコラはつらい現実から目をそむけるのでは無く、生き方を見いだした。 「ニコラ・・この広い地球のどこかにきっとロマンはあるのじゃよ・・・・ ただ夢を失った人間は気付かないだけなのじゃ・・・」 そのロマンを活劇にして描いちゃうのが、美内作品の真骨頂か?! |
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不思議の村の長の息子ルーアと、ニコラと結婚する事となるロミリー・ハリファックス。 並べてみて似ている事もあるのだが、ニコラの理解者となるふたりは、同じ魂を持っているのかもしれない。 ニコラとロミリーの結婚式を祝うかのように、現実世界で咲いた冬のひまわりが印象的。 |
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真澄度 | 金はありませんが・・・。 |
見たいな・・・おまえがその服(ドレス)を来ている姿を (byルーア) 信じるよニコラ・・誰が信じなくてもこのぼくは信じるよ・・・ (byロミリー) |
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マヤ度 | 友達にしたくないタイプかも |
冬のひまわり・・・それはありえないことなのかしら? それがあたりまえなのかしら? |
雪の音 | バート・グレンジャー ポリー・ブラウン |
1972 月刊セブンティーン 一話完結 傑作選4より |
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自分の容姿にコンプレックスを持つポリーは、自分とそっくりな声の美女キメルニィに声をかけられる。なんと自分 の身代わりになって、盲目の婚約者と一緒に過ごしてほしいという依頼だった。ポリーは、目が見えない上に人嫌 いなバートと共に冬の休暇を別荘で過ごすが、いつしかバートと本気で愛し合うようになる。バートの愛を受け入れ る ものの、彼が愛するのは自分なのか、キメルニィなのか、悩む。そんな時、キメルニィが彼女と入れ替わる ために戻ってくる。引き裂かれる思いで、出ていこうとするポリーに、バートは呼びかける。 「雪が降っているね・・・。」と。 リアルタイムで読んで、印象深かった作品。 (何しろ、初めて見た、美内作品のベットシーン!さすがお姉さま雑誌! ・・って、それだけの理由じゃないー!!) 数少ない美内作品の恋愛物のなかでも、傑作だと思う。 |
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バートは信じていたキメルニィの裏切りを目の当たりにし、ホントは手術で目が直っているのに、失敗して見えない フリをしていたんですね。すっかり人を信じなくなっていた彼の心を解かしたのは、ポリーの真心だったワケです。 雪が降っている事をバートに知らせる場面、珠玉の傑作シーンだと思っておりますです。 (でも、雪が降る音は、聞こえるもんです。ぼたん雪なんぞははっきりわかる・・・) |
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真澄度 | 演技力を評価したい ところだが・・・ |
ぼくの雪の音は・・きみだ・・ こうやって雪のおとずれをぼくはきみの言葉で知る・・ 目が見えなくてもきみがぼくのすべてだ・・ |
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マヤ度 | 人嫌いなわりに明るい 所がある(矛盾?) |
雪の音になりたい・・・ |
ポリアンナの 騎士 |
レナード ポリアンナ |
1974 別冊マーガレット 一話完結 傑作選4より |
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ポリアンナには、彼女を守るために生まれてきた騎士がいるー。 母の胎内にいる時から、迷子になった街角で、冷たい視線にさらされた社交界デビューの会場で、彼はポリアンナ を助けて、そして消えていった。名前もわからない相手に恋するも、彼は手をのばせば遠のく虹のよう・・・。 絶望したポリアンナは、いつもずっと側にいて励ましてくれたオトコと結婚し、あたたかい家庭を持つ。 最後に彼らが出会ったのは、沈み行く船のデッキで。ポリアンナを救助船にのせるや、彼‘レナード’は、船ととも に、海に沈んでゆく・・・。 |
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レナードのひたいには、ポリアンナの母を助けた時についた十字のキズがある。・・・って、まるで「愛と誠」やな いかい!(連載開始が1973なので、パロディと言えるかも。)しかしながら彼は太賀誠のように不良にはならず、 りっぱに医者となり、またまた主人公を助ける。だからって、レナードはポリアンナだけを助けたわけじゃなかろう。 確かにいいムードになった事は一度あるが、彼女の他に愛した人くらいいるだろう。「私を守るために彼が生まれ てきたのだと そして私を守るために死んでいったのだと・・」なんて、思いこまれてもなあ・・・彼も困るだろうに。 |
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真澄度 | お世話になった方には 名前くらい言いましょう |
ポリアンナ・・・聞いたことがある・・なぜか遠い昔を 思わせるなつかしいその名のひびき・・・ (だからその程度なんだって) |
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マヤ度 | 思いこみが強いのも才能か |
・・・またいつかわたしの騎士に会えるのではないかと・・ 遠い時の彼方でわたしをまっているのではないかと・・・ (いいかげん別の人生歩ませてあげなさい!) |
聖アリス帝国 | 変化薫 花木桃子 怪盗ゼロ (変化薫?) |
1976〜1978 ララ掲載 全4話 傑作選2より |
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傑作選で初めて読んだが、ビックリ!こりゃ池田理代子の「おにいさまへ」と「ベルサイユのバラ」のパロディ?! (ついでに「少女革命ウテナ」も・・・・ちょっと時代が逆か) 花木桃子が転入した聖(セント)アリス学園はとんでもなくヘンな高校だった。生徒会組織を頂点として、身分制度 が存在し、教職員もそれに従っているわ、占い師がいるわ、魔術師がいるわ、海賊がいるわ・・・・。 ネーミングも思いっきり「手塚治虫」方式。クイーン(生徒会長)は火美子だし、風紀委員は四角正子だし。 桃子は転校早々、貴族(優待生)をこらしめるという怪盗ゼロに遭遇する。彼(?)が残していったロケットには、 変化薫そっくりの美少女の写真が・・。そして桃子は、怪盗ゼロ、生徒会、海賊キッド(木戸)達を巡るヘンな トラブルにまきこまれていく・・・。 一話完結で「ガラスの仮面」などの連載の合間に四話まで描かれた、未完(たぶん)の作品。シリアスな作品の間 のお遊び的なコメディで、そのまま作者に忘れられているのかも? |
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桃子は薫に演劇部にさそわれるものの、活動している様子は見られない。自他ともに認める「平凡」な少女という 事なので、ここは思いっきり美内センセに、自分の作品(もちろんがらかめ)をパロってほしい所であったのに。 麗しの変化薫嬢はどうも怪盗ゼロらしい。しかも、どうやら男らしいのだ。怪盗ゼロの落としたロケットの美少女は 彼女(彼?ややこしい)の姉らしく、姉の事でこの学園に何か恨みを持っている事が、読者にだけはそれとなく 伝えられている。 そのあたりの事がまったく解決されていない意味で、この作品は未完成なのだ。 始めはロケットを取り戻すために桃子に近づいた薫だったが、しょっちゅう事件に巻き込まれる桃子を‘守って’ あげたくなったようである。 怪盗ゼロに片想いをしている桃子に、薫はやきもちをやいちゃうというフクザツな 構図のままで物語は進んでいない。ここにもいる悩めるオトコを救ってやってよ、美内センセ。 |
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真澄度 | 解決しないと告白できません |
ちょっと誰よ!誰なの相手は! (す、すごく複雑な立場・・・) |
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マヤ度 | 環境に順応しやすいのも 才能か? |
ゼロ・・きっとまた会えるわよね・・ 会えたらこんどこそあなたが好きだっていうわ |
13月の悲劇 | カルロス (あとは不明) マリー・サザランド |
1971 別冊マーガレット 前後編 傑作選4より |
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テーマから思いっきり離れた選択です。かつて読んだオカルト物の中で、もっとも印象深い作品でしたので。 大物俳優の隠し子であるマリーは、母の死後、イギリスの全寮制の女子校に入学させられる。どこか風変わりで 厳格なその学校は、実は悪魔の世界結社の魔女養成校だった。その事に気付いたマリーは、なんとかカルロス から預かった8ミリカメラ(時代ですなあ)で、学園の様子,黒ミサの様子を記録する。 捕らえられ反省室に入れられたマリーは、 そこで悪魔の姿をした、校長の息子ウィリアムに遭遇する。 従順を装ったマリーは逃亡し、父のもとに向かうが、魔女レイチェルの虜になっている父は取り合わない。 マリーとカルロスは捕らえられ火刑にされようとするも、機転で逃れ、仲間によって警察に届けられた8ミリで、 学園は警察に摘発される。悲劇は終わり、マリーははじめて父と暮らせる事となる。 ここで描かれたのは、‘人心の悪魔’である。異形の息子を産んでしまったために、夫からも世間からも見捨てられ、 結社に入った校長。人気が落ちる事をおそれ、娘を隠し通そうとしたマリーの父。家族に捨てられた学園の生徒達 も、魔女たちも、周囲の‘人心の悪魔’が、彼女達を追い込んでいったのだろう。 「そうだよマリー 人々の心に悪魔が住むかぎり こんな悲劇はこれからもつづくだろう」 |
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現在ならばスターが結婚して子どもがいることはたいしてハンデにはならないだろうし、‘父なし子’といじめられる 事もない(ましてやアメリカで)。そういう意味でも、ずいぶん時代がかったハナシになったもんだ。 カルロス・・・舞台はイギリスなんだがなあ・・・スペイン系だという事にしておこう。完璧優キャラです。すみません。 |
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真澄度 | 将来的に顔が長くなる・・? |
ただこれだけは言える。悪魔は彼女たちのみにくい 心の中に住んでいたんだ。 |
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マヤ度 | たいした意志の強さ・・! |
そしてあたしたちもみにくい心をもったとき、 いつ悪魔が住むかもしれないのね。 |
妖鬼妃伝 | 九曜久秀 秋本つばさ (おまけ聖キャラ) 倉本 |
1981 なかよし 3話完結 傑作選1より |
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現在「月刊がらかめ」に連載中。初版は「なかよし」なんて、講談社に連載してた事もあったんですねえ。 ホラー物だが、ほんわかしたラストが対象年齢のわりと低い「なかよし」に合ってたな、と思う。 親友ターコを不可解な事故で失ったつばさは、なんとかその足どりをたどるうちに、霊能者九曜久秀でに出会う。 彼は魔王の妃,‘妖鬼妃’と、千年の戦いを繰り広げてきた九曜家の最後の生き残りだった。 ターコと最後に別れた帝国堂デパートは、実は妖鬼妃の手下達の巣窟であり、、デパートからのびる地下鉄 巴線はその宮殿へ繋がる交通手段なのだった。 (デパートの店員達が平安時代の装束に姿を変え、 地下鉄に乗り込んでいくシーンには ホント、降参です。誰も思いつかんよ、そんな事!) 妖鬼妃とその手下達は、人形を魂の置き所として命を長らえ、千年もの間、政財界を牛耳って来たのだ。 九曜とつばさは敵の手におちるも、みごと妖鬼妃一門を倒す。・・・千年も戦ってきたわりには、あっさりとした 勝利・・・ いまひとつこの手のアクションシーンには弱いか、美内センセ。 |
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つばさは、ハッキリと書かれていないのだが、中学生くらいか。 対する九曜久秀は高校生か、卒業したくらい。学校に行く必要も無いか。家庭教師兼お守役もいる事だし。 代々続く霊能者の一族の最後の生き残りだというが、その力と引き替えか、彼は目が見えない。 だが、彼にはつばさに彼女の大好きな「チョコパフェ(お約束!)」をごちそうしちゃうカンの良さがある。 それどころか、彼女の心の叫びをテレパシーとしてとらえる事が出来るのだ。 そんな彼女のラブラブテレパシーを受け取りながらも、言葉でかえせなくてもじもじしちゃう彼が、 とってもカワイイのである。 このコンビ&倉本でさらなる事件解決!!というのが読んでみたいですねえ。 |
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真澄度 | 彼の‘影’は、ちっとも 影ではありませんが・・ |
・・・まいったな、テレパシーの方がよっぽど かんたんでいいや・・ |
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マヤ度 | カワイイが恐れを知らぬ 行動力!! |
九曜さんが好き・・・! あたし好き・・・! |
ジュリエッタ の嵐 |
黒い狼 (本名わからず) ジュリエッタ王女 |
1973 別冊マーガレット 前後編 傑作選9より |
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ユーリア国は革命により、国王夫妻は殺され、11歳と7歳の幼い姉弟のジュリエッタとヘンリーは幽閉される。 命がけで脱出し、女の子である事を捨て、病気がちな(おそらく血友病)弟を連れたさすらいは苦難をきわめる。 そんな時に迷い込んだ のは、革命の首謀者、黒い狼の仲間達の村だった。そこで今まで思いやろうとも しなかった 庶民の生活に触れ心やすらぐ日を送るも、小さな幸せを振り捨てるように同盟国に旅立つ。 だが、かつてジュリエッタと縁組みをしようとした国は、何の力もない彼女達を追い返しただけだった。 そしてジュリエッタはただ一人の肉親ヘンリーも失う事となる。(ヘンリーが落ちてきたつららに突ら抜かれ、 血を流しながら姉の幸せを願って死んでいく所、やたら強烈に覚えておりました。) いったいジュリエッタにとっての幸せは何だろうか。少なくとも、王政復古し、美しいドレスをまとった贅沢なくらし に戻る事ではない。ジュリエッタがひとりで旅だった時、再び黒い狼に巡り会う・・・。 それにしてもこの革命、カリスマとなるべき主謀者が、あまりに簡単に「一抜けた、後はまかせる」して、 うまく遂行されるのか?! この作品が掲載された頃「ベルサイユのばら」のクライマックスだったので、 ずいぶんこの話の設定(時代設定も・・・)が、当時いいかげんに思えたものだ。 まあ2話完結だし、テーマは違うところにあるんだし、つっこんでも仕方ないのだが。 |
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年の差カップルのひとつ。 ラストでひとりぼっちのジュリエッタに「きみをしあわせにしてやりたい」と言っているし。 ジュリエッタは11歳で革命に遭い、数年たっているとかで13歳くらい。(それにしても胸がなさ過ぎる) 黒い狼は盗賊から革命の主謀者になったので、少なくとも25以上、30未満か。 彼は王の血を引くと自分で言っているが、ユーリア国のか、どこか別の国なのか、はっきりしない。 ヘタするとジュリエッタの異母兄弟か伯父さん、てな事で、違う展開になる可能性が。 しかしながら、彼は幼い姉弟の目前で両親をギロチンにかけている。 とんでもないPTSDを彼女に背負わせたハズだ。(真澄さんどころではないぞ。) ジュリエッタが「みんなすぎ去ったのよっ!」と叫んでも、このカップルはうまくいくには まだまだ一山ふたやま 越えて行かねばならぬであろう。 |
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真澄度 | おれとしたことが・・・ってか |
たったひとりの少女を不幸にしただけでなぜだ? なぜこんなに胸が痛む? |
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マヤ度 | すごいエネルギーをお持ちです |
ここにいるのは平凡なしあわせを願うただの女の子です |
金色の 闇が見ている |
ジョオ (あとは不明) エスター・リード (おまけ紫織キャラ) クラウディア・ハースト |
1975 別冊マーガレット 前後編 傑作選4より |
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ヒチコック「鳥」の猫版。爆発的に増えていった野良猫たちに人間が襲われていく、ホラーもの。 そのまんまじゃあパクリだが、「鳥」よりもコワくて結構感動する作品。 弟サミュエルの療養のためにウィンローの町に来たエスターは、子猫を2匹拾う。ひたいに十字がある黒猫には、 ノエルと名付ける。サミュエルと猫たちは心を通わせるが、2匹は猫の捕獲員につかまる。 逃れたノエルは猫たちのボスとなり、生きるために人間まで襲うようになる。人間達はついに町を引き上げる事に。 ジョオ、エスター、サミュエル、クラウディアの4人は取り残され、絶体絶命に追い込まれた時、彼らを救ったのは、 サミュエルとの日々を思い出したノエルだった・・・・。 |
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どっちかというとジョオは「聖キャラ」かも。ヒロインも美少女だし。 私はこの作品がホラー部門の中で、一番好きなので取り上げたのよね。 幼い頃両親を亡くしたジョオはクラウディア一家の世話になり、医者になった(ならされた)ため、クラウディアの 僕(しもべ)のように扱われている。彼は、本当は獣医になりたい夢をあきらめにれないでいるのだ。 そんな時に出会ったエスターは、ジョオにとって心を割って話せる唯一の相手となる。 クラウディアお嬢のワガママによって引き起こされた危機を、ジョオ,エスター,サミュエルで協力して切り抜けた ので、 たぶんジョオの未来は、明るく開けるのだろうと思われる。 ちりじりになって去ってゆく猫たちにも、「幸せになれよー!」といいたくなるラストだ。 |
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真澄度 | 髪型ヒジリーで顔は真澄 |
きみといると心がやすらぐ・・・ こんな状態の時でさえ・・・・・ |
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マヤ度 | 冷静に危機に対処できる ・・・という才能かも |
(ジョオ・・・) ほっぺにキスされて声が出ない状態・・・上の絵 |
白ゆりの騎士 | レナード・エドモンテス (ウィリアム・ジョージ・ ステンプルトン) ジャンヌ・ド・アルク (おまけ優キャラ) ピエール |
1974〜1975 花とゆめ 連載 傑作選3より |
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ジャンヌ・ダルク物である。歴史ロマンかと思いきや、実はホラー・オカルト部門。イギリス軍とフランス王妃派は、 魔王ルシフェルを主とし、世界征服を企む悪魔軍団に操られているのだ。 この作品は、オルレアン解放までのジャンヌの活躍を神と悪魔の戦いとして描かれる。ピエールの機転によって、 ギョームの体にとりついていた悪魔が逃げていって終わり、なんて、結構いいかげんな悪魔軍団である。 (作者がさっさと話を終わらせたかったと思われる。この中途半端さでわたしゃこの作品はキライ。) |
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黒騎士レナードはイギリス貴族であり、フランス王太子側にスパイとして潜入。 白騎士であるジャンヌと敵対する運命にある。 相手の正体を知るも、互いの気持ちを伝え合い、そして別れる。(レナードの生死がはっきりしない。) どうせなら悪魔の力を借りたレナードがパワーアップして現れると面白いのに。 優キャラのピエールはジャンヌの生家の使用人だった。ジャンヌのレナードに対する気持ちを知りつつも、 ジャンヌを守るために全力を尽くす。(でも彼も守りきれなかったんだなあ・・・・涙) 佐藤賢一のピエールを召還したいぞ!! |
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真澄度 | 苦悩するわりに あっさり告白しているがおまけ |
たとえよろいを身につけていても少年の姿をしていても おまえが大好きだった・・・ |
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マヤ度 | 思いこみ・・ほどコワいものはない |
きらいよ!あなたなんて大っきらい!! |
はるかなる 風と光 |
アドルフ・クレメンズ エマ・オブライエン (おまけ優キャラ) エドワード・ステュアート |
1973〜1974 別冊マーガレット 連載 傑作選11,12 |
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あらすじはこちらへどうぞ |
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「小さな時からその人は会うといつもいじわるばかり言って、ケンカばかりして・・・ でも いつもあたしのことを思っていてくれて、あたしを見まもりつづけていてくれたの・・・ずっとずっと・・・」 と言ってエマは初恋の人エドワードを振っちゃったとさ。 |
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真澄度 | 彼を縛るものが無いのがおしい? |
あいつはおれの小鳥だ・・・ だが小鳥は知らないんだ!自分がぼくのものだと言う事を |
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マヤ度 | 言うこと無し!! |
きらいよ!アドルフなんか大っきらい!(お約束!) |
王女 アレキサンドラ |
アルバート・ウィンダム アレキサンドラ王女 |
1977 別冊マーガレット (一話完結) 傑作選5より |
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盲目のラストニアの王女アレキサンドラは、継母の王妃のイジメに遭いながらも、亡き母の 「お前に出来る事は人を信じる事だけ」という言葉通りに生きる。目が見えぬもどかしさも、 「目が見えなければふれればいい、ふれてわからねば聞いて、後は誠意をもってぶつかっていくだけ」 というアルバートの言葉に導かれ、しだいに国民に慕われるようになる。王の死により王位を継承する事となり、 戴冠式で一度王冠を戴くが、その場で義弟のライラスに譲位する。 恥ずかしながら、読んで涙が出ちゃいました・・・・。 |
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アレキサンドラの侍医になったアルバートは、父が政治犯で獄死しており、王家の者を憎んでいた。 だが、アレクサンドラの人柄にふれ、彼はしだいに彼女を愛するようになる。 そして身分の違いすぎる恋をおそれ、侍医をやめ、彼女のもとを去る。 彼は戴冠式の後、アレキサンドラのもとに戻って来るが、それってどんなつもりで戻ったのかいまいち不明。 ラストで王太后の「爵位がなければ、授ければよいではありませんか」との言葉があるので、 おそらく身分の差は 解消の運びとなりそうとは言え、あまりにそれでは信念が無いでははないか?! 「まだまだ乗り越えるべき苦労はあるが、ここからは読者の想像で」ってか? |
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真澄度 | 立場はガラカメとは逆 |
あなたの目が見えてなくてよかった。 もし見えていれば、私があなたに恋していることが わかってしまうだろうから |
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マヤ度 | 美内作品随一のお嬢様キャラ シオリーよ、見習いなさい! |
・・・・知りたければふれればいい、 前にそうおっしゃいましたね。 ・・この手で先生のお顔をおぼえておきたいの。 |
帰らざる氷河 | アレックス・リー オデット・ローリン (エリナ・クリスチーネ ・アボール) |
1975 別冊マーガレット (一話完結) 傑作選5より |
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国際スターとなったオデットことエリナは、実はサルビア国王とその愛人(オペラ歌手)の間に生まれた娘だった。 王妃の手の者により、母は殺され、5歳のエリナは祖国から脱出する。ジプシー楽団で歌いながらヨーロッパ諸国 を放浪するうちに、敏腕音楽プロデューサーのアレックス・リーにスカウトされる。 祖国と王家に復讐するため、名声を得ようと努力。みごとスターの地位を手に入れた彼女は、ついに帰国する。 死を覚悟の国王の前でのコンサートで、王の気持ちに触れたオデットは、自分の持てる力を出し切って歌う。 瀕死の床にあった王は、名乗り合う事のなかった娘の歌を聴きながら、息絶える・・・。 これは私が大好きな作品のひとつだ。(のけぞって歌うのは喉に悪いので、やめてほしいが) 特に母から歌い継いだ‘赤いキャンドル’の歌詞は、傑作!!読むとは涙が出てくる。 ♪三本の赤いキャンドルともしましょう 夢ともすはじめの一本 それはあなたを待つために 恋ともす思いの二本め それはあなたにいだかれて わたしの愛をとかして熱く 燃える火よ赤いキャンドル 愛もやす最後の一本 わたしの命とかして熱く 燃える火よ のこる闇に ああ死んでもいい 燃えつきるまで 燃えつきるまで |
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アレックスはどうやらキャーペンターズやM・ポルコナレフ(!!)を育てた敏腕プロデューサーらしい。 彼がオデットこと、エリナをスカウトしたのは、彼女が13歳の時。(はあ、13歳の少女に・・ですかあ) 最後の舞台となるかもしれないオデットを見送る時に、アレックスは彼女にプロポーズをする。(22歳、まともじゃん) 死を覚悟するオデットに、「絶対戻ってこいよ」と言いたかったのでしょう。(涙) |
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真澄度 | 商品に手を付けてもいいの? |
きみを愛している きみがまだ小さな少女だった時から |
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マヤ度 | 彼女はジュリー・アンドリュースや マライヤ・キャリー並の 喉を持っているらしい。 |
・・・むかし母と母の愛していた人がとても好きだった なつかしいサルビアの歌を 「3本の赤いキャンドル」です |