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展覧会の紹介
2003 札幌市立高等専門学校卒業・修了制作展 <プレ展> | 2003年2月14日(金)−22日(土) 札幌市資料館(中央区大通西13) |
どうも昨年見てないようなので、あまりエラソーなことはいえないのだが、ことしはおもしろかった。 これには、背景があるとおもう。 まず、近年、若い人の間で、インテリアがブームになっており、そういう方面への感度が高くなっていること。 イームズが再評価されたり、ふえている「カフェ」はどこも若い人たちが自分の感覚でいすなどを選んでいる。そして、そういう店に行くとかならず「エクスナレッジホーム」や「ブルータスカーサ」が置いてあり、建築やインテリアデザインに興味があつまっていることを感じさせる。 で、インテリア関係では、北川亜美さん「光るマガジンラック」が目を引いた。 15ミリ厚の透明なアクリル板19枚を、数センチ間隔で均等にかさね、板と板の間に雑誌類を横にして置くことができるようにしたもの。なるほど、雑誌は横置きのほうがいたまないもんね。ユニークなのはLEDで全体が光るようになっていることで、すぐにでもどこかのカフェでつかえそうだ。 同時に、福祉、高齢者への視線もやさしい。 たとえば、福山研太郎さん「Wirldia」は、車いす用の雨具。収納も簡単そう。 宮島麻子さん「母の椅子」は、やや背のひくいじぶんの母親の体格にあったいすづくり。すわり心地もよい。 中尾香央里さん「UNITOY」は、大きなブロックを布製にしたもので、保育所などの子どもたちによろこばれそうだ。 これら、工芸デザイン、工業デザインは、オリジナリティーをちゃんと持っていて、しかも実用的なのが良いとおもった。 建築では、中村友里恵さん「海を臨むホスピス」に惹かれた。筆者は建築のことはよくわからないが、死期の近い人がおちついてくらすことのできる平穏な施設という点では、よくかんがえられているようにおもった。 これは偏見なのだが、筆者は、都市計画とか環境デザインとかいうものが、どうもすきではなかった。 他人の土地に勝手に線を引き、根こそぎ別の建物につくるかえる構想を出し、「動線」だの「ゾーニング」だのと小理屈をつけて自己満足してるだけで、実現可能性とかをぜんぜんかんがえてないし、だいたいパネルばっかりで読むのがめんどう−というふうな印象をもっていたのだ。 ところが、ことしの卒業制作の多くは、その土地の持つ固有の歴史性に着目しつつ、緑化に心がけ、しかも実現の可能性にまで目を配るという、これまでの筆者の偏見を根こそぎにするものであった。その点では、正直いって、専攻科の修了制作よりも好感の持てる発表が多かった。 三浦美穂子さん「清華亭と緑のネットワーク」は、多少周辺整備がすすんできてはいるものの、札幌史上初の公園としてはいささかさびしい旧偕楽園周辺の緑化を提案したもので、北8条通を一部アンダーパスにして北大構内の緑とつなげるのが最大の眼目。北8条通は市内有数の交通量の道であり、アンダーパス工事中の交通の確保が課題になりそうだが、おもしろい計画だとおもう。 また、清野早織さん「TREE PLANTING OF ARTIFICIAL SPACES」は、大通公園8、9丁目の周囲のビルの屋上緑化の提案。これも、市がやる気になりさえすれば、できそうにおもわれる。 日野真梨子さんは円山公園(とくに道路の狭い、坂下グランドから動物園入り口のあたり)、松本愛さんは穴の川(南区)周辺、関根麻樹子さんは大通東地区と、それぞれ現行の街区を生かしながらさらに住みやすくする提案をしている。おもしろかったゆえんです。 もうひとり、鳥倉由華さんは、なぜ環境デザインなのか、よくわからなかった。ごめんなさい。 ほかに、佐藤千奈津さん「symmetry モノクロ写真による万華鏡をモチーフとした「対称」という構成」も、変わっていておもしろかった。 名前をあげなかった人も、けっして作品が悪いといっているわけではありませんので、ご了承ください。 修了制作は、12人が出品。 実用に意を用いた作品が大半をしめるなかで、昨年4月に個展をひらいた河田理絵さんがインスタレーション「白い呼吸」を床にならべていた。 澁谷裕介さん「camp」は、じっとこもって思索・創造する球形の箱。騒音の多い時代なので、こういう発想はわかる。 奥山綾子さん「Universal Design Map」は、各都市の地下鉄路線図が、視覚に障碍のある人にもつかいやすいかをしらべたもの。こういう視点の重要さをあらためて感じた。 |