2002年7月前半
7月13日(土)
七月展=札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
毎年恒例の、北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース作品展(ううう、名称が長い)。
師範学校時代から90年つづく伝統行事。1年生から院生まで134人が出品しています。
この種の展覧会で、全体的にどーたら、という言明が、あまり意味ないってことを承知の上あえて言うと、昨年ほどにはおどろかされる作品がすくなかったような気がします。
もちろん、学生の展覧会としては、他の追随を許さない水準なのですが。
油彩。
おもしろかったのは、山本雄基さん「ポジション’02」。
黄色や水色に塗り分けられた乳牛が、畜舎が両側に並ぶ鋪道を、(透視図法の)消失点に向かって歩いていくという絵。技術的にはまだのびる余地があるとおもうけど、なんだか、牛を描いていながら人間を表現しているみたい。
後藤優子さん「ゴテチア」もちょっと気になった。古い中央バス1台が描いてあるだけなんだけど。
日本画。
桝本士乃さん「生きる」は、泳ぐサケの群れを力いっぱい描いた正攻法の絵画。
彫刻。
坂本正太郎さん「均衡V」は、鉄による抽象彫刻の王道をゆく作品。
石坂智子さん「風待」は、木箱のなかに、風車をたくさん並べて、鑑賞者が自由に遊べるインスタレーション。たのしいアイデア。
中村紀子さん「ideology」は、ブロンズによるバラの花なんだけど、なんでこういうタイトルなの?
視覚映像デザイン。いつも力作をつくっている人たちはちょっと息切れ。
むしろ、岩澤宏樹さん「赤月」が、青春の焦燥感みたいな感情をストレートに出していた。
大村敦史さん「クルミコ」は予告編だけでしたが、本編ができたら見たいと思う。
木材造形。
中田拓哉さん「カウンター」は文句なしの力作。
後藤梨香さん「回る秘密の小箱」は、未来都市というかメリーゴーラウンドみたいで、かわいいです。
情報デザイン。
道幸学さん「相互的な関係または依存」。道内ではものめずらしい、インタラクティブなインスタレーション。
1年生では、東方悠平さん「怠惰6号」がおもしろかった。造形としては、黒い大蛇のような立体で、それほどすごいものではないけれど、こいつを街角や電話ボックスに置いて撮った写真14枚が一緒に展示されており、アイデアとして秀逸。一緒に写ってる人の反応もおもしろい。
川越聖子さん「ヤドカリ遁走曲」もたのしい絵でした。
こうして見ると、1、2年生の健闘が光ります。上級生もがんばれ。
14日まで。
きょうはねむいのでここまで。
7月10日(水)
無計画な行動は今にはじまったことではないのですが、あした、帯広に行きます。
とかち国際現代アート展「デメーテル」の取材のためです。
なーんも考えないで行くのですが、どうなることやら。
あ、事務局のオダイさんに
「わたし、英語ダメです」
って言うの、忘れてた。
きょうは、北の個人美術館散歩−風土を彩る6人の洋画家たち=道立三岸好太郎美術館(中央区北2西15)と、北海道示現会展=ギャラリー大通美術館(大通西5、大五ビル)を見ました。
前者は、これまで、網走美術館所蔵だったため見ていなかった井串佳一の絵に興味を持ちました。なんだ、道立近代美術館にある絵より、戦前の作品のほうがずっとおもしろいじゃん。
後者は、草刈喜一郎さんの絵がよかった。昨秋の道展の出品作だけど。
あした朝早いので、またの機会に。
7月9日(火)
中嶋靖・松信雅子展=札幌市資料館(中央区大通西13)
中嶋さんは「土」の作家(陶芸家)、松信さんは草木造形家。
1996年に、器のギャラリー中森で、99年にはテンポラリースペースで、コラボレーションをしているので、ご覧になった方もあるかと思います。
今回は、木の枝を組み合わせた大きな立体が会場中央の床に1点。太い枝を壁に這わせたものが1点。そして、壁掛けの陶板が3点という、ごくシンプルな構成。「もの派」じゃないけど、自然のものを、ポンと会場に置くだけで、あたりの雰囲気が微妙に変わってしまう、そんな仕事といえそうです。
第28回グループ パステル展=同
秋田武蔵さん(道展会員)が講師を務める6人のグループ展。
パステルの風景画って、ありそうでないんですよね。わりと静物画、室内画が多い。その意味でもたのしくみました。
小林憲作さん「支笏湖の…」は、恵庭岳の山肌をピンク色に塗っていますが、ほとんど違和感がありません。
白府麗子さん「岩内附近」は、何気ない風景を、それなりのスケール感を持って描いていて、好感がもてました。
青木聿子さん「コスモス」は、ピンクの色斑が広がる作品。丈の高い花が中景にはみでているのがおもしろいです。
ほかに工藤基さん、長岡留美さん、嶽本キミヱさんが出品しています。
北海学園大U部写真部学外展=同
筆者が行ったときは、3人の18枚のみ。会場ががらーんとしてました。搬入に遅刻してしまったのかな。キャプションも皆無。DMもないようです。
18点だけから判断するのもまずいかもしれませんが、作風はますます静けさを増しています。
ひとりは、大通公園などの人々の背中を写したもの。
もうひとりは、鉄塔と青空などがモティーフ。
3人目は、小樽の? 廃線跡や、道端の野草などを淡々と撮っています。
うーん、これはこれでわるくないんだけど、なんか、さびしいな。
デッサン5人展=同
市川雅朗、北林八重子、桑名ちか子、佐藤孝夫、松田一郎の各氏。みなさんお上手。
とくに北林さんは、コンテ、水彩など、用具も変えて、余裕すら漂わせます。
第2回四つ葉会展=同
札幌の梅原弘美さん、大原とも子さん、嵯峨瑛子さん、東京都町田市の宮脇美紗子さんのグループ油彩展。静物画が多い。宮脇さんの「女」は、肖像画ですが、ふしぎな魅力をかんじます。
ほか、資料館では、山崎由美子油彩・パステル画展も開催中。
田中三美枝個展=スカイホール(南1西3、大丸藤井セントラル7階)
七宝絵の展示。ピカソみたいな人物がモティーフになっているのが多い。
中間色が多い上に、黒い線がドローイングのように躍り、あまり七宝という素材を感じさせません。
河田隆子個展=同
道展に入賞を重ねている北広島の女性の初個展。
これもピカソみたいなキュビスム風室内画。
札幌大谷短期大学美術研究会7月展=同
油彩が大半。
田辺真菜さん「石石石石石」。立っている犬が、空から雪みたいに降ってくる石を両手で受け止めている絵。ヘンな感じがいいです。
以上、14日まで。
7月8日(月)
あー、万歩計を買って着ければよかった、と思うくらい、あるきまわった1日。
木嶋良治展=札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)A室
画集も出して、ますます元気な木嶋さん。
小品を含む20点の油彩を展示しています。
大半が新作ですが、10年ほど前の大作のエスキースを1点の独立した絵に仕上げたという変わり種もあります。
その大作のほうがどこにあるかというと、もう捨ててしまってないとのこと。もったいない!
今回も、故郷の冬の小樽が、おもな題材です。
余計な要素をそぎおとした簡潔な構図と、透徹した澄んだ色彩が魅力的です。
水色や雪の白はまさに水際立った美しさです。何度も薄く絵の具を塗り重ねているからでしょう。といって、いかにも厚塗り、というふうには見えないのが木嶋流です。
もっとも、倉庫の壁などは、わりあいいろんな色が下の層から見え隠れしていますが。
「白はバーミリオンから塗り始めて、だんだん青の量を減らしていくんだ」
右の写真は「早春」。30号です。
「これは重いぞー。なんたって、絵の具は金属だからな。全体にジンク(ホワイト=鉛白)が使われてるもの」
筆者が感心したのは、背後の山と空の境目です。
多くの画家たちが、モノとモノの境目には苦心しています。輪郭線でその場を切り抜ける以外には、色の差をはっきりさせればいいのですが、きちんと塗り分けるのは意外にむずかしい。
この絵は、それが見事です。
木嶋さんの絵に出てくる小樽は、たしかに現実の小樽にはちがいないのですが、しかし絵の中にしかないうつくしい小樽というのもまたあたっていると思います。
「66歳になるけど、仕事もしてないからどんどん描いちゃうのな。徹夜も平気だもん」
と話す木嶋さん。お体に気を付けていつまでも健筆をふるってほしいものです。
出品作は「港の倉庫」「雪の日」「海開け」「北の浜」「橋」(=ガスがかすかにかかった運河。空気遠近法のたくみな応用)
「影」「早春」「初冬」「夏」「雪ぐもり」「流氷」「小樽の岬」(=木立ちの描写がすてきでした)
「春の海」「雪」「初夏」「富岡教会」「曇り日」「祝津」「春の陽」「パンジー」
千葉幸子個展=同B室
中間色の静物画が独特の味を出しています。
山本洋子展=同C室
おもちゃなどを題材にした静物画。遠近法ではなく、物質の集積でとらえているところがおもしろい。
沖本慎介油彩画展=同D室
グループ展などで腕をみがくアマチュア画家のひとりなのですが、なにせ熱心です。
一時期の出品ラッシュのころとくらべると、画風は落ち着いてきたように見えます。
この人らしいのは、モティーフをはっきり描かずに、隣り合う色と色が微妙にとけあうところではないかとおもいます。油彩でありながら、どこか水彩の長所を持った絵なのです。
その点からすると、シクラメンを描いた静物や、建物群が明確にえがかれた「駒ヶ岳遠望」などよりも、赤や黄色の紅葉や崖の茶色がうまくまざりあっている「豊平川(川沿付近)」や「豊平川(十五島付近)」などのほうに沖本さんならではの持ち味がでているといえます。
「立待岬(時化の日)」「立待岬(なぎの日)」は、現場で得た空気感をたいせつにする沖本さんの感性がにじみ出ています。
本人のHPはこちら。
八幡平松尾焼 無言窯 染谷一無こだわりの楽焼茶碗=同E室
岩手の陶芸家、道内では初の個展。
題名の通り、茶碗ばかり。発色があざやかで、いろんな景色がたのしめます。
第1回かとるふる〜る展=同G室
4人のグループ展。
上田敞子さん(日本画)の「木もれ日」に感心。
並木道を描いています。
透視図法を使っていながらも、装飾的な画面構成というのがおもしろい。葉を、緑の斑点として処理しているからかもしれません。降るまばゆい光が、その間に点在しています。
以上、いずれも13日まで。
伊藤晶子レザーアート展=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル6階)
高木晶子さんなどの革工芸とはちがい、レリーフ絵です。
草や木々などをデフォルメした画面には、どこかさびしげな、独特の魅力があります。
石膏板にレリーフを彫った後、湿らせた羊の皮に押し付けてかたどり、アルコール溶剤で着色しています。新作なのに長い経年変化のあとのような、おもしろさがあり、見ていてあきませんでした。
9日まで。
inner:core=クレセール・アートバーグ(大通西9、札幌デザイナー学院)
岩崎あゆみさん(1982年生まれ)、網野聖美さん(75年−、札幌大谷短大卒)、田谷由貴子さん(同)、中村大介さん(80年−、ドレスメーカー学院卒)の4人によるコラボレーション。
若い人がインスタレーションやると、学校祭みたいでいいですねえ。
プレゼンのうまさでは、最年少・岩崎さんの圧勝。
13日まで。
齋藤周「多面に存在していくこと」 liberate your senses=Free Space PRAHA(南15西17)
なんと、プラハの壁から柱から、入り口附近に置いてある石油缶の表面まで、白いところすべてをドローイングで埋め尽くしてしまいました。
人物、記号、日用品などが、大きさもばらばらに、さまざまに関連しあいながら、壁に描かれています。
イマジネーションの豊かさに脱帽。ただ、あちこちに印字された英文がちょっと説教くさいのでは? という気がしないでもありません。
14日まで。2度と見られないのだから、札幌の人は見に行こう。
漆工房まほろば 府川晃 木のうつわ展=ギャラリー紀(南5西24)
木目をいかしたうつわです。日用品だけど、けっこうワイルドな魅力。
16日まで。
なお、左の写真は、ギャラリーのすぐ前で撮りました。
西塚顕治写真展=gallery Strawberry's(南2西1、ライズビル3階)
風景、人物など、モノクロとカラーの旧作を展示。
水平線のほかにはなにもうつっていないような、茫漠とした海岸風景が胸を打ちます。
筆者が訪れた時、会場にはだれもおらず、中央の卓上に吸殻の入った灰皿があって、たったいま西塚君がここを去ったかのような感じにおそわれるのでした。
彼のさまざまな表情をとらえたスナップも、会場に貼ってあります。
13日まで(10日休み)。
ギャラリーどらーる(北4西17 HOTEL DORAL)の高橋英生展は、基本的に旭川・ギャラリーシーズの個展と同じだと思います。
それにしても、一見おしゃれに見えながら、そこに秘められた実験精神のゆたかさに感服させられます。「壁の詩」なんて、ほとんど文字とマチエール、少ない色だけで100号の画面をつくっているのですから。
さっぽろギャラリーマップの桑園・円山地区をアップしました。
ギャラリーが多く、しかし中心部ほど頻繁に訪れない人もいるとおもわれるだけに、需要も多いはず。ご活用ください。
7月7日(日)
訃報です。
歌志内在住の画家で、道展会員の中山教道さんが亡くなりました。72歳でした。
中山さんは、1968年の道展で奨励賞を受賞。70年に会友、79年に会員になっています。
空知地区にわりと多い、写実的に風景を描く画家ですが、一見なんでもない風景をあたたかみのあるタッチで描く画風は、筆者は好感をもっていました。
昨年の道展出品作「火力発電所」は、下のサイトでごらんください。
ご冥福をお祈りします。
http://doten.jp/01dou/html/i-y090.htm
だてまこと展=ギャラリーミヤシタ(南5西20)
壁掛けの立体。
電信柱の上の方というか、十字架というか、そんな形が、矩形から凹み型にくりぬかれている、といえばいいんでしょうか。
ただ、ななめに凹んでいるので、ある程度の運動感はあります。
また、表面がエナメルみたいにつるつるしていながら(これは自動車用の塗装材料を使っているため)、ざらざらもしているので、不思議な存在感もつたわってきます。
画廊の壁に映る影もおもしろい。
昨年の個展はこちら。
種村美穂版画展=カフェ・ルネ(中央区南4西22の2の6)
動物たちをモティーフに、ポップかつカラフルなシルクスクリーンを制作する種村さん。
ラウシェンバーグやアンディ・ウォーホルに刺戟されて版画を始めたそうです。
ここ10年ほどの作品が並んでいますが、近年の、クレヨンで黒い輪郭線を書いた作品のほうが、勢いがあっておもしろいです。
「手間はかかるけど、あんまり『シルクシルク』したくないですからねー」
とは、たまたま店内にいらしたご本人の弁。
お店のサイトで、昨年の作品「Forest music」が見られます。どうぞ。
9日まで。
おかげさまで好評の「さっぽろギャラリーマップ」。きょうは「西11丁目駅附近」をアップしました。
7月6日(土)
きのうの続き。
第21回みちの会作品展=大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階)
ベテラン画家の八木保次・伸子夫妻の教室展。
テーブルも背景も同系色でかためた静物画が多いです。
中田やよひさん(全道展会友)「港」は、ちかくで見ると灰色などの線がでたらめにあるだけなのに、遠く離れて見ると船が停泊している光景がうかんでくる不思議な1枚です。
保次さん(同会員)が「BLUE」など、大きな抽象画を出しています。
昨年の様子はこちら。
9日まで。
杉山宏二・坂元輝行・真鍋敏忠・中川幸浩 淡彩4人展=北海道銀行・札幌駅前支店ギャラリー(中央区北4西3)
この会場、はじめて行きました。 ATMコーナーの後ろ側に絵が飾れるようになっているんですね。
4人はいずれも札幌在住で、スケッチをしていて知り合った由。
杉山さんは道庁赤れんがばかり6点。
坂元さんは地下鉄の中の島駅や平岸駅周辺など、あまりほかの人が書きそうもない都市(札幌)の風景を、いつものすばやいタッチでとらえています。
真鍋さんは、トウガラシなどの静物画が巧み。十勝岳連峰などの淡い色彩もきれい。
中川さんは、厚田、真狩など。白を多く残しているのが特徴。
12日まで。
田村陽子展=ギャラリーたぴお(中央区北2西2、道特会館)
ファイバーアーティストとしての面目躍如のインスタレーション。
800本から900本はあろうかという蛍光テグス糸を、らせん状にして、天井近くの枠からびっしりと吊り下げています。
それをブラックライトで照らしているので、ぼーっとした幻想的な空間になります。
「なんだか森みたいですね」
と言ったら
「人生みたいだねって言ってた人もいましたよ。スタートはみな同じなのに、長さが違う。途中でねじれてるところはグレた年ごろだろうって」。
なるほど、らせんは、一昔前の電話の受話器の線に似ているとはいえ、あれほど均一にカーブしているのではなく、あちこちでよじれたり、まっすぐに近くなっています。
写真はわりと雰囲気を出してるんじゃないかと思いますが、やはり実物を見たいところですよね。
13日まで。
荒木経惟 今年ノ愛人=コンチネンタルギャラリー(南1西11、コンチネンタルビル地下1階)
ごぞんじアラーキーの新作91点。
昨年の写真集「去年ノ愛人」につづくシリーズで、荒木が設定した7人の「仮装の愛人」とのできごとを、日記のような形式でまとめた―と、朝日新聞道内版には書いてあります(^_^)
ヌードあり、SMあり、ときおり花やフィギュアのショットが挿入され、コンパクトカメラでつぎつぎ女性の表情をとらえていく、いつもながらのアラーキーの世界になっています。裸の女が踊っているカットがあるのがちょっとめずらしいかな。
12日にサイン会。午前10時から整理券を配布するそうです。
18日まで。
ほかに見たもの。
本間純子・平面図の「ルビ」展=NHKギャラリー。保坂憲生油彩展=ギャラリー大通美術館。第24回ポピーの会画展、第2回山本高夫水彩画個展=市資料館。4人の絵画展(大郷昌平、齋藤弘業、吾田千萱、鈴木紅映)、木耀会展=札幌時計台ギャラリー。本山和泉作陶展=スカイホール
さんざん苦労の末、札幌市中心部のギャラリーマップを作成いたしました。
駅前―大通と、大通−すすきのの2つです。
先に作った前者のほうが、出来が悪いです。
おりを見て更新したいと思っています。あと、他地区も近々アップします。
7月5日(金)
高橋伸展=時計台ギャラリー(中央区北1西3)
独立美術の会員。千歳市在住。
道内の公募展には所属していないこともあって、まとめて絵の見られるめずらしい機会でした。
「situation」と題した、筋肉も陰毛もたくましい裸婦(あるいはトルソ)を主に、花などを配した絵が中心。「人間」に正面から向き合う画家の多い、独立らしい絵といえるかもしれません。
昨秋、東京都美術館で見た「原野のピエタ」に再会しましたが、この絵が高橋さんの画業から見ても、かなり異例の作であることも分かりました。やはり、9・11が響いているのかしらん。
野呂恵子個展=同
野呂さんは、蕗の葉と埴輪を主要なモティーフに、明るい黄緑が支配する絵を描きつづけています。
この明るいグリーンが、快いんだよなあ。埴輪の茶の上にも薄く塗られています。
野呂さんのもうひとつうまい点は、画面すべてをモティーフでうめてしまわず、地の部分をきちんとのこしていること。ひろがりがでています。
それにしても、題の「アミターユス」って、どういう意味なんでしょう。
札幌在住、新道展会友。
三明伸(みあけ・しん)水彩画展=同
3月に個展を開いたばかりの達人が再登場です。
今回も、北大第二農場や篠路、茨戸(バラト)、資料館前など札幌の風景が中心。
三明さんのたくみな点は、陰影をきちんと灰色の帯で加えているところです。それでいながら絵柄がきたなくならず、透明感を保っているのはさすがです。
なつかしいエズ(フランス)の風景も2点ありました。
もしニース方面に旅行される方がありましたら、近傍のエズ村へどうぞ。おすすめですよ。
以上、6日まで。
笹山峻弘個展 インド紀行=スカイホール(南1西3、大丸藤井セントラル7階)
毎年インドに出かけている笹山さん。札幌での個展は4年ぶりで、スカイホール全室を使った大規模なものだ。
大作「ラダック」など、画面の下半分はラマ教の寺院、上半分は曼荼羅という組み合わせからなる絵が中心。
前回の絵をきちんと記憶しているわけでないから、あんまり自信を持っていえないんだけど、下半分の寺院は、以前より明瞭に描かれなくなり、陰影にも乏しく、灰色のかたまりのように見える。
また、上半分の曼荼羅は対照的に色鮮やかなのだが、さらに上から白やライトグレーの絵の具がまぶされており、まるで霞の向こうから浮かび上がってくるようだ。
もうひとつ。「ミトゥナ像」などで繰り返し描かれるヒンディー教の神像のモティーフがある。性の悦楽をあけすけに讃美した像なのだが、それも茶色と灰色にかすんだように描かれているため、人間存在そのもののはかなさをうたっているかのようにすら見える。
画家は、インドの地で、なにを思っているのか。絵の背後からつよい宗教心のようなものを感じる。
2002夏祭り 『祭り・Fest』展=さいとうギャラリー(南1西3、ラ・ガレリア5階)
毎夏恒例の企画小品展。
回をかさねるごとに人数が増えてきゅうくつになっていましたが、今回は出品者数をしぼったようです。
中田やよひ「金魚」は、こういう題がついていなかったら抽象水彩画に見えたことでしょう。
林亨「眼を閉じて」は、いつもながら空間の奥行きのある絵画。
北見から参加の林弘尭「Unit A 記憶の領域−暗い闇から」。きっとなにか作者なりの意図があるんだろう。よくわかりませんが。
岡倉佐由美「モダリティー」。題の意味はよくわからんけど、彼女らしい、まとまっているオブジェ。
工藤悦子「祭の後で」。大作と小品でまったく作風のちがう工藤さん。今回は、木の葉のコラージュを生かした、いきな作品です。
最後に、櫻井マチ子「見ちゃダメよ!」。オブジェに張られてある写真で、マチ子さんがビキニ姿を披露しています。うーん、箱をあけたら、まさかヌードじゃないだろうなあ(^_^)
3大学合同展=札幌市写真ライブラリー(北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)
ほんとは3大学合同展って名前じゃなくて、もっとしゃれた名前がついてるんだけど、メモしてこなかった。
北星学園大、札幌学院大、酪農学園大の、札幌の東のほうにある3大学が毎年開いています。
すごい人数です。なんでも各校とも、新入生が二けた入ったそうな。それも女性が大半。
わかい女性に写真がブームっていうのは、ホントなんですね。
わるくないことだと思います。暗室作業とかおぼえておくと、たのしいですよ(筆者は、油絵はかけないけれど、暗室作業はかなりやっている)。
北星の足立成亮君「good music good rhythm good dange」、打楽器をたたく男の恍惚の表情がイイです。
おなじく北星の中村仁美さん、加藤D輔君のセンスの良さはいまにはじまったことではありません。
北海道風景画巡回展=札幌市資料館(大通西13)
キャンバスに水彩で描いている中岡貞雄さんの個展。
紅葉、流氷、漁をする夫婦など題材はさまざまですが、逆光でとらえた函館港の風景はなかなかのもの。
ただし、絵によって出来にばらつきがあります。
中岡さんは、和歌山県在住ですが、毎年、キャンバスを車に積んで、函館、網走など道内数都市を回っています。車中泊だそうです。巡回展のほか、絵を描くためにも道内を旅します。
おびただしい絵を見ていると、こういう人生もあるんだな、という感慨がわいてきます。
以上7日まで。
つづきはあす。
7月4日(木)
ふたたび札幌彫刻美術館へ行き、小寺真知子さんにいろいろ貴重なお話をうかがってきました。
いずれ、あらためて記したいとおもいます。
というわけで、今週はまだギャラリーめぐりがほとんどできていません。
あしたがんばります。
米国の独立記念日で、テロかなにかおこるかもしれないと、いつもより会社に遅くまでのこっていたけど、とりあえずなにもないみたいで、よかったよかった。
6日から、京橋のツァイトフォトサロンで、鈴木涼子さんをふくむ4人展が開かれます(31日まで。日、月、祝日休み)。
このページを見ている首都圏の方で、現代美術、現代写真に興味のある方はぜひごらんください。
15日からは銀座・井上画廊で、独立美術会友の中川克子さんの個展もあります。
北海道勢も、遠いながら、ガンバッテいるんだぞ、ということで。
7月3日(水)
ひさびさの完全休養日。
7月2日(火)
べつにW杯サッカーを熱心にテレビ観戦してたわけじゃないのに、きょうはどうもモティベーションが高まらない。
きょうは、ギャラリー回りはなし。
このサイトも手直し程度です。
風間健介さんからのメールで、東川フォトフェスタの情報を表紙に入れておきました。そうだ、夏はこれもあったんだよなあ…。
7月1日(月)
世界の押し花絵作品展=三越札幌店
きょう1日で終わりの展覧会にやっと行ってきました。
なかなかきれいです。とくに、樹皮をたくさん用いたウクライナ勢の作品は興味深かった。
もっとも、花瓶や花畑をモティーフにした絵も多く、これはわざわざ押し花絵にする必然性をかんじませんでした。
会場は混雑していましたが、男性はだれもいませんでした。
可窯・岩井孝道 夏の器展=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル6階)
夏のうつわ、といえば岩井さん。メロン灰を使った釉薬の食器など、見た目がとにかく爽やかです。
2日まで。
*
「水脈の肖像2002−日本と韓国、二つの今日」展について、展覧会の紹介にアップしました。
道立近代美術館での展示はおわりましたが、石狩市のArt Warmでの展覧会は21日までつづいています。なんと、休館日なし、午前10時から午後10時まで。しかも無料です。
行きそびれた方はぜひどうぞ!
「アートな本棚」は3ファイルめとなり、あらたに「木嶋良治画集 北辺の啓示」をアップしました。
このコーナーで、道内で出版された書物をとりあげるのははじめてです。
絵が良いのはもちろんですが、マチエールなどもわかる高品質の画集です。
8−13日に、札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)で開く個展でも発売するそうなので、お楽しみに!
とかち国際現代アート展・デメーテルのサイトをのぞいて見たら、オノ・ヨーコさんの「sky TV」につかう古テレビの募集をまだやっていました。
映るけどつかわないテレビって、案外あつまらないものですねえ。
自宅にある方はどうぞ応募を!
ちなみに、筆者はデメーテルの事務局からたのまれて、十勝以外の道内各地の展覧会情報を随時おくることになっています。
道新社員のくせに十勝毎日新聞社主催の行事に協力するとはなんたることだ、などと了見の狭いことをおっしゃるかたはたぶんいないと思いますが、ともあれ、自薦・他薦をお待ちしております。