つれづれ日録の題字

2002年3月前半

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3月14日(木)
やまは終わっていないの会場風景 ヤマは終わっていないと題された写真展が、サッポロファクトリー二条館地下(中央区北2東4)の催事場で開かれています。
 空知地方などに残された炭鉱遺産の保存と活用を訴え続けてきた「グループ炭坑夫」が、長崎県の「軍艦チーム」と協力、サッポロファクトリーの好意を得て開催にこぎつけました。
 先ごろ国内最後の炭坑として閉山した太平洋炭礦(釧路)の継承炭鉱・釧路コールマインと、長崎・池島炭鉱の存続を訴え、炭鉱遺産の魅力を知ってもらおう−との呼びかけであります。
 道内外から約20人が参加しました。
 今は壊されてないものも含め、清水沢の発電所、ダムに沈む予定の大夕張の市街地、各地の閉鎖された坑口などがとらえられています。匿名で、1950、60年代のメーデーや炭住の写真を送ってくれた人もいます。
 写真の一部や床に並べられ、また、石炭や保安帽なども展示されています。
 目を引くのは、長崎県のグループが世界遺産登録を求めて活動している「軍艦島」の写真です。島全体がかつては炭鉱を掘るための島で、いまは廃墟になっています。あまり見る機会のない九州の写真があるのが興味深いです。
 北海道側では、仙北慎次さんのカラー写真が印象深いです。人気のない町のトタン屋根の青が、目にしみます。
 「グループ炭坑夫」代表の風間さんは
「カネがないので、しばらくこういう展覧会はできないかもしれない」
などと話していますので、この機会にファクトリーにお越しください。
 17日まで。夜10時までやってます。
 同時にウエブでも開催

 スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階)では、第8回湖(うみ)の会展が開かれています。
 札幌の書家、島田無響さんが主宰する「點の会」の、同人会友展です。
 重厚感ある、漢字の創作が目立ちます。また、共通課題の小品「巖」「樹」を全員が出品しているのも、おもしろい試みです。
 大坪雅子さん「驚濤」は、さんずいの線がのびやかでいて厳しさがあり、斉藤嘉舟さん「花群」は、「群」という字の空間のバランスが絶妙。上西幸子さん「攀」はぶっきらぼうな力強さがあり、西野帛苑さん「烈」は空白の空けかたがうまいと思いました。
 17日まで。


3月13日(水)
 「札幌美術展」の紹介を書き始めたが、つい長くなってしまい、終わる気配が見えない。
 なんとかあす中には書き終えるつもり。週末には、アーティストトークなどが予定されているので、お時間のある方はぜひどうぞ。


3月12日(火)
 訃報です。
 道書道展創立会員のかな書作家、蓮沼公仁子さんが亡くなりました。80歳でした。
 北海道を代表するかな書の集団「さわらび会」の中心メンバーとして長く活躍しました。

 写真展を二つ。
 周慧「悠久の記憶 中国の山里を訪ねて」は、富士フォトサロン札幌(中央区北2西4、札幌三井ビル別館)で。
 今回の写真展では、元気な子供たち、アヒルを乗せて走るバイク、牛がのんびりとたたずむ田、家の前のお年より夫婦など、1950、60年代の日本を想起させる懐かしさを漂わせたモノクロ写真が並んでいます。欧米やアフリカと比べても、中国の農山村の写真、映像というのは、わたしたちの目に触れる機会が少ないように思え、その意味でも貴重な展覧会です。
 それにしても、上海に生まれ育ち、東京で活動する写真家にとっては、これらの風景が物質文明に侵されない、ノスタルジックなものに見えるんだなー、といたく感心しました。この図式も、ちょっと前の日本みたいだなあ。
 20日まで。

 キヤノンサロン(北区北7西1、SE山京ビル)では、内藤和男写真展 TOWN MURMUR。たしか、小田原かどこかの、1932年生まれのアマチュア写真家です。
 気軽な街歩きのスナップ。目に付いたショウウインドウや看板、ディスプレイなどを、思いつくままに撮影しています。ショウウインドウのガラスが反射するのもあまり気にしていないふうで、気軽な写真展であります。
 15日まで。

 アートスペース201の赤木さんのサイト「ぞ」が、以前から「閉鎖する」という予告はあったのですが、今度こそホントに閉鎖してしまったようで、記載されてあった情報などもあらかたなくなってしまいました。掲示板をめぐってトラブルがあったようですが、べつに赤木さんがだれかの中傷をしたわけではないのだし、とても残念です。


3月11日(月)
 会社に9時半すぎまでいたので、きょうは落穂拾い的に話題をいくつか。

 帯広にNCギャラリーとかいう、信販会社の開いたギャラリーが出来、オープン記念として宮沢克忠さんや中谷有逸さんなどの作品展を開いているそうです。

 先週木曜の毎日新聞の夕刊文化面に、東京で開かれている山田太虚さんの書展の紹介が出ていました。
 山田さんは札幌の書家で、かっちりした漢字を得意とする方です、たしか。
 社中の展覧会の様子はこちら


3月10日(日)
 9日の続き。

 大道真司写真展“沖縄愛らんど”は、イーストウエストフォトギャラリー(中央区南3西8、大洋ビル2階)で。
 海外とか、遠いところに行って撮った写真を集めた展覧会って、単に
「行ってきましたよー」
という報告でしかない写真展に、往々にしてなりがちですよね。知らない人の旅行アルバムをえんえんと見せられるのに似て、けっこうツライものがあります。
 その点、この写真展は、沖縄に寄せる思いの強さが際立っていて、単なる観光写真展とは、ひとあじ違うものになっていると思います。
 筆者が面白く思ったのは、海沿いを走る道路のコンクリート塀に座って談笑するスーツ姿の男性たちをとらえた写真と、ダイビングハウスの壁にサービスサイズの色褪せた写真がいっぱい貼ってある情景を写したもの。後者は、一枚一枚の写真がそれぞれの人のかけがえのない思い出を宿している―という当たり前の事実を思い出させてくれて、しんみりしました。
 ほかにも、観光地で団体旅行客の写真を撮る人を写したものとか、渡嘉敷中学校のとてもよい表情の中学生とかが、印象に残りました。
 大道さんは、沖縄を通じて、自分を写しているんだなあと思います。ただ、この感情移入が過ぎると、暑苦しいというか、説教臭くなってしまいかねないので、心してください(よけいなおせっかいかもしれませんが)。
 19日まで。

 9日が最終日でしたが、進藤冬華「砂丘と波」を、テンポラリースペース(北4西27)で見ました。
 石狩市立図書館の蔵書をアートの舞台にしてしまおうというユニークな「栞プロジェクト」などさまざまな活動をしてきた進藤さんですが、個展は初めてだと思います。
 今回は、「砂丘と波」と題された2本の短いビデオ。会場の隅に、ちょうど映像が二分されるように、プロジェクターで投影されています。
 いずれも、石狩市の知津狩という海岸で撮影されました。「しらつかり」。いい響きの地名だなあ。
 1本目は彼女が浜辺で、足は地面から離さずに踊っている様子。
 2本目は彼女が友人二人に、雪の上を腹ばいに引っ張られている様子。
 日本海からの冷たい風が吹き付ける中、自然と交感しようとしているさまが映像に記録されています。
 知津狩は、灯台のある石狩市の旧市街から、川を渡ったあたり(といっても、そこには橋はない)。札幌市の北端にある教育大のキャンバスから北へ10キロほどです。
 この日は、ギャラリーに来た人にいいことがある「サンキューデー」ということで、凧をもらいました。というわけで? 次なる彼女の発表は、23日から31日、Free Space PRAHA(南15西17)で自作の凧などの展示です。

 ほかの展覧会には、簡単にふれておきます。
 西村美智子と本町教室の陶芸展=大同ギャラリー(北3西3、大同生命ビル3階)
 いろいろなタイプの器が並んでいます。12日まで。
 小林志乃個展=同
 ふつう植物画というと、水彩で一つの個体を丁寧に描いたものですが、これはCG(コンピュータグラフィックス)を使っているせいか、空間恐怖のようにびっしりと草や花が平面を覆っているのが風変わりです。色もきれい。12日まで。
 佐々木巧写真展=札幌市写真ライブラリー(北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)。
 初の個展。支笏湖、洞爺湖、羊蹄山にモティーフを絞り、霧、朝日、冬など、さまざまな表情をとらえていました。10日まで。
 加藤秋霜書展=スカイホール(南1西3、大丸藤井セントラル7階)
 書峰社書道の主宰者として書道教育・普及に力を入れてきた加藤さん。紫、茶などさまざまな色の墨を使った近代詩文の作品が中心で、摩周湖などを題材にした水墨画もあります。肩の力が抜けたやわらかい線が特徴です。
 10日まで。
 玉手ちあき展=ギャラリー大通美術館(大通西5、大五ビル)
 植物や風景の淡彩の小品ばかり。絵のほうは、趣味的なものです。それよりも、手話通訳のかたわら、京都、岩手、モンゴルなど各地を旅し、斜里などの登山もこなしているタフさ加減のほうに興味を持ちました。
 10日まで。
 三橋紀子展 We are=this is gallery(南3東1)。
 二人の人が抱き合ったかわいらしい白い立体を、さまざまなパターンで展開しています。9日まで。 

 7、8月に、道立近代美術館で開かれる「ゴッホ展」の紹介を、リンク集に追加しました。道新オーロラネットの中にあるコーナーです。展覧会は、道新グループがかなり力を入れています。同じ時期、札幌芸術の森では、STV主催のルネサンス素描展が開かれるとかで、ことしも美術展でSTVと道新の“対決”という図式になりそうです。

 札幌美術展はあす以降、展覧会の紹介にアップします。


3月9日(土)
under23 art flashの会場風景 CAI(中央区北1西28)できのう始まったUNDER23 ART FLASH。その名の通り、出品者が23歳以下限定の美術展です。昨年に比べると、かなりおもしろく感じた作品がありました。知ってる人が多いせいではないと思うけど(^.^)
 いちばんシンプルかつインパクトがあったのは、圓山雄太朗「存在の圧縮」でしょう。小さな庭に立てかけられた、木の板とアクリルによる、高さ約2メートルの直方体の作品ですが、中には肉がぎっしりと詰まっているのです。これは、ぎょっとさせられます。しかも、板には、頭蓋、鎖骨、十二指腸など、体の部位を示す単語がびっしりと書かれています。生命を即物的なかたちで表現しているということができますが、昨今の食品のにせ表示問題にも思いはとんでいきます。
 近藤寛史さんのアニメ「Do or Die」は、2月のEXPLORER EXHIBITIONにも出品されていましたが、少し長くなったみたい。主人公が日給を受け取った後、コンビニエンス・ストアで買い物するシーンが追加されたようです。高架道路の横を歩く主人公が闇の中へと消えていく場面で完結です。
 寺林陽子「MARCH」は、小さなドローイング。卒業アルバムの集合写真の輪郭を、いくつも重ねて書いたような作品です。学生服の繰り返しが、個性喪失の現代に対する批判になっていると思います。なかには、顔の中がバーコードになっている人もかかれています。
 23日まで。月曜休み。

 第8回グループ野の花染色展は、コンチネンタルギャラリー(南1西11、コンチネンタルビル地下1階)。
 道内染色界のベテラン戸坂美恵子さんが指導する教室展なのですが、とにかく技法のデパートと呼びたいくらい多彩な技法が使われています。ろうけつ、型染め、絞り、色糊捺染などなど、なかには、シルクスクリーンで木の葉の模様をつけた浴衣もありました。
 ろうけつ染は発色が美しいので、つい不要に多くの色を使いがちですが、志賀和子さん「里ごころ」は、おちついた青と緑を織り交ぜた渋い佳作だと思いました。
 あす10日まで。

 あと「札幌美術展」とかいろいろ見たんだけど、とりあえずここまでアップします。


3月8日(金)
 北海道教育大学岩見沢校美術研究室の卒業制作展を、札幌市資料館(中央区大通西13)に見に行きました。この春卒業する12人の作品展です。
 あらためて思ったんですが、いわゆる現代美術的作品が浸透してるなー、ということを感じました。いわゆるタブローは2人だけでした。
 鹿内麻梨亜「サンクチュアリ」は、同館ミニギャラリーの一室を使ったインスタレーションという、考えようによってはずいぶんぜいたくな作品。入り口から奥に向かってまっすぐ床に並べられた黒の立方体、その先の壁に架けられた枠だけのドア、白く塗られた机、白く塗られて有刺鉄線でぐるぐる巻きにされた椅子、テレビモニターからなりますが、その意図するところはもうひとつ明確ではありません。
 森田麻紗子「呼吸」は、白いロウでできた縦横20センチほどの直方体が50個、規則正しく床に配列されたインスタレーション。ミニマルアート的な美しさはありますが、これも何か隠された意図があるのでしょうか。
 一方、狩野量「ココロ」は、左右にスピーカーを改造した立体、中央に、水道管とふたつの蛇口をめぐらせた構造物が木製の箱に乗っかった塔という、三つの部分からなる作品です。スピーカーの上にある四つの面は順番に明滅しますが、これは「喜怒哀楽」を表しているようです。木製の箱の中にはストロボか何かが仕掛けられているらしく、ひっきりなしに光を発しています。こちらはたしかに作者のいわんとしていることはわかるのですが、こういうふうに見せられると、図式的というか、言葉を造型物に置き換えたという印象がないわけではありません。しかし、学生の作品に対して要求するところが高すぎるかなあ。もちろん、今挙げた作品は、きょう見た中では良かったと思うから、こうして書いているわけです。
 傾向の違う作品では、中田拓哉「焔」。木工です。さやのような形に覆われた電球が木々のように並び、おしゃれなインテリアになりそうです。
 10日まで。

 市立小樽文学館の「学芸員のページ」が、さいきんテンション高いです。ことし7月の「喫茶店展」に向けて、準備が急進展していくさまがおもしろく読めます。うーん、夏が楽しみ。


「千と千尋の神隠し」ポスター3月7日(木)
 弁当食ったのが5時過ぎで、仕事が終わったのが8時過ぎ。こんな日もあります。

 訃報。
 パリで活躍した前衛画家の今井俊満さんが亡くなりました。
 フランスの批評家、タピエに認められた、日本を代表するアンフォルメルの画家でした。
 今井さんは晩年、日本に帰り、がんであることを公表。その一方で、ケータイをもったコギャルの絵をかき「遺作」と銘打って発表するなど、ばりばり活動していました。

 ぜんぜん関係ない話ですが、左は或る映画館の前にあった看板です。
 「ベルリン国際映画賞 金熊賞受賞」… あれれ、なんか違うぞ(^.^)

 リンク集、「アートな本棚」なども更新しました。


3月6日(水)
 昼食をゆっくり食う時間もないのに、お昼時にこっそり会社を抜け出して、第1回サッポロ未来展を見に行きました。
 これも、札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)が、職場のすぐ近くにあるためにできる芸当であります。
 以下、「展覧会の紹介」に続きます。
 全体的に厳しいトーンの文章になってしまいましたが、ご海容のほどを。

 さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)では、春陽会・全道展の大ベテラン八木伸子さんが指導するNHK文化センター教室の「ぐる〜ぷ・マルディ展」と、八木さんおよび夫の八木保次さんが指導役の朝日文化センター水彩教室の「白の会展」が開かれています。
 前者は、小山喜栄子さんが「少女」「ぎにょーる」などで、元気のいい筆使いをみせています。
 八木伸子さんは「石狩の浜」を賛助出品。寂しげな風景です。どこか文人画など、日本の伝統的な絵画との共通性を漂わせています。構図的には、中景の黒い柵がきいています。
 「白の会展」では、村田理栄子さんの「モンゴルの少女」が、派手かつ斬新な配色でした。八木保次さん「作品 三月」は、あいかわらず白を基調とした抽象画ではありますが、オレンジや薄紫が混じるなどやや明るい感じになりつつあるようです。
 いずれも10日まで。

 さいきん、いろんな方からメールやお手紙をいただくようになりました。ありがたいことです。
 忙しさにかまけてあるいはご返事を忘れたままになっていることもあるかもしれません。なにとぞご容赦を。


3月5日(火)
 「展覧会の紹介」に、「新道展会員小品展」を追加しました。
 リンク集に道立釧路芸術館を追加しました。

 あしたから「札幌の美術」が、札幌市民ギャラリーで開かれるそうです。札幌の美術、といいつつ、北広島市民の岡部昌生さんもエントリーしているのですが、以前端聡さんにその話をしたら
「ヤナイさーん、カタイこと言ったらダメだって。オレなんか、京都の市民芸術祭に招待されたんだから」
と言われました。

 それはそうと、きょうも帰宅が9時過ぎ。どっかで仕事場を抜け出す方策を見つけないと、今週は大変だぞ。


3月4日(月)
 きのう書くのを忘れてました。訃報です。
 北海道新聞によると、絵画コレクターの坂野守さんが亡くなりました。76歳でした。
 坂野さんは、日糧パン勤務のかたわら、道内の画家に的を絞ってコレクションを進めていました。その精華は、1998年(すいません、年号に自信ない)に札幌・芸術の森美術館で開かれた「坂野守コレクション展」で多くの人の感動を呼びました。
 その後坂野さんはコレクションを札幌市に寄贈。市はその作品を、各地の区民センターなどで「コレクション展」を開いて市民に公開しています(昨秋の展覧会のもようはこちら)。
 本州に比べ、なかなか美術品が売れないといわれる北海道。そんな風土のなか、こつこつと作品を集め続けた坂野さんの業績はすばらしいと思います。ご冥福をお祈りします。

 きょうからサッポロ未来展が札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)で始まりました。
 筆者は、最終日まで見に行けない可能性が高いという話をしたら、展覧会のまとめ役の波田さんが「じゃあ、搬入の日に来たら」と言うので、2日の夕方かなり遅刻して行ってみたら、まだ、誰の絵をどこにかけるという相談の最中でした。グループ展というのは大変です。
 まだタイトルの札がついていないので、だれがだれだか分かりません。そのうち詳しく…

3月3日(日)
 きのう見たなかで、どうしても許せなかった展覧会があります。
 三越札幌店(中央区南1西3)9階ギャラリーの高橋幸恵油彩展
 見た瞬間、あぜんとして、思いました。何これ、盗作じゃん
 頭部の小さい人物が中世ふうの静かな筆致で描かれている―とくれば、これは有元利夫以外のなにものでもありません。そのての絵が半分以上あるのです。
 有元利夫といえば、惜しくも夭折してしまいましたが、戦後の洋画では屈指の人気画家。まさか、この札幌出身の若手画家というふれこみの高橋某や三越が知らなかったとは思えないし、万一知らなかったのなら信じがたい無知です。
 のこり半数は、「春の風」など、表面の図柄に関係なくジェソかなにかで画面に凹凸をつけ、その上に天使や花などをかいたもので、ボッティチェリを思わせます。
 展覧会はきょう3日で終わりです。

 リンク集に「ギャラリー喫茶はのん」を追加しました。


3月2日(土)
 仕事は休み。半日かけてギャラリー廻り。

 まず、あす3日で終わりの展覧会からいきましょう。
 坂元輝行淡彩スケッチ展ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル)。坂元輝行淡彩スケッチ展の会場
 あいかわらず、かきまくっております。なんと134点! 一部サムホールなどありますが、大半は6号。そのうち約70点が、東京の街並みを題材に、残りが道内各地の風景のスケッチです。
 すべて現地で、製図ドローイング用のインクを使ってスケッチ。彩色は現地で行ったものと、アトリエに帰ってから施したものとがあるようです。
 ペンについては、竹とか割り箸とかいろいろ工夫しているとのこと。最近では「アジサイの茎がいい」とのことです。普通のペンでは、細すぎて、あの勢いと動きのある太い線は出ませんね。
 それにしても、東京だけで70点ですからねー。ほとんどは昨年11月、半月滞在し、あちこち歩き回って描いたんだそうです。歌舞伎座とか慶応義塾とか銀座の柳とか雷門とか、まあこのあたりはだれでも描きそうな気はしますが、渋谷駅前とか高尾駅のプラットフォームとか首都高速4号線の下なんて、ふつうはデッサンしないよな。西武線武蔵関駅前なんてのもありました(^.^)
 でも、これっておもしろいことだと思うんです。かつて印象派の画家たちが、新しいパリの街を描いたけれど、それ以降はあまり都市の新しい部分は、絵に描かれなくなっているようです。それは道内でも同じで、都市を描いた絵は、判で押したように道庁赤れんがや北大農場ばかり。いままさに、わたしたちが生きている現代の街路に美を見つけよう−という人はなかなかありません。
 西洋の都市に比べて日本の都市があまりに醜悪だという意見も、たしかにそのとおりなのですが、しかし見方ひとつで変わるっていう気もするんですよね。
 「東京はごちゃごちゃしてるとか言う人もいるけど、実は奥が深い」と坂元さん。都市にふさわしいスピーディーな筆遣いで、ふつうの人なら気にも留めない風景に、新しい美を見つけようとしているようです。

 なんだかすごいなー、と思ったのが、コンチネンタルギャラリー(南1西11、コンチネンタルビル地下1階)で見た「2つのメソッド 笠原昌子・渡辺怜奈2人展」です。
 笠原さんは、この春札教大を卒業。具象彫刻ですが、「同芯」(卒業展でも出展)などで、なかなかのバランス感覚を発揮しています。「5の印象」など、首もおもしろい。
 ややこしいのは、同じく大谷短大美術科を卒業する渡辺さんです。この人は、「オリジナルと複製」という問題に人並みはずれて関心があるらしく、100冊を超す雑誌の背表紙を丹念に鉛筆でトレースした作品もあるし、「シナ合板のための八つの装飾」は、合板の木目をトレースしてシルクスクリーンにし、それを合板に刷るというややこしいインスタレーションです。よく見ると、合板の実際の木目と、黄色く刷られた木目がぜんぜん違っています。また、モノクロ写真のプリントを撮影し、写っている木などをトレースして、さらにそれを撮影し、コピーする……といった複雑なプロセスを作品にしたものもあります。
 その関心のありかはおもしろいのですが、こうやって書いていると、はなはだややこしいのが難点? であります。 

 HOME第3回写真展。札幌市写真ライブラリー(北2東4、サッポロファクトリーレンガ館3階)。
 ミュージシャンのステージ写真や、最近では映画「マンホール」のポスターの写真などで活躍中の若手写真家・原田直樹さんが、朝日カルチャーセンターで教えている生徒さん20人の作品展。
 一緒に見たフォトグラファーのYさんが
「いいプリントペーパー使ってるなあ」
と、妙なとこに感心してましたが、たしかに発色はなかなか美しいです。
 なかでは、木造の塀に裸木の影が映った情景をとらえた茅野梓さん「秋色」、時間が止まったような古式蒼然たる駄菓子屋をうつした籠尾真美子さん「よりみち」などが印象に残りました。

 続いて、5日までの展覧会です。

 中橋修展 UNIT black&blueアートスペース201(南2西1、山口中央ビル6階)。
中橋修展 平面のインスタレーションです。
 昨年の立体による個展と、色は同じ。アイボリーブラックと、ブリリアント・パープル・ブルーの2色。それを、筆触を残さないようフラットに、大小のキャンバスに塗っています。
 ただし、キャンバスのへりは、両方とも黒を塗っています。その方が、画面が引き締まるようです。
 「ほんとは365枚つくるつもりだったけど、200枚くらいしかできなかった」と中橋さん。大きさがばらばらのキャンバスを配置するにあたっては、4人の協力を得たそうです。これだけ枚数があると、いわゆるミニマルアートともちょっと違った感じがしますね。照明によっても、同じ色がいろいろ違ったふうに見えてきますし。
 その意味では、最もシンプルな画面も、なかなか饒舌であるといえるかもしれません。
 今回は、すべて壁にかけられていますが、なんてったってユニットなので、会場にあわせて、たとえば一部を床に置いたり、重ねたり、そのつど異なった展示が可能です。
 ひとつひとつのキャンバスは、塗りが平坦なこともあって、あたかも複製品のようにも見えます。しかし、裏を見ると、ちゃんとシリアルbェ付いています。美術作品の希少性に対する批判のようでもあります。 

 同じギャラリーの5階では、さっぽろ自由学校「遊」コミュニケーション写真講座作品展が開かれていました。
 みなさん、作品に附された紙では「素人です」を連発していますが、なかなかどうしてきれいに写っています。
 とくに山下政子さんは、なんだか筆者と、レンズを向ける対象が似てるような気がするなあ。連作「冬の光」は、小樽とおぼしき街並みをとらえていますが、いわゆる観光写真ではない、何気ないショットがいいです。
 美しい森の写真も中嶋恵理子さん、持田敦さんらが撮っていましたが、どうやらこれは、後志管内黒松内町にある北限のブナ林のようですね。一度行ってみたくなりました。

 大同ギャラリー(北3西3、大同生命ビル3階)ギャラリーで開催中の木村初江陶造形展については、「展覧会の紹介」で書くことにします。
 また、きょう2日で終わった「新道展会員小品展」も、なかなか見ごたえがあったので、後日まとめて記します。

 NHKギャラリー(大通西1)の千葉由佳個展−私の中の詩人U
 自分の大きな写真を入り口に飾ったり、「詩人」を「うたびと」と読ませるセンスにはついていけないが、絵は、イラストとして見ると悪くない。
 7日まで。
 そのほかきょう見たのは−
 this is gallery(南3東1)のArt MARKET vol.4 仙庭宣之、狩野立子、小田蓉子が出品。2日まで
 大同ギャラリーのまちまち会。黒坂陽一さん(道展会員)の絵画教室展。
 アートスペース201の処展。
 さいとうギャラリー(南1西3、ラ・ガレリア5階)の澤すずこうつわ展、合田早苗江水彩画展。3日まで。
 イーストウエストフォトギャラリー(南3西8、大洋ビル2階)の櫻井玲子写真展「マドモワゼルのひとりごと」。5日まで。

 もう夜遅いので、続きはあす書きます。


3月1日(金)
 札幌にいて3日間も更新できなかったのは、たぶん初めてです。
 ギャラリーに行く時間がないのですが、ちょっと北海道新聞の旭川版を何日分か見ていたら、おもしろい記事がありました。
 旭川市は、現在の中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館を、2、3年のうちに、宮下通の旧国鉄敷地に新築して移したいという意向をもっているそうです。
 たしかに、現在の建物は、すてきですが、美術品の管理という点では不便ですからね。
 藤井忠行さんたちの作品はそのために、放置されたみたいな格好で置かれているんでしょうか。
 もうひとつ、旭川市には、砂澤ビッキ美術館の構想もあるとか。
 ただしこれはまだ流動的。新しい彫刻美術館の所蔵品の目玉、ということになるかも−という気もします。

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