レトロな列車旅19−夜汽車への誘いPART5(あけぼの)

上野駅13番線ホームにて
上野駅13番線ホームにて A寝台個室(シングルデラックス)
A寝台個室 A寝台車通路 朝の車窓風景(秋田県内) 弘前駅にて

 日本では数少なくなった寝台列車の1つ、昭和45年から運行している「あけぼの」号(上野−青森)に乗車し、上野から弘前へ夜汽車の旅をしました。
B寝台のシーツなしベッドを普通指定席料金で利用できるお得な
ゴロントシート2両(うち女性専用車1両)や、B寝台1人個室ソロもありますが、7号車のA寝台個室シングルデラックスに乗車しました。高い天井の室内には、収納式洗面台や鏡、BGMや照明、空調のコントロールパネル、コンセント2つ、2段ベッドがあります。収納されている上段を展開すると、追加料金で2人用個室としても利用可能です。また、歯ブラシ2本、カミソリ、ウェットティッシュ、石鹸等のアメニティセットも、「あけぼの」ロゴ入りのケース入りで用意されています。かつては、ビデオモニターも設置されていたようですが、今は老朽化で撤去されています。車両は全体的にくたびれていますが、それが国鉄時代の郷愁を感じさせます。
 
「あけぼの」には車内販売も自販機もないため、上野駅で弁当、つまみ、飲み物、更に朝食パンまで買い込んで乗り込みます。万一夕食食べずに何も買わずに乗り込むと大変なことになります。列車は、往年の夜汽車の出発の場であった上野駅13番ホームを21時16分に発車すると、間もなく翌朝までに車内放送を中止し、静かな中、ゴトゴトと懐かしい響きをたてて、大宮、高崎と停車していきます。水上で運転停車した後、列車は上越国境へ向かい、湯桧曽、土合とホームがトンネル内にある駅を通過し、国境の長いトンネルに入ります。これを深夜0時に抜けると、一面の銀世界、窓の外が白くなり、月明かりがさらに照らします。上越新幹線や関越道ができた今も、上越線を夜汽車で走ると昔ながらの世界です。国境の長いトンネルを抜けて、土樽、越後中里、岩原スキー場前、越後湯沢と月明かりと白銀の白い世界を走ると、川端康成の雪国の世界と、宮沢賢治の銀河鉄道の夜がミックスされたような、幽玄な夜の世界が展開されます。
 翌朝、秋田駅到着の約20分前、6時18分頃、車内放送が再開されます。秋田駅ではホームで駅弁立ち売りもあるようです。列車は八郎潟、森岳、東能代と秋田県北部をゴトゴトゆっくり走ります。単線区間が多いため、普通列車との行き違いも頻繁にあり、ローカル線の雰囲気です。9時14分弘前駅に到着し、夜汽車の旅を終えました。東北新幹線はやぶさが3時間弱で新青森駅迄到達する中、12時間以上かけて走る、あけぼのが生き残っていますが、車両も老朽化しており、今後が懸念されます。希少価値になった夜汽車の旅が伝承されることを祈ります。

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