レトロな列車旅8−夜汽車への誘いPART3(さようなら「銀河」)
急行「銀河」(東京駅10番線ホームにて) |
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急行「銀河」のB寝台車の車内 | 岐阜駅に停車する急行「銀河」 |
東京−大阪間を走る、全車寝台の急行「銀河」という列車があります。約60年にわたり走っている歴史ある夜行急行列車です。子供の頃に1回、10数年前に出張の際に1回、利用したことがありますが、2008年3月15日のJRダイヤ改正で廃止されると聞き、岐阜までの所用の折り、乗車してみることにしました。
東京駅を23時に出発し、岐阜には朝5時、終点大阪には7時18分に着くスケジュールであり、新幹線の最終よりは遅く出発し、始発よりは早く到着しますが、新幹線がスピードアップして新大阪まで2時間30分弱、格安の夜行バスも増える中、個室のない昔ながらの開放式の寝台車(カーテンで仕切られているのみ)は、人気がなくなり利用者が減少し、廃止が決まったようです。乗車した休日の夜発の列車も空いており、(A寝台車は満席で予約できませんでしたが)B寝台車は、34人定員の1両に10名程度しか乗客はいませんでした。(ありがちな話ですが、廃止日が近づくと混んでくるのかもしれませんが)
発車の1時間前の22時に東京駅ホームに列車が入ると聞き、早めに東京駅に向かいました。車内販売がなく、車内に自販機もないため、東京駅のホームでビールや飲み物を購入し、22時すぎに乗車して、停車中の列車内でビールを飲みました。東京駅を発車する23時には寝台に横になって車窓から夜の東海道を眺めることにしました。多摩川を超える頃には車内は減光され、普段乗り慣れた東海道線も、「銀河鉄道の夜」のような雰囲気になってきました。夜汽車のムードに浸りながら、ここで静かに眠りにつきました。という予定でしたが、車両が古いせいか、揺れが激しく、なかなか眠ることができませんでした。列車は、品川、横浜、大船、小田原、熱海と停車し、静岡に近づいた2時頃、ようやく眠りにつきました。列車は、静岡を出ると、岐阜まで停車しないことになっていますが、実際には浜松、熱田、名古屋等(乗降はできない)に停車したようで、その都度、目が覚めてしまいました。
結局、断片的な短く浅い眠りにつきながら、深夜の東海道線をガタごと揺られながら、ゆっくり走る列車に身を横たえ、往年の列車旅の郷愁に浸るうちに、あっという間に列車は、朝5時に岐阜駅へ到着しました。車内放送は大津到着の前までないとのことでしたので、寝過ごすのではと不安でしたが、到着の10分前に車掌さんが起こしてくれました。近年はカシオペアや北斗星のA寝台個室にしか乗っていなかった我が身には、「銀河」のB寝台車の旅は、決してロマンチックではなくハードで辛いものでした。しかし、このハードさこそが、すっかり忘れられた、昔ながらの夜汽車の旅の真の味わいなのかもしれません。「ご苦労様。さようなら」という声を心の中で列車にかけて、岐阜駅を後にしました。