レトロな列車旅5−夜汽車への誘いPART2

北斗星1号(上野駅13番線にて)

ロイヤル個室のステラリウム

ロイヤル個室

【北斗星・A寝台個室「ロイヤル」で発つ夜汽車の旅】
 走るホテルと言われた、九州方面夜行寝台特急「さくら」や「あさかぜ」が廃止される等、「夜汽車」は全体的に縮小傾向にありますが、「北斗星」のランドマーク的存在である
A寝台個室「ロイヤル」で北海道へ旅行しましたので、「夜汽車への誘いPART2」として紹介します。

 PART1で紹介しましたとおり、「北斗星」は昭和63年の青函トンネル開通と同時に運行開始した、上野−札幌間の寝台特急列車です。現在は毎日2往復運行され、うち早い時間帯に運行する
「北斗星1号・2号」は、個室寝台主体の列車編成になっています。今回滞在(乗車)した列車は、上野発16時50分→札幌着9時18分の「北斗星1号」の9号車2番ロイヤルです。ロイヤルは1人用ですが、補助ベッド(ダブル)を利用して2人用として利用できるため、今回大人2人子供1人の家族旅行で利用しました。(1列車に4室しかないため、予約が取りにくい部屋ですが、今回はウィークデー出発のため手配できました。)
 客室の設備は、シャワー室(10分×2回使用可能) 兼トイレ、兼洗面台、ビデオモニター、オーディオ、ロッカー、テーブル、ソファ、バスタオル、タオル、シャンプー・リンス、石鹸、歯ブラシ等であり、他にウエルカムドリンク(おたるワインとウイスキー、氷、ミネラルウォーター、お茶)、モーニングコーヒー、朝刊のサービスがあります。客室は他のタイプ(A寝台ツインデラックス、B寝台デュエット・ソロ)に比べると格段に広く、天井も高く、窓もワイドで開放感があります。また、天井は、
北海道の風景と星が描かれた「ステラリウム」になっており、客室ライトを消して、ステラリウムのスイッチを入れてベッドに横たわると、まるで銀河鉄道の夜の主人公となったような、或いはプラネタリウムにいるような幻想的な気分になれます。
 さらに、客室には食堂車直通のインターホンがあり、パブタイム(21時〜23時)にはルームサービスの注文を行うことができます。

 料金的には、大人2人(+未就学子供)で利用すると、同じ北斗星のA寝台個室ツインデラックス(シャワー・トイレなし)やカシオペアのツイン(シャワーなし)と同一料金であり、設備・サービス対比で格段のお得感があり、お奨めです。

 東京−北海道間等、長距離の移動は航空機利用が一般的になっている今日、夜汽車での移動は、「移動」ではなく、それ自体が大変贅沢で楽しい
「旅のステージ」です。夜汽車による「旅のステージ」は先ず、第1幕「旅立ち」です。北斗星の場合、ヨーロッパのターミナル駅の雰囲気漂い、旅への郷愁を満喫できる、上野駅13番線から出発、大宮までの約20分は、通勤電車と併走しつつ、通勤客の羨望の視線(気のせいかもしれませんが)を浴びつつ、都会の喧騒に別れを告げ、現実から逃避し旅立っていきます。
第2幕「夜のとばり」。食事や入浴も済み、寝る前のひと時、缶ビール等を片手に、夜の車窓風景をぼんやり見つめます。列車のガタゴト走る音、悲しそうに響きわたる機関車の汽笛を聞きながら、深夜の東北地方の農村風景を見ていると、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思い出し、一旦旅立った現実からまだ別の世界へ辿りついたような気がしてきます。第3幕「夜明け」。いつの間にか眠りについた後、ふと気づくと外は白くなり、朝の海岸線を列車は相変わらず同じペースで走っています。今どこにいるか確かめなくてもここが北海道であることは景色から明らかです。第4幕「終着駅」。16時間の楽しい旅もあっという間に終了し、終点の札幌駅ホームへ列車は入ります。名残惜しい、また再び旅に出ようという思いで一杯になります。

 目的地や旅の目的は異なっても、「夜汽車」には百人百様の楽しみ方があります。列車の数自体が減って、「夜汽車」を楽しむ機会は確実に減っていますが、一度「夜汽車」で旅に出てみてはいかがでしょうか。

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