伊豆長岡温泉
伊豆半島の中央、三島と修善寺を結ぶ伊豆箱根鉄道の中間にある伊豆長岡温泉は、1300年の歴史ある古奈温泉と、明治時代に発見された長岡温泉からなっています。その伊豆長岡温泉にある三養荘を訪れました。
【三養荘】
現在、プリンスホテルグループに属する三養荘は、昭和4年に旧三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎氏の長男・久彌氏の別邸として建てられたと言われています。昭和22年に旅館として営業を始め、その後増築を経て現在に至っています。自然の地形をそのまま活かした広大な日本庭園の中に、本館、離れ、新館があり、建築家・村野藤吾氏設計の新館を含めて、基本的には日本庭園の中に散在する離れを廊下で繋いだような形式になっています。1つ1つの客室が全て造りや趣が異なり、客室を指定して宿泊されるリピーターが多いのも頷けます。
梅の花が庭園に咲く、初春の候、家族親類団体で滞在しました。滞在した客室は、本館の「老松の間」と「みゆきの間」です。「老松の間」は、岩崎家時代に客室として使用されていたという昔ながらの部屋で、本間12畳/次の間 10畳/三の間 6畳という広いスペースからは、美しい日本庭園が見渡せます。本館玄関からも棟続きですぐの場所にあり、往年の情景がしのばれます。「みゆきの間」は、昭和32年に建てられ、天皇陛下が滞在された客室であり、本間12.5畳/次の間 8畳/三の間 8畳と内湯があります。専用の廊下を50m上がった奥にあり、他の客室より一段高く、日本庭園を見下ろすことができます。部屋の前には大きな赤松があります。
三養荘玄関 | 老松の間 | |||
老松の間 | 庭園 | |||
みゆきの間 | 本館玄関 | 庭園 |
自分の宿泊した客室は、そのうち「老松の間」です。岩崎家別荘時代からの代表的客室であり、美しい日本庭園と昔ながらの日本建築の美しさをゆっくり満喫いたしました。食事は、夕食・朝食とも部屋食で、広い「老松の間」で、海の幸、山の幸をふんだんに使用した、オリジナリティ溢れる懐石料理を味わいました。お風呂は、モダンな雰囲気の内湯と露天風呂が1つずつあり、透明マイルドな伊豆長岡温泉のお湯を楽しみました。翌朝、番頭様にご案内いただき、広い日本庭園を散策しました。本館、離れ、どの建物も独特の趣があり、日本庭園の中にいると、昭和初期へタイムスリップしたような錯覚に陥ります。また訪れたい、もう少しゆっくり滞在したい、四季折々の姿を感じるべく、違う季節に訪れたい、という思いを残し、旅館を後にしました。