川原湯温泉
共同浴場・王湯 |
川原湯温泉は、今から800年以上前に源頼朝が発見したと言われる、大変歴史ある温泉です。また、若山牧水に愛された温泉としても知られています。国道145号線沿いにある、JR吾妻線の川原湯温泉駅から細い坂道を登ること約800mのところに、温泉街があります。細い坂道に沿って、昔ながらのこじんまりした温泉旅館が立ち並んでおり、とても風情があります。
王湯、笹湯、聖天様露天風呂と3つある共同浴場のうち、「王湯」を訪れました。温泉街の一番高い場所、川原湯温泉神社と新源泉の前に「王湯」があります。坂道に沿って立つ木造建築の風情ある建物には、この温泉の発見者・源頼朝にちなんで、源氏の紋所「ささりんどう」が掲げられています。
お風呂は内湯と露天風呂が男女別に1つずつあります。他に館内には別料金で休める和室の休憩室もあります。
まず、露天風呂は、外の渡り廊下を歩いて別棟へ入り、更に階段を下りたところにあります。高台にあるため、石の露天風呂からは、川原湯温泉の山々と集落の美しい眺望が楽しめます。お湯は透明マイルドで熱めですが、外気で丁度冷えて適温になっています。硫黄の香りが大変心地よい源泉かけ流しのお湯です。次に内湯は階段を下りた本館の地下にあり、露天風呂とは更衣室も別になっています。浴室は、更衣室から更に浴室内の階段を下りたところにあります。アーチ型の湯舟とタイル張りの浴室、両側に更衣室、浴室内に階段があって天井が高い構造は、昔ながらの湯治場の雰囲気で、とてもレトロな趣があります。お湯はやはり源泉かけ流しで熱く、硫黄の香りが大変心地よい感じです。透明ですが、湯の花が混じっていて、一見白濁した感じに見えます。露天風呂・内湯とも久々に良質の素晴らしいお湯に巡りあったという気持ちで、大変満足して帰路につきました。
なお、この川原湯温泉は、数年後にダム建設により温泉街ごとダムに沈んでしまうということでも知られています。昔ながらの美しい温泉街と良質のお湯がダムに沈むことは、日本文化の喪失とも言うべきことで大変残念に思います。その前にまた訪れたいという気持ちを持ちつつ、この温泉を後にしました。