食堂 


          職場の近くに、食堂があって、ようみんなで、昼飯ぅ、食いにいった。

        庶民的な品揃えで、価格も手頃じゃった。

          しかし、そこの主人が、・・・・・・おばさんひとりじゃが、太うで繁盛記、

        いうところか、このオバはん、岡山弁ながら、江戸っ子のような早口で、

        客を客と思わねぇどころか、叱り付けるくせがあった。

        初めての客は、みな驚りゃあた、(驚いた)


           客がたてこんでくると、「早ぅ、食わにゃあ、後の客が、座れまぁが!」

        「味が薄しぃ、」言うのがいたら、醤油ぅ、出ゃあた、それも1升びんで。


            一緒に行ったEさんが、棚の焼き魚ぁ、とって言った、

        「旬じゃけぇ、(時は秋)サンマが良ぇ」、こりょう聴いたオバはん、「オッサン、

        (お客さんとは言わにゃあ)、 こりゃあ、カマス言うてなぁ、サンマじゃぁねぇ、

        昔しゃあ、カマス言うワラで作った袋ぇ入れて、肥料にしたもんじゃ、

        人間の食ぅもんじゃねかった。今ぁ、魚が少のぅなって、けぇでも売れる。」

         「こねぇな、物ぉ、サンマじゃあ言ぅて、売ったら、詐欺になる。」

         Eさん、悪りぃ顔ぉして、食よぅた。


          せぇでも、この店、不思議な温かさがあった。

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