花・花(essay)                         
 
  

    

**花・花・はな(essay)**

  
   

* 職場の活け花 *

     

            花をもってくれば、だれかが花瓶に活けてくれる。中でもK氏、活け花も習ったとか、
よく活けていた、花もよくもってきた、正月ともなれば、たくさんの花を持ち込み、
玄関に、所長室に、そして職場の中央のお客の机に、ひときわ見事な花を飾る、
これが通例になっていた。
 あるとき、ふと気がついて、訊ねた、「この花はどこが正面になるのか」と
彼いわく、「これは360度と言って、どこから見ても、正面に見える活け方」とか


 

* 活け花のあとで *



     

            子供が活け花を習っていた時のこと、帰ると、ふたたび活け直して、
玄関に飾り、写真を撮るのが通例になっていた。
 ある時、(活けた後)ふと見ると、かたわらに一輪の花が残っていた、
私も「もったいない」の世代、「せっかくの花を」とワキに挿すと
すんなり、収まった。後で、写真を撮っていたので、
「一本、残っていたのを挿したぞ」と言うと、えらい叱られた、
「習ったとおりに活けているのに」と、
 職場のK氏にこのことを話すと、「他の人が活けた花を直すのは
『添えばな』いうて、先生がすること、素人がするなど、
とんでもないこと」、と言い、さらに、
「せぇにしても、すぐに気が付かぬようじゃあ、本気じゃあねぇ」と
・・・・・・いやいや、すまんこって。


 

* 赤い花と・白い花 *



     

            その当時、「サツキ」がはやっていた。
 職場だけでなく、町でも良く見かけた、地に植えてやればいいのに、
小さな鉢に植え、水やりをたよりに生き延びて、それでもきれいな
花を咲かす、
 職場にも、同好の人が集まって、自慢の鉢を飾る。花が終わると、
直後に剪定した枝を分け合う、持ち帰って、カヌマ土に挿すと、
苗となり、数年後には花も咲くとか、
 白や、淡い色の清楚なのもあれば、豪華な花もある、
ひね曲がった幹を強調して、少しの花をつけたものや、
「ガジュマル」のように根を空中に出したあわれなのもある、
そんな中、一本の木に、白い花と赤い花の両方を付けたのが
あった。
 そこにいた一人が尋ねた、「どうやって白と赤を咲かした?」
尋ね方も悪かった、
 花の持ち主は、おもむろに、「リトマス試験紙に酢を
付けると赤ぅなる、サツキも同じで、酢で赤ぅなる」
 「うちのも、酢をつけてみよう」
それを聞いた持ち主、あわてて、「急にはおえん、
つぼみの内からつけんと、せぇからになぁ、濃いすぎてもおえん
花がいたむ、来年、教ぇたる」
 この方、来年まで覚えとるか、どうか、
尋ねてきたら、困るでぇ、持ち主も、
 むかし昔、Long Long Ago のはなし
でも実話です。

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