おばけ * エッセイ民話 * Mog

     むかし・むかし Once upon a time の話じゃ、
上南にも出先があった。
農村じゃし、まわりが水田で、人家もなく、寂しい所でな、 おまけに、
前の小川を挟んで墓地があった。

 そこに、5〜6人の職員がおってな、交代で宿直をやりょうた。
ここの職員はこの宿直をいやがった、近くに店もねぇし。
Kさんだけは、気軽に宿直した、信心もあり、墓のほうへ
「今晩も、お世話になります」 と挨拶して、
それだけで、 気持ちよう寝たそうな。

   その夜は、暑い・暑い・蒸し暑い夜でな、クーラーも、 扇風機もない、
うちわだけの頃じゃ。
Kさん、外で、夕涼みしとったが、それでも暑いんで はだかになって、
小川に入り、首だけ出しとったそうな。

 この頃の小川は、水もきれいで、子供も泳いどった。
突然、子供たちの声と、足音がしたので、大急ぎで、
橋の下に入ったそうな。
がやがやと、子供たちの声が、通り過ぎた、その時、なかの1人が、
橋のしたを覗いたそうな。

 夕闇のなか、川の中にすいかのような、それに、目が2つ、ぎょろっと。
Kさんのあたまはつるんつるんの丸坊主じゃった。
「きやぁー」 子供も驚くわなぁ。
ほかの子供たちも、川を覗いた、子供たちに衝撃が走った。
こんどは、声も出さずに、走り去った。

 Kさん、急いで小川から出ると、身体を拭いて、ゆかたを着て、
うちわでぱたぱた、やりながら待ちょうた。何を待っていたか?

 その時、大勢の村人が、かまや、くわを手に走ってきて
橋の下をのぞき込んだ。
Kさん、うしろから、「何ですりゃあ?」 と声をかけたら、
「ばけものじゃあ」 とけわしい声がかえってきた。


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