飲み物
* エッセイ民話 * Mog
** むぎ茶**
むかし 昔 ちょっと昔、職場に冷蔵庫が入った頃の話じゃ、
暑い頃には、よく水や麦茶を冷やして入れておき、
みんなで適当に飲んでいた。
その頃はビール大麦を作る農家が多く、もちろん職員にもいた。
このビール大麦の端量やくずを も らって、こんがり炒るんじゃ、
「ホーロク」 いう専用の黒っぽい土なべがあるが、なけりゃあ、古なべや、
フライパンでも良ぇ、
1晩、水に浸けた大麦をホーロクに入れて、火にかけ、混ぜ続ける、
はじめは水蒸気が出るが、やがて、香ばしい香りがして、茶色っぽく
焦げてくる、 炭になる前にやめる。
暑い時期の仕事で、なかなか大変で、おおむね、若手がやっていた。
1番に来た者・これも若手が多かったが、大やかんの水に麦茶を入れ、
ぐらぐら湧かして、流水で冷やして、冷蔵庫に入れていた。
もちろん、帰る時は、きれいに洗って帰った。
** 冷たいコーヒー**
あるお客が来た時、先輩が私に、「コーヒー頼まぁ」と言うた。
湯を沸かしかけたとき、お客が 「わしゃあ、猫舌じゃけぇ、冷めてぇ方が良ぇ」
と、注文つけた。
当時はまだ、コーヒーを飲む習慣もなく、うまくできるかどうか、
不安はあったが、冷蔵庫の冷や水に
インスタント・コーヒーの粉をぼそっと入れた。
えろう、溶けもせずに、底へ沈んだ。 まぁ 良ぇか??
次にクリープをいれた。クリープのないコーヒーなんて!!!
何となんと粉は溶けずに水面にうすく広ろがった。 まぁ 良ぇか??
砂糖の小ビンをそえてだした。砂糖の量は人によってぼっけぇ違うけぇのぉ、
それくらいは心得とる。
話に熱中しとった客はえろう見ずに1口飲んだ・否飲みかけた、
そして置いた。
お客は世にも奇妙な顔をして帰った。 中の1人がぼそっと言うた、
「冬の野つぼは、こねぇになっとる」
むかし ぼそっと
** コーヒーを飲んで **
また、別のお客が来たときのはなし、お客のコーヒーはFさんがいれた、
お客はぐっと飲んで帰っていった、いつものように、
問題はせぇからじゃ、お客が帰ってから彼のFさん「わしも飲むか」と、
もう1杯作って飲んだ、否飲みかけた、そのとたん、世にも奇妙な顔をして
止めた、 「こりゃあ、砂糖じゃあねぇ、塩じゃあ」
さぁ、せぇからじゃ、「今の客は味が解りょうんか?」「まさか、色だけ見て
飲むか?」 もう 1人が言った「彼は人格者じゃ、解って、黙って飲んだんじゃ」
「そう じゃ、そう じゃ、そう しとこう、せぇの方が気が楽じゃ」
おかしな方向で衆議一決、
せぇにしても、誰が塩を、「塩の袋が破けたので、コーヒーの空き瓶に
入れた」 と私、「わしが片づけて、少ない方を上に置いた」とE、
「そりょを知らずに、わしが出したんか」 とF、「せぇにしても、今の客は気の毒
じゃった」 「いいや、解ってないかも知れん」
また意見が別れた。
** コーヒーにも いろいろあった **
また、別のお客が来たときのはなし、お客にコーヒーを出したのは私、
いつもの「ビン」がなく、はじめての「ビン」を開けた、
ラベルは確かに「COFFEE」となっていた、
お客は一口飲んで・・飲みかけて、「うおっ」と言って置いた、
少し話したが、飲まずに帰った、そのときはそのまま、
しばらくして、一人がポットのお湯に「COFFEE」を入れて
飲みかけて、「うおっ」と言って置いた、
その表情は世にも奇妙なものだった、「こりゃあ、コーヒーじゃあねぇ」
私も飲んでみたが、まさに「うおっ」だった、煎じ薬に「おがくず」を
ぶち込んだようで、・・・・・
当時はまだ「コーヒー」など飲む習慣がなかったもんで、
ろ過して飲むのもあると、あると後で聞いた。
** 麦茶のアワ**
また又、別の客が来た時、気ぅ効かして、冷蔵庫の麦茶をだした。
この客は、日頃からずけずけ物をいう人ではあった。
飲む前に1こと 「アワがたってねぇ!!」
すかさず奥の方から「おおい、誰か、洗剤入れたれぇ」
** ブラック**
どこの職場にも昔は1人や2人筆を得意とした人がいた。
表彰状や、感謝状、年賀状から、大は組合大会の大書まで、そこの職場では
Eさんが気さくに何でも書いてくれた、筆も何本も持っていた、墨はすらずに、
いつも墨汁だった。
この方がすぐかける からと言っていた。
書く時は気を抜かずに一気に仕上げるとか、じゃまにならぬよう、
話しかけないようにして、みんな少し離れていた。
そのとき、Eさん、書き終えてほっと一息、湯のみに手を伸ばした。
離れて見ていた数人、「ア!!」 と言ったが、突然の事で、あまりの事で、
声にならなんだ、
湯飲みの中は墨汁じゃった。
飲み物・・・のトップへ
次のペーシ・お化け へ
前のページ・巨食症 へ
もぐらindex・・ホームページの最初へ