民間療法 * エッセイ民話 * Mog

  **解熱剤・家伝の妙薬**


 子どもの頃、だれか熱を出すと、ミミズを捕ってくる、
畑でとったのと、太かったのでフツウミミズと思われる、

 数匹を洗い、中のドロを絞り出し、また洗う、
一合の水から半分以下に煮詰める。

 この汁を飲むと、どっと汗が噴き出て、
熱はぐんと下がる。

   たいへんよく効く熱冷ましではあるが、
1キロも行けば、数軒の薬局がある昨今、
飲もうとは思わぬ、人には勧めても。

    むかし  ゴックリ


        **トゲ抜き・家伝の妙薬**

 電気・おもちゃ・飼育設備といろいろ木工も扱うので、
トゲもときどきささる、

 トゲの周りを強くつまんで、
少し出たのを、「毛抜き」で抜く、

 中でも刺繍用の先の尖ったのが扱いやすい、
これで抜ければ良し、

   ダメなら、縫い針でほじくるが、これは痛い

 外科の先生がメスを出せば、手術扱いでも麻酔はない、
看護婦さんなら注射針でほじくる、
どちらも適当にグサグサやって、ゆびで押して、
「痛い」言うたら、またグサグサ、
それでも痛みは、縫い針よりはずっと軽い、

   これよりも、ずっと良い民間療法がある、
急には間に合わぬが、梨(なし)の塩漬け、
習ったころは用梨は珍しく、和梨でやった、

 梨と言っても、食った後の皮で十分、
これを3〜5ミリ角に切って、
1〜2割の塩で、小ビンに漬ける、
これをすぐ取り出せるところに保存する、
(この時に探すようではダメ)

 スワ、トゲだ、しかも毛抜きでとれない、
この時、塩漬けの梨の皮の小片をトゲのあたりに乗せ、
カット絆で止める、一晩もすると、キズは開き、
トゲは浮き出る、

   少々時間はかかるが、痛みは少なく、費用もかからず、
なにより縫い針やメスの恐怖がない、

 塩分が効くのか、梨が効くのか、くわしいことは
わからないが、我が家の常備薬です。

万一、化膿するようなら、すぐ、外科医へ行くべきで、
梨は、トゲの治療だけです。

    むかし チックリ 今も チックリ


**シャックリを止めるには**

 昔から我が家に伝わる療法で、
おわんに水をくみ、上に十文字にはしを置く
はしの間から、一口ずつ、チョコに半分くらいか、
「治りますように」と念じつつ飲む、
ひとまわり(4口)かふたまわり(8口)飲む内に
不思議に止まる。これで止まらないと重症とか、

 今ふうに再現しているのは、おわんがコップでもいい、
はしの十文字はなくてもいい、
一口ゴックリ飲み、また一口ゴックリ飲む、
この繰り返しで、「治りますように」と念じなくてもいい
これで止まる。
 止まらないと重症で、大病院へ行くべきかと。

      むかし  シャックリ


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