小鳥の森のヤモリさん * エッセイ民話 * Mog


 

飛ぶメジロ






   上道町に「小鳥の森」 、という公園が、あってなぁ、たいした設備じゃあねぇが、
樹木の種類が多ゆぅて、実のなる木も多ゆぅて、「ぎょうさんこと小鳥が
集まる」 いうて、有名な所じゃあ。

 私は小鳥の専門じゃあねぇが、小鳥のさえずりが好きで、仕事の帰りに
遠回りしても、小鳥たちの声・地球の声を聞くのが楽しみでなぁ。その頃ぁ、
バイクじゃった。

 その日ゃあ、良ぇ天気で、小鳥の声が、とくに賑やかで、中でも、
大木の下に入ると、心地良ぇ涼しさで、上の方から、名も形も知らない、
小鳥達のさえずりが、降ってくるんじゃ。
やかましい声もあるが、やさしい声、きれぇな声もある。

 うっとり、聞いとったが、つい、チューイ・チューイと呼びかけてみた、
返事があったような、気がした、なにぶんぎょうさんな小鳥の中で、
だれが答えたか、しかも、私に答えたかどうか、
曖昧模糊とした、Fantasticな、霧の中、
せぇでもうっとりと、呼びかけていた。
口をすぼめてチューイ・チューイと。


 この時じゃあ、ふと、気がつくと隣に、忍者のような軽装で、片手に長尺の
マイクを持ち、肩に大きなテープレコーダーか、ずっしりと掛けた人、
Mr ヤモリが大木にへばりちぃとるじゃあねぇか。

 正に鳥のプロがこられた。ここは気持ち良く譲るとしよう。
BUT・BUTじゃがしかし、引き際が悪かった。
バイクを1蹴りバリバリバリンと離れた。
そのとたん、大木のさえずりはバタッと止まり、振り返ると、Mrヤモリが
うらめしそうに、こっちぅ見ゅうた。

 すまん、ゆるせ、おまえの捕ろぅとした、さえずりは、私の口まね、
捕っても、しかたが、ねぇもんじゃ。

 さぁ、せぇからじゃあ、山へ行ったり、川へ入ったり、1時間もたって、
そこを通りかかると、Mr ヤモリまだ彼の大木に、へばりちぃとった。
気の毒に。ほんの気まぐれじゃ、出来心まではいかん、じゃけぇど、
余分な情報を聞かして、知識データを少々狂わして、すまんこって。


      次のペーシ・酒を止めたわけ へ    

 前のページ・解説者 へ    

     もぐらindex・・ホームページの最初へ