解説者


* エッセイ民話 * Mog

 

           休憩時間、数人集まって話している。 よくある風景である。
       時々、この中に解説者が現れ、時事解説をしている。
     解説者は当然年配者が多い、聞き手はいろいろであるが若者も多い、
     まじめな正論も多いが、新学説もあり、判断に苦しむものもある。


*** あるとき ***


                   飛行機のハイジャックが報じられていた時のはなし、
     まず開放されたのが、一人の病人と速報が入った時のはなし、
     「一病息災とはこのことじゃ、一つの病気を持っていたために
     命拾いしたんじゃ」

                        反論はなかった、あえて


*** あるとき ***


              それは、葬儀の後のことじゃった、
     その葬儀は自宅で榊かしきびが多くいけられ、
     その枝に白い紙が結ばれており、
     参列者も焼香の替わりに結んだように記憶している
     これはその後の話じゃ、解説者が現れ、
     「このへんでは、葬式にも墓場にもよく榊(さかき)や
     しきびを使うが、所によってはクチナシを使う、
     ・・・死人にクチナシと言ってなぁ・・・
     クチナシを供える風習もあるんじゃ」

                        反論はなかった、あえて


*** あるとき ***


              健康問題が論じられ、ダイエットから、
     飲むセンイの話が出た時のこと、  解説者が現れ、

     「繊維は、繊維のままでこそ腸も掃除するんじゃ」
     「繊維が、ジアスターゼやアミラーゼの酵素で消化されたら
     もう繊維じゃあねぇ」
     「麻の産地として知られるこの国では、麻で腸を掃除する習慣がある」
    「製造中に出た麻くずを細かく切って少しずつ飲むんじゃ」
    「これが本当の・・・・・飲む繊維じゃ」

                        反論はなかった、あえて


*** あるとき ***


              健康問題が論じられ、よくかんで食べる・・から、

     歯の話におよんだとき、  解説者が現れ、


      「80:20を知っとるか?」

     「80才になっても歯が20本ある、立派なもんじゃあ」

     「手入ればぁじゃあねぇ、体質もあって、なかなかこうはいかねぇ」

     「歯医者が見つけると、保健所に通報して、賞状と記念品が

     出たようで、今は財政も乏しゅうて、むかしの話じゃあ」


     「歯磨き粉の中に、ざらざらした粉が少しが入っとってなぁ、

       磨くたびに、少し削るのぉ知っとるか?」

     「言うてもなぁ、毎日じゃあけぇ、365日でぇ、せぇが

     50年とか80年とか続くんでぇ、そのうえ、丁寧な人は朝・昼・晩とも

     磨がいとる、潔癖”症 ”で周りを気にする人に多えぇ、

     へビースモーカーで、口臭を気にする人にも多えぇ」


      「人間の歯はなぁ、サメのようにどんどん生えてくるもんじゃあねぇ

     ねずみのようにどんどん伸びるわけじゃあねぇ、」

     「磨きすぎて、削りすぎると、熱ちぃもんや、冷めてぇもんが

     すぐ、神経に伝わって、しみるようになる、、

     こうなったら、もうおえん、シュミテクトじゃあ間に合わん、

     何でも、ほどほどにせぇーよぉー。」


                        反論はなかった、あえて


*** あるとき ***



      クスリの話が出ていた時のこと、

     一人の新人が唐突に、時の解説者に尋ねた、

     「座薬は、どうやって飲むんですか」

     解説者はきっぱりと、

     「そりゃあ、飲みにくいから、座って飲むんじゃ」とこたえ、

     「座薬にもいろいろあるが、よく効く痛み止めでなぁ、

     他の薬が効かんとき飲むんじゃ」と付け加えた。 


                        反論はなかった、あえて


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