電工・ぼやき * エッセイ民話 * Mog
*** その1 電気工事士になる ***
「とにかく」、なにか資格をと考えた、職場の将来に不安があったこと、
持病もあって特に生活力がほしかったこと、若かりしころのこと
3人で電工を目指すことになった。
折から、公募した電工の短期講習があった、電気工事店に頼んで実習
もかさね、職場の昼休みには中学生のように暗記カードを読み続けた。
3人とも合格、私・電気工事士の船出、しかし、これだけでは不十分と後に
宅建も取った。
「とにかく」 副業であり、裏の稼業である。てぇした仕事はあまり
来ないし、安いからと頼まれるのである、もっとも、難しい工事や、危ない
ものも困るが。
自宅を皮切りに、職場の人や友人知人、それに選挙事務所の仮設工事
が多かった。
「とにかく」 チョッチョロの工事が多く、便所の灯が着きにくいとか、
門の周りが暗いとか、それでも気軽に請負い「オラの出番」とでかけた。
オラの配線で立派に灯が着くのがうれしくて。
「とにかく」 何でもチャレンジすべく、VA線はもとより、ビニール管・
空中ケーブル・自動点滅に3路・4路・ホタル(同時点灯)・
逆ボタル?(異時点灯)、その度に先輩に聞き、卸業者で説明を受け
一生懸命取り組んだ。
*** その2 駆出し電工、飛び上がる ***
「あるお宅」 に工事に行ったおり、電気ごたつ(家庭の団らん用)の
接触不良を見てくれと頼まれ、プラグを抜いてバラしていたところ、
急にビリッと感電、後ろを見ると幼児がプラグをさしてくれとったではないか、
気を利かして。
「あるお宅」 に工事に行ったおり、VA線に枝を咲かせて(出して)
コンセントを付けてくれと言われ、VA線を切断、そのとたん、バシッと火花が
飛んだ。
ブレーカーを切らずにぶち切ったのは悪かったと反省しつつ見に行くと、
なんと 今時めずらしいヒューズではないか、しかも無傷、よくよく見ると、
太い針金ではないか、ネジがゆるく事なきを得たが、どっと冷や汗が出た
ン十年あまりのむかし。
「ある工場」 に仕事で行ったときのこと、
騒音と粉塵の中、作業員が行きかう通路のそばで二抱えもあろうか巨大な
モーターが力強く動いていた。
私たち職員もそのそばを行き来して、サンプルを抜いていた。
モーターの大きさに圧倒されながら、ふと見ると親指のような巨大な端子が
むき出しではないか、なんと何と、触れたらえらいこっちゃ、すぐ職場に電話
し、組合委員長Mさんの奔走で工場も改善され事なきを得た。
もし、私がここに出張して来なかったら、
もし、私が電気工事士でなかったら、誰も指摘せずに大事になったかも
しれない。
*** その3 駆出し電工は器用?貧乏 ***
「とにかく」 備品は少しずつ増え、消耗品はどんどん増える。用途によって、
はしごもいろいろ買うし、安全ベルトも布バケツも、VA線でも、1.6ミリの
2本線もいるし、3本線もいる、2ミリも2本線と3本線、残りが少ないと、
心配になりもう1本買う、現場で切れても困るんで。
スイッチでもコンセントでも、1個売りは高けぇもんで、10個とか20個とか
セットで、露出もあれば、埋め込みもある。
変わったものでは、フレキシブルのぐにゃぐにゃ管を仕入れた時、卸では
1巻単位といわれ、電気工事店でわけてもらった。
「とにかく」 備品も消耗品もどんどん変わっていくもんで、圧着ペンチも
昔ゃあ何でもよかったが1.6ミリを2本締めるのにスリーブは小で、
圧着ペンチは極小と決まって、大きくても小さくてもダメとなった。
消耗品も、昔、いろいろとたくさん仕入れたが、ハイ角はいかにも時代
遅れの感じがして使えず、数箱ボツ、今はフルカラーになった。
プロならどんどん使うので、残ることもねぇだろうに。
奥様いわく、「辞めた時、どねんすんでぇ」 私にも解かりません。
お店の跡取りがいないようなものですか?
次のペーシ・トイレの消し忘れ へ
前のページ・電工になってわかる へ
もぐらindex・・ホームページの最初へ