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川上りえさん 米国個展報告

 札幌の北隣、石狩在住の彫刻家で、精力的な制作・発表をつづけている川上りえさんから、メールをいただきました。

 米国ヴァーモント州で2004年に開いた個展のようすを撮影した、たいへん興味深い画像がありますので、ご本人の諒解を得て、文章とともに紹介したいと思います。
(なお、文章は原文より改行を増やしています)


 お陰様をもちまして、この秋、アメリカのヴァーモント・スタジオ・センターでのレジデンスを無事終え、帰国致しました。

 プログラムを通して国内外の多くの作家達と、交流を深め、Andy Yoder, Sutuart Shils, Hitoshi Nakazato, Janet Fish, Carol Keller, Andrew Ginzel, Hank Adams等々、アメリカの第一線で活躍するアーティスト達から沢山の刺激を受け、充実したレジデンスを過ごすことが出来ました。

 短期間ではありましたが、センターのレッドミルギャラリーにおいて個展をも開催することが出来ました。

 ご報告を兼ねて、展覧会の画像を添付致しますので、どうかご覧ください。

個展開始の様子


 今回は、インタラクティブなプロジェクトにチャレンジしました。

 これは、人々の意志(Will)の働きかけによる変化を形に置き換える試みです。

 展覧会にはいつもワインとデザートが用意されるのですが、ここでは、作品を通過しないと辿り着けないという趣向になっています。

 皆さん最初はおそるおそる触っていましたが、だんだん大胆に曲げるようになり、最初の形状はすっかりなくなりました。

 作品の変化を楽しんで頂けたら幸いです。


opening

process1 process2

final day after the show

LANDSCAPE WILL
November 13, 2004
Vermont Studio Center


RIE KAWAKAMI


I am interested in seeing life in men and in the environment.

In the whole universe, human beings are mere particles. At the same time we are an aggregate of various elements.

When I think of life in this manner - which is not our daily habit - I see that its appearance can take different forms.

My idea for this work is to portray the human will as a life form.
During the show, this wire form changes when people are willing to bend the wire and pass through it. Each time they do, the form evolves.

The work will become whole at the end of the exhibit, when the wire structure can finally represent the accumulated will of people.




 
 (ヤナイの追記)

 川上さんは、いわゆるインタラクティブなアートにも取り組んでおり、今回の画像を見てまっさきに思い出したのは、2000年暮れから翌01年3月まで、芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)でひらかれた「北の創造者たち」展でした。

 道内で活躍する中堅の美術作家7人による、きわめて興味深いグループショウでしたが、川上さんはワークショップで、参加型の作品を美術館ロビーに設置しました。
 このときも、やはり針金が素材で、参加者が自由に針金を曲げることができるというものでした。

 当時は、参加したい人だけが参加するしくみでしたが、今回は、個展を見に来た人みんなが針金を曲げることになっているのが、おもしろいちがいだと、筆者は思いました。

 それにしても、画像を見ていると、空中にドローイングしたみたいですね。


 
 川上りえさんのおもな関連ファイル

■「北の創造者たち」(2000年12月−01年3月)=芸術の森美術館が企画したグループ展。作品のほか、かんたんに参加できるワークショップの記録もあります。画像あり

■川上りえ個展〜浸透痕〜(01年6月)=アリアンスフランセ−ズでひらいた個展。画像あり

■北の彫刻展(02年8−10月)=札幌彫刻美術館が隔年で開催しているグループ展

■水脈の肖像(02年6月)=道内の30−50代の作家と、韓国の作家が参加した大規模なグループ展

■札幌の美術2003(03年3月)=画像あり

■札幌の美術2003・ワークショップ=画像多数