歩いて元気に |
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今回は運動と寿命のお話だよ. |
運動すると長生きできるの? |
「運動」っていうと,みんなサッカーとかテニスとか,スポーツをイメージしちゃうよね.これからお話する運動は,日常生活でからだを使うこと.たとえば草むしりとか布団のあげ下ろし,なんていう動きも全部入れた,生活全般での活動のことをいいます.えっ,それが運動なの? なんて思うよね.だから「身体活動」なんて,ちょっと聞きなれない言葉を使っちゃう.けど,そういう意味. その,身体活動の度合い(身体活動度)と死亡危険率の関係.日頃よく動いている人とそうでない人とで,どれくらい危険度が違ってくると思う? |
これはアメリカ・ハーバード大のパッフェンバーガーって先生が調べたもので,各年齢層における相対的な全死亡(いろいろな原因でお亡くなりになる全数)危険率を表したグラフ. 当然,若いほど死亡の危険率は低いんだけど,全部の年代層で,日頃の身体活動度が高い方が,危険率が減る傾向がみられるよね. 50歳以上なんて,週に2,000kcalの運動をしている人は,500kcal未満の人に比べて半分になっちゃうもんね.これ見て,みんなどう思う? |
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(Paffenbarger RS et al,N Engl J Med,1986) |
もう1つ.同じくパッフェンバーガー先生のハーバード大卒業生,約17,000人(35〜74歳)を対象にした疫学的な追跡調査の結果.これも前の調査と同じように1週間の運動量でみているよ. 2,000kcal〜2,999kcal/週の運動をした人が,一番心臓発作の危険性が低いよね. |
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それより少ない人に比べると約30%から50%も低い. それに,やりすぎもよくない.3,000kcal以上やっちゃうと,また危険率上がっちゃう.こういう大規模な調査がアメリカでやられてるんだけど,そのおかげで日常の身体活動量が少ない人たちは,多い人たちに比べて心筋梗塞や狭心症などの心臓発作を起こす危険度が1.5〜2.4倍も高くなるということが分かっちゃったってわけ. |
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(Paffenbarger RS et al,Am J Epidemiol ,1978) |
まぁ食生活も違うし,これが全部日本人に当てはまるかっていうと,異論もあるかもしれない.だけど,「1週間に2,000kcalのエネルギー消費」,これが健康づくりのための1つのキーワードだよね. どうですか? 日頃,家でゴロゴロしてる貴方.寿命,縮まっちゃいますよ.ネットに嵌まってて,座りっぱなしの貴方も要注意! 最近はね,ただ生きていればいいっていうんじゃなくて,健康な身体で長く生きようって意味で「健康寿命」なんて言葉も使われだしたんだ.このお話は,またいずれ. |
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2,000kcal/週の運動 |
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1週間に2,000kcalの運動っていったって,なんなんだぁ...だよね.どうすりゃいいのよ?って思った貴方.これから,そのお話していきます. 1週間2,000kcal,これ1日分にすると約300kcal(2,000÷7). カロリーなんていうから分かんない...だよね. 普通,買い物とかで歩くと1分当り,体重1kg当りで消費するエネルギー量は男性で0.057kcal ,女性で0.053kcal,急ぎ足だと0.082kcal,0.076kcal(男性,女性の順)なんてデータがある.(厚生省:日本人の栄養所要量(1994)) たとえば,体重60kgの男の人が1時間サッサと歩いたとする. 0.082kcal/kg/分×60(kg)×60(分)=295.2(kcal) ほら,約300kcalでしょ.これくらいの運動.結構大変だなぁ. ちなみに自転車だと0.066kcal,0.061kcal, 時速10kmのサイクリングだと0.080kcal,0.074kcal. 歩数計もってみえる貴方,カロリー表示ついてるかな? 結構あれって,各社まちまち(実は,私のとこで作ってるのが日本で一番信頼されてたりして...(余談)).だいたい10,000万歩で300kcalなんてデータもあるみたい.ただ,上に書いたように,エネルギー消費量は体重当りで計算するから,そこらへんの補正は必要になるよね. |
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あっ,いいこと聞いたって,いままで全然運動してなかったあなた! いきなり運動したら,からだ壊しますよ.1,000kcal/週でも相当効果あるんだから,ボチボチやってくださいね.1週間くらいのスパンで1割くらいずつ増やしていってもいいかもよ.ただし,しんどくなったら絶対ムリしないこと! 疲れたら休みましょう! |
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