タイトル・分類 | 成立年代/故郷(推測)/内容 |
■巫女の予言 | 1000年前後/アイスランド(出典:Konungsbók,Hauksbók,Snorra
Edda) 巫女が、オーディンの要請によって北欧神話の世界観を語る最も有名な詩。 いわば、神話世界のストーリーダイジェスト。 過去の世界の創造から、未来の破滅(ラグナロク)までの予言。 |
■オーディンの箴言 | 10世紀/77節まではノルウェー、他は不明(出典:Konungsbók) ロッドファーヴニルという詩人にむけて、オーディンが語る人生の心得。 |
■ヴァフズールニルの歌 | 10世紀前半/ノルウェーorアイスランド (出典:Konungsbók,AM 748,4to,Snorra Edda) オーディンが、巨人の中でいちばんの物知りである ヴァフズルーズニルのお宅を訪問し、知恵比べをするという話。 |
■グリームニルの歌 | 10世紀初頭/ノルウェーorアイスランド (出典:Konungsbók,AM 748,4to,Snorra Edda) 王の二人の息子を、オーディンと妻フリッグがそれぞれ養子にして育てる話。 オーディンは、グリームニルという偽名を使い成長した義子の宮殿に行く。 |
■スキールニルの歌 | 900年ごろ/多分ノルウェー(出典:Konungsbók) 巨人の娘に一目ぼれしたフレイ、スキールニルに求婚させる。 |
■ハールバルズの歌 | 10世紀後半/アイスランドよりむしろノルウェー(出典:Konungsbók) 渡し守ハールバルズに扮したオーディンが、 意地悪をしてトールを船に乗せてやらない話。 言い合いに負けたトールは岸辺にぽつねんと取り残されてしまう。 |
■ヒュミルの歌 | 10世紀後半/アイスランドよりむしろノルウェー(出典:Konungsbók) トールとチュールが、賢者ヒュミルのお家から大鍋を盗み出す話。 |
■ロキの口論 | 10世紀末or12世紀初頭/多分アイスランド(出典:Konungsbók) 神々の宴に乱入したロキが、フライデーの記者さながらに 来客たちのスキャンダルを暴き立て、帰宅したトールにこらしめられる話。 |
■スリュムの歌 | 11世紀前半/アイスランド(出典:Konungsbók) トールが、大切な仕事道具の鎚をスリュムに盗まれてしまう話。 女装して巨人の館に乗り込むトールを想像し噴出すこと請け合い。 |
○ ヴェルンドの歌 | 9世紀/ノルウェー(出典:Konungsbók) いわゆる「ヴェルンド伝説」。鍛冶屋ヴェルンドにまつわる物語で、 「シドレクス・サガ(ディートリッヒ伝説)」のエピソードでもある。。 |
■アルヴィースの歌 | 11世紀/多分アイスランド(出典:Konungsbók) 自分の娘を小人の嫁になんかしたくないトールが、 小人アルヴィースを相手に策を弄する話。 |
◎フンディング殺しのヘルギの歌 1 | 11世紀中ごろ/アイスランド(出典:Konungsbók) 英雄ヘルギの誕生、成長と戦乙女への求婚を語る物語。 |
◎ヒョルヴァルズの息子ヘルギの歌 | 900年ごろ/ノルウェー(出典:Konungsbók) フンディング殺しのヘルギとは別人。ヒョルヴァルズ王の息子ヘルギの出生と成長、 戦乙女スヴァーヴァとの愛、決闘による死を描く。 |
◎フンディング殺しのヘルギの歌 2 | 9世紀中ごろor12世紀末/ノルウェー(出典:Konungsbók) シグムンドと、妻ボルグヒルドの間に生まれたヘルギの戦の話。 スヴァーヴァの生まれ変わり、戦乙女シグルーンとの出会い、死による別離。 |
◎シンフェイトリの死について | 12世紀後半/アイスランド(出典:Konungsbók) シグムンドとシグニューの間に生まれた英雄、シンフィエトリが 継母の盛った毒に斃れる話。「髭で漉して飲め」という有名な言葉はここに登場。 |
●グリーピルの予言 | 12世紀後半/アイスランド(出典:Konungsbók) 最も有名な英雄、シグルズを主人公をした一連の英雄伝説の一部。 |
●レギンの歌 | 10世紀中ごろ/ノルウェー(出典:Konungsbók) ロキがカワウソに化けていた小人を殺してしまい、 その身の代償として小人アンドヴァリから黄金を巻き上げる話。 ニーベルンゲンの財宝にかけられた呪いの由来について語られている。 |
●ファーヴニルの歌 | 10世紀/ノルウェーorアイスランド(出典:Konungsbók) シグルズが竜に化けて黄金を守っていたファーヴニルを殺し、不死の体になる話。 ついでにレギンも殺してしまう。 このときの四十雀たちの会話から、ブリュンヒルド(シグルドリファ)の存在を知る。 |
●シグルドリーファの歌 | 900年ごろ/ノルウェー(出典:Konungsbók) ここではシグルドリーファとなっているが、ブリュンヒルドのこと。 眠りについていた戦乙女の彼女をシグルズが目覚めさせる。 |
●シグルズの歌 断片 | 9世紀初期/ノルウェー(出典:Konungsbók) シグルズ殺害場面の一つのバリエーション。 ここでの殺害者は、間抜けなゴドホルム(グンナルとヘグニの弟)。 |
●グズルーンの歌 1 | 11世紀前半/アイスランド(出典:Konungsbók) 夫シグルズをなくして悲しむグズルーン(→グートルーン→クリエムヒルト)の話。 グズルーンは生き残るが、ブリュンヒルドはシグルズの後を追って自殺する。 |
●シグルズの短い歌 | 11世紀末or13世紀初頭/アイスランド(出典:Konungsbók) シグルズ殺害場面の一つのバリエーション。殺害者はやはりゴドホルム。 ブリュンヒルドは、自ら命を絶つときに、その後のことなどを予言して果てる。 |
●ブリュンヒルドの冥府への旅 | 11世紀or12世紀はじめ/アイスランド(出典:Konungsbók、Norna-gesta þáttr) シグルズの後を追い、ブリュンヒルドが冥界くだりをする話。 冥府の女巨人の館へ殴りこみ。 |
●ニヴルング族の殺戮 | ニヴルング(ニーベルンゲン)の一族、 つまりグンナルやヘグニの一族が絶滅する話のダイジェスト。 シグルズの死の歌から、その後に続くグズルーンの歌への導入部。 |
●グズルーンの歌2 | 10世紀中頃or12世紀末/アイスランドorノルウェー(出典:Konungsbók) 上の続き。グズルーンが夫や兄弟を失った話を、スィオーズレクに打ち明ける。 |
●グズルーンの歌3 | 11世紀前半/アイスランド(出典:Konungsbók) さらに続き。スィオーズレクとの浮気を疑われたグズルーンが、 嘘の密告をした召し使いを逆告発する話。 |
●オッドルーンの嘆き | 11世紀前半/アイスランド(出典:Konungsbók) グンナルの恋人であった、アトリの妹オッドルーンによる嘆き。 親友ボルグヒルドのお産を手伝いに行って、その場所で語る。 |
●グリーンランドのアトリの歌 | 9世紀/故郷はノルウェーだが改作された(出典:Konungsbók) アトリがグンナルとその一門を宴に招待し、策にかけて殺す場面。 さきの「オッドルーンの嘆き」は、この場面のダイジェスト版になっている。 グズルーンは、アトリとの間に出来た息子たちを殺し、館に火を放つ。 |
●グリーンランドのアトリの詩 | 1100年頃/グリーンランドorノルウェーのグレンランド(出典:Konungsbók) アトリ殺害の別バージョン。 アトリを殺すのは、ヘグニの息子になっている。 |
●グズルーンの扇動 | 11世紀前半pr12世紀前半/アイスランド(出典:Konungsbók) シグルズとの間にできた娘スヴァンヒルドを殺されたグズルーンが、 息子たちに仇を討て、とけしかける話。グズルーンは夫シグルズのことを嘆きつづける。 |
●ハムジルの歌 | 9世紀後半?/ノルウェー(出典:Konungsbók) 上のつづき。グズルーンの息子ハムジルとその兄弟たちが、 スヴァンヒルドの嫁ぎ先イェルムンレクの城に討ち入り、 家臣たちもろともに果てる壮絶な話。 |
■バルドルの夢 | 10世紀末or12世紀初頭/多分アイスランド(出典:AM 748,4to) バルドルが自らの死ぬ不吉な夢を見たあと、 オーディンが自ら冥界へ行き、巫女に未来を問う話。 |
■リーグの歌 | 10世紀半ばor12−13世紀/ノルウェーかアイスランド(出典:Snorra Edda) ヘイムダルがリーグと名乗って人間界に行き、子供を授けて階級を作り出す話。 生まれたときから人間の価値は決まってしまうというものである。 |
■ヒュンドラの歌 | 12世紀/アイスランド(出典:Flateyjarbók) ワガママフレイヤが、お気に入りのオッタルのウソ家系をでっち上げさせるため、 女巨人ヒュンドラを捕まえて輝かしい家系の経歴を語らせる話。 |
○グロッティの歌 | 10世紀後半/ノルウェー(出典:Konungsbók/Snorra Edda) グロッティとは石臼のこと。3人の女巨人が、文句を言いながら石臼を引き回す話。 結局、女たちはキレて臼を壊してしまう…。 |
×フン族の戦争の歌 またはフレズの歌 | 900年頃/ノルウェーorアイスランド(出典:Hervarar saga ok Heiðreks) フン族が出てくるのだからニフルンガル(ニーベルンゲン)関係の歌かと思うのだが、 これまでのものとは雰囲気も脈絡も違う。 主人公はフン族のフレズという男らしいのだが、これも他の歌には出て来ない。 もしかして、ブレダ? |
△ ヒルデブラントの挽歌 | 13世紀/アイスランド(出典:Ásmundar saga kappabana) ディートリッヒ(ディエトリーヒ)の腹心として、 「シドレクス・サガ」ならびに「ニーベルンゲンの歌」に登場するヒルデブラントが 主人公の伝説のひとつ。 中高地ドイツ語のものと、タイトルは同じだが内容が少し違う。 |
<スノリエッダ> ◆ギュルヴィたぶらかし |
13世紀(確定)/アイスランド(確定) 「古エッダ」の一部(「巫女の予言」など)を引用しつつ書かれた話。 スノリの手による、神話の世界観の語りなおしと言っていいかもしれない。 神話の資料として、いちばん使用頻度が高く、有名なもの。 |
<スノリエッダ> ◆詩語法 |
重要な神話のエピソードを多く含む。 他では失われてしまった部分もあり、貴重な神話の資料である。 |
※表データの元になっているのは「エッダ―古代北欧歌謡集」(新潮社)。 スノリエッダの「詩語法」などその他の部分は、この本では訳されていない。 |