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古本屋探訪日記 2005年11月
 ブックマーケット新端店廃業? 『呪われた週末』 『ハートブレイク・レストラン』 名古屋古書会館即売会報告 「癲狂院殺人事件」 「だからマニアはやめられない」 『悪女パズル』 「帯、しっぽ、右上がり」 割引券の立場 『田中栞の古本教室』

 ブックマーケット新端店廃業? 2005/11/29(火)

 新瑞橋のブックマーケットに寄ってみると、今日も「本日臨時休業」の貼紙がしてある。まだ店内に本は残ったままのようだが、このところ、いつ行ってもこの貼紙が貼ってあるところをみると廃業の可能性が高い。店内にある本に心残りはまったくないのだが、店舗の方はもったいないなあ。

 最寄のブックオフへ移動。購入したのは、
『GQ 2001年9月号』特集ミステリー万歳!(嶋中書店)105円
『子不語随筆』江戸川乱歩推理文庫63(昭63講談社)300円
『書簡 対談 座談』江戸川乱歩推理文庫64(1989年講談社)300円

『料理少年Kタロー3 Kタロー対社長少年』令丈ヒロ子(2004年JIVEカラフル文庫)読了
『ザ マンザイ2』あさのあつこ(2004年JIVEカラフル文庫)読了
 読み比べてみると、ギャクセンスは令丈ヒロ子の方が上。
 令丈ヒロ子のギャクは登場人物のキャラクターと一体となっていて、完成度が高い。一方、あさのあつこの方は著者が作ったギャクであることが絶えず意識させられてしまう。『ザ マンザイ』というタイトルも、読者に過度の期待を持たせてしまい逆効果なのではないだろうか。


 『呪われた週末』 2005/11/27(日)

 上前津の古本屋に、青年二人が雑誌を持ち込んでいた。少年マガジンやインターネット関係の週刊誌のようなものばかり、化粧箱で4箱という大量持込である。案の定、即座に断られていました。
 それでも、「どこのお店なら買い取ってもらえるでしょうか?」となかなか粘り強い。
店の方の「さあ、ちょっと」との回答を受けて、別の店に移動する様子でしたが、買い取ってくれる店を見つけることはなかなか難しいのでしょうね。

 古本購入は、
『気まぐれ天使』松木ひろし(昭52日本テレビ)100円
『鷲尾三郎名作選 文珠の罠』日下三蔵編(2002年河出文庫)160円
『傑作と凡作との論理』植田壽蔵(昭29アテネ文庫)400円
 冒頭の一文がいい。「傑作といふのは、すぐれた作品のことである。」
 そのとおりだ。

 新刊購入は、
『PKD博覧会 われわれは、ディックの宇宙に生きている!』(1996アトリエサード)
 持っているのかわからないため購入。少なくとも1ページすら読んだことはないはず。

 レンタル店で借りたDVD『姑獲鳥の夏』を視聴。
 あの場面をどうやって映像化するのかと思ったが、実際には案外容易だったのだな。また、あれだけ長い作品をどうやって2時間程度に押し込めるのかと思ったが、それも充分できていておもしろかった。次作はできたら「雨」シリーズあたりを映像化してほしい。榎木津の大暴れを映像でも見てみたいので。

「呪われた週末」パトリック・クェンティン(昭32「別冊宝石65号」所収)読了
 形の上ではピーター・アイリス夫妻シリーズものだが、演劇のこともハリウッドの話も出てこないし、二人が推理合戦するような話でもないので、主人公はこの二人でなくてもいっこうに構わない。また、ピーターがアイリスのことを「妻」ではなく「女房」と記していたり、やたら登場人物が「クスクス」と笑う訳文にも違和感を感じる。
 サスペンスものとしてはまあまあの出来だが、真相は見え見えすぎるためミステリーとしては失敗作といっていいだろう。この作品は新訳で出版する必要は無いな。


 『ハートブレイク・レストラン』 2005/11/26(土)

 初めて博物館古書即売会に行ってみた。窓口のお嬢さんから「掘り出し物がありますよ」と声をかけていただきましたが、案の定、美術本や郷土史資料が中心で私には何の関わりもない本ばかりだったので、5分もたたないうちに退散。

 ブックオフでは単行本500円セールをやっていた。「中には1000円、2000円のものもございますので、たいへんお買い得です」とのアナウンスに促されて、張り切って本を探す。
 確かに高そうな本もあるが、法律書や物理書などを買ったところでどうなるものでもない。購入したのは、
『シネマ古今集』瀬戸川猛資(1997年新書館)500円
『シネマ免許皆伝』瀬戸川猛資(1998年新書館)500円
 どちらも定価1800円、値札950円。こういうセールの際に買うのにはちょうどいい本だ。初出はサンデー毎日(1995〜1997)、『夜明けの睡魔』の映画版。

 新刊購入は、
『ハートブレイク・レストラン』松尾由美(2005年11月光文社)
『それゆけ、ジーヴス』P・G・ウッドハウス(2005年10月国書刊行会)
『ミステリ百科事典』間羊太郎(2005年11月文春文庫)
 教養文庫版に「別巻1ミステリージョッキー」「別巻2妖怪学入門」を加えたもの。巻頭に北村薫と宮部みゆきの「まえがき対談」も収録。
『特撮ヒーローBESTマガジン vol.5』(講談社)
 これまでこの雑誌は買ったことがないが、巻頭特集が「キャプテンウルトラ」とあらば、買わないわけにはいかない。

『ハートブレイク・レストラン』松尾由美(2005年11月光文社)読了
 「隅のお婆ちゃん」シリーズ、6編収録。
 人物配置が絶妙でおもしろい。正統な本格推理なのだが、例えば警察官が事件について探偵に推理してもらうというおなじみの設定でも、この人物配置にしただけでとんでもないおかしみが生まれてしまうのだ。ワトソン役の女主人公が、恋愛感情を持っている相手から名探偵と誤解されることによって生じる葛藤には、毎回笑わされる。延々と続けてほしいシリーズだ。


 名古屋古書会館即売会報告 2005/11/19(土)

 今日は名古屋古書会館の2日目。古めの本がかなり出ているが、私の収集分野とははずれている。100円均一で「キネマ旬報」がかなり並んでいたので、「殺人遊戯」とか金田一耕助とかのシナリオが掲載されているものだけを購入。
 他に「The 筒井康隆」2冊組1000円なんてものも購入したが、2冊とも持っている気がする。

 ついでに鶴舞の古本屋にも寄る。
『探偵小説の哲学』ジークフリート・クラカウアー(2005年1月法政大学出版局)1100円
 クラカウアー(1889〜1966)が1925年頃執筆した論文とのこと。こんな本が出ていたとは気付かなかった。もっとも、たぶん読むことはないだろうが。

 新刊購入は、
『九杯目は早すぎる』蒼井上鷹(平17年11月双葉ノベルス)
『週刊ゴング 2005年11月30日号』((株)日本スポーツ出版社)
 1100号特別付録としてDVD付き。収録はブルーザー・ブロディVSディック・ザ・ブロディ、猪木VS大木金太郎のセメントマッチ調印式など。

『結婚なんてしたくない』黒田研二(2005年11月幻冬舎)読了
 5つの物語が並行的に進むので、クロケンさんのことだから時系列トリックでも使っているのかと警戒して読み続けたが、意外にもオーソドックスな作品だった。
 ミステリーとしてもよくできていると同時に、小説としてもおもしろく読後感も心地よい傑作。

『九杯目は早すぎる』蒼井上鷹(平17年11月双葉ノベルス)読了
 タイトルに惹かれて読んだのだが、これといった魅力もない短編集。ショートショートのようなかたちの作品でダークなオチだけというのは今どき古すぎ。ショートショートなら、かえって明るいオチの方が新鮮かもしれないなあ。


 「癲狂院殺人事件」 2005/11/18(金)

 今日は名古屋古書会館即売会の初日だが開館時間に寄るのは無理なので明日行くことにして、今日はその代わりに上前津の店を数件廻る。でもあいかわらずこれといって買いたい本がない。
『ぼくらの少年雑誌』草野のりかず(1987年東京法経学院出版ライトブックス)1000円のみ購入。
 内容は、『少年画報』、『冒険王』、『少年』等の漫画雑誌の解説。

「癲狂院殺人事件」パトリック・クェンティン(昭34別冊宝石93号所収)読了
 ピーター、アイリス夫妻シリーズの第1作。この作品ではアイリスはまだ探偵役ではないが、シリーズの他作と同様、まき込まれ型の本格推理。ああ、こんな古い作品なのに騙されちゃったよ。ダブルミーニングも冴えた佳作。改訳の可能性はないと思うが、「宝石」はそれほど入手困難ではないので、この作品を読むためだけに購入しても損な買い物にはならないでしょう。もっとも訳はかなり悪いです。誤字脱字も頻繁だし、登場人物表も不正確。

『ザ マンザイ』あさのあつこ(2004年JIVEカラフル文庫)読了
 この著者の作品を読むのはこれが初めて。
 文化祭でクラス対抗の劇を行う。今年の出し物はロミオとジュリエット。主人公のクラスでは漫才でロミオとジュリエットをやることになったのだが。
 設定はおもしろそうなのだが、最大の見せ場のロミオとジュリエットの漫才が全くだめ。これじゃあロミオとジュリエットの漫才ではなくて、ただロミオとジュリエットが漫才やっているだけだがな。元の話と全く無関係な漫才なのだから、ロミオとジュリエットでなくても、シーザーとクレオパトラでも、お宮と寛一でも、なんでもいっしょということになる。盛り上げるだけ盛り上げておいて、見せ場がこれでは詐欺。冴えない作品としか言いようがありません。


 「だからマニアはやめられない」 2005/11/12(土)

 今日の古本購入は、
『日本映画シナリオ選集'80』(昭56映人社)300円
『子犬になった男』ジェームズ・ハーバート(昭54サンケイ出版)100円

 新刊購入は、
『結婚なんてしたくない』黒田研二(2005年11月幻冬舎)
 久しぶりのクロケンさんの新刊。とにかくオフまでには読み終えておかなきゃ。
『ミステリー映画を観よう』山口雅也(2005年11月光文社文庫)
 さっそく巻末鼎談の「だからマニアはやめられない 小山正/喜国雅彦/山口雅也」を読了。その内容の濃さは半端じゃなくて、とても常人についていけるものではない。記念写真の喜国さんの嬉しそうな顔もいい。会話した3人が一番楽しんだ企画なんじゃないか。
『一角獣・多角獣』シオドア・スタージョン(2005年11月早川書房)
 もう、どれもこれも復刊というのはいいかげんにして、と言いたいところだけど、この本は持ってないような気がするからまあいいや。スタージョンは人気があるけど、私にとっては、もともとあまり興味のない作家なのです。すまん。

『料理少年』『料理少年オムレツ勝負Kタロウ』『料理少年ポップコーン作戦』令丈ヒロ子/絵・いしかわじゅん(1993〜1995年講談社青い鳥文庫)読了
 『若おかみは小学生』の著者、令丈ヒロ子が以前書いていた料理少年シリーズをまとめ読み。いしかわじゅんが挿絵を描いているくらいだから、はずれということもあるまいと思ったが、予想以上の傑作。ギャクの出来はこちらのシリーズの方が上かもしれない。主人公のKタロー、弟のタマキチ、童話作家の母親、父親のマスオ、ガールフレンドのカマクラナオコ、Kタローのライバルたちなどが、みな愛すべき人たちばかりで小説世界に心地よく浸っていられる。『料理少年Kタロー対社長少年』がまだ未入手なので見つけるのが楽しみだ。もっともまだ現役本のようなのだけど。


 『悪女パズル』 2005/11/8(火)

 今日ブックオフで購入した本は、
『ブルネットに銀の簪』小泉喜美子(昭61早川書房)700円
『プロレスの経済学』野呂一郎(2001年、重版、オーエス出版社)700円
 著者は経営学の教授。千葉商科大ではプロレスを題材にして、映像を使ったり、学生にSTFをかけたり、かけられたり、タイガーマスクの覆面をかぶったりしながら授業をしているという。
『若者よ!』三遊亭圓歌(1989年日之出出版)105円

『悪女パズル』パトリック・クェンティン(2005年10月扶桑社ミステリー)読了
 離婚協議中のカップルが3組、不安定なカップルが2組、探偵役の夫妻、の計6組が邸宅内に集まっているなかで、次々と女性たちに危機が迫る。
 設定の不自然さを割り切って納得すれば素直に楽しめる佳作。真相に無理がないし、なにより読後感が爽やかなのがいい。
 「宝石」掲載の同シリーズものも読んでみようと思ったのだが、そちらでは、語り手のピーターがアイリスのことを語るときに「妻」ではなく「女房」と訳しているのがピンとこない。『女郎ぐも』や『俳優パズル』はどうだったろうか。


 「帯、しっぽ、右上がり」 2005/11/4(金)

 今日は名古屋古書即売会の初日。今回は郷土史特集とのこと、私にはあまり関係がない。
 それでも500円均一で、
『日本社会党史』(1996年第一刷、1998年第三刷、日本社会党史編纂委員会)を購入。
 日本の政党の中で、日本社会党は唯一懐かしく感じられる政党である。いろいろな意見の人が雑多に集まっていて一つの政党とは思えないところ、内部の揉めごとを外部にまでさらけ出すところ、お金がなくて文房具を買うのにも苦労してますなどと言うところなど、社会主義の党というより、良きにつけ、悪きにつけ庶民的な党だったという気がする。
 この本は1945年の結党から1996年の社会民主党への党名変更までの、日本社会党の全史の記録である。1200ページ余の大冊で、新刊書店で見かけたこともあるが定価が3万円もするためとても買えなかったもの。

 ブックオフでは、私のすぐ左横で、先輩の女性が新規らしき男性にレクチャー中。営業時間内にお客に聞こえるように研修する、しかもその間に客への呼びかけも混ざるのがブックオフの特徴だ。
 棚の下の引き出しから本を10冊ほど取り出して、
「さて、ここで気を付けることは? いらっしゃいませ、こんばんは」
「ええと、あいうえお順に並べる。いらっしゃいませ、こんばんは」
「そうなんだけど、気をつけることがあったでしょ。いらっしゃいませ、こんばんは」
「わかりません。出版社ですか?いらっしゃいませ、こんばんは」
「『帯、しっぽ、右上がり』と覚えてください。本を出したら、見た目をよくしてから並べるということです。わかりましたか。いらっしゃいませ、こんばんは」
「???。いらっしゃいませ、こんばんは」
「『帯、しっぽ、右上がり』 いらっしゃいませ、こんばんは」
「『帯、しっぽ、右上がり』 いらっしゃいませ、こんばんは」
 喧しくて、とても本など探していられない。『定本ハナモゲラの研究』105円のみ購入して退散。言ってる意味もわからんし。


 割引券の立場 2005/11/3(木)

 今日は新岐阜百貨店古書即売会の初日。近々、新岐阜百貨店が閉店するため、ここで開催する古書即売会もこれが最後となる。だからと言って、買いたい本がないのに無理に買うこともない。残念ですが1冊も買わずにご無礼させてもらう。

 せっかくなので岐阜駅近くの古本屋も廻ってみるが、リサイクル系の新古本屋が1軒なくなっていた。この時代、古本屋は減る一方という気がする。
 我楽多文庫さんでぽつぽつと購入。ここのお店では、百円棚に貼ってある「賢い読書家はまずここで本を探す」という貼紙が好きだ。

 新刊購入は、
『悪女パズル』パトリック・クェンティン(2005年10月扶桑社ミステリー)
 クェンティンの未訳本の初訳。ピーター・ダルースのシリーズで読んでいるのは『俳優パズル』と『女郎ぐも』だけだが、どちらも傑作だったので、この作品も期待できそう。これも面白かったら「別冊宝石」掲載の作品も読んでみたい。巻末の小池啓介氏の解説は一読ちょっとくどい感じはするが熱意のこもった論考。
『全日本プロレス代表取締役武藤敬司』(2005年10月扶桑社SPA!文庫)
 記載はされていないが、以前ソフトカバーで出た本の加筆修正本と思われる。前半に載っている蝶野との対談は読んだことがあるもの。
『三丁目の夕日 映画化特別版』西岸良平(小学館)
 帯の折り返しに映画の割引券が付いているのだが、割引額が100円
 ところがこの本が平積みにされている台に、それとは別に特別割引券が置かれていて、そちらは持ち帰り自由なのに、割引額は300円。これじゃあ本に付いてる割引券の立場がないがな。


 『田中栞の古本教室』 2005/11/2(水)

 上前津のA店で『田中栞の古本教室』(平17年10月紅梅堂)という小誌を発見。
 田中栞の『古本屋の女房』は、書店で購入する際に中身をぱらぱらっと見ただけで、今はどこにあるかさえわからないのだが、こういう本を見るとやはりほしくなる。
 「これはお客さんに頼まれて取り置いていた本だけど、ちっとも来ないから、買ってもいいよ」
値段は定価の300円。16ページの小雑誌だけど著名入り、「古本点取占い」という、いかにも手作りの豆本がおまけに入っている。

 「でも、こっちの方が値上がる可能性があるかな」と、見せてもらったのが、
『書肆ユリイカの本』田中栞(平16年紅梅堂)
 こちらも16ページの小誌だが、カラー写真も使われており、署名・番号入り。限定500部のうち230番。著者プロフィールには書物研究家、書肆ユリイカ本蒐集家とあるが、通常あまり見ることがないような細かい肩書きだ>「書肆ユリイカ本蒐集家」 こちらも購入、600円。(定価は500円)
 
 新刊書店で、
『en‐taxi 2005年11月号』(扶桑社)
 この雑誌自体には興味ないが、笠原和夫のシナリオ付録(「実録共産党(未映画化シナリオ)」、「日本暗殺秘録(昭44年東映京都)」)が付いている。文庫本で約300ページの本格的なもので、今後これだけで商品化される保証もないので購入。


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