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鶴居軌道跡を歩く 7

 1.5キロほど歩いたところで、遠くに人が二人歩いているのが見えてきた。始めは、同じ方向に
歩いているように見えたが、少ししたらこちらへ近づいてきた。40代のご夫婦という感じである。
「こんにちは」と挨拶し、話をする。
 愛知県から旅行でいらしたというご夫婦は、サテライト展望台から湿原を見下ろすと、まっすぐなこの道が見えたので、第2の木道から試しに 下りてきたのだという。私は温根内まで歩くつもりだということ、私が降りてきた第1の木道はけっこう 険しかったことを話すと、「でも私たちの下りてきた方も険しかったし、とりあえずあなたが来た方へいってみます」とのこと。お二人と話して初めて、サテライト展望台が左の丘のところからのぞいている事に気がついた。人が小さく見えている。あそこからの眺め、湿原の中の一直線この道も、自分の目で見てみたかったなと、改めて思う。
 奥様から飴をいくつかいただいたお礼というわけでもないけれど、「ここに昔、鉄道があったことをご存じですか?」と訊いてみると、やはり知らないと言う。「なるほどねー、いかにもそういう感じのまっすぐだよねー」とご主人。お互いに気をつけてと声を掛け合い、別れた。その会話の間に、パンフレットくらいしか持たない青年が1人、私と同じ方向に歩いていった。のろのろ歩きの私からはじきに見えなくなった。たぶん第2の木道から展望台の方へ戻ったのだろうなと思った。