<油断 2>



もう何度犯されただろう。
すでに体の感覚は無くなり、突き入れられている雄にも何も感じなくなっていた。
ルフィ以外に感じる心などもう無い。
ただ、体中を這いまわる手を鬱陶しいと思っているだけ。
それでも、男達はかわるがわる ゾロを蹂躙し尽くした。

今、ゾロはここの村長に穿たれていた。
足を抱え上げられ根元まで突きいれられ、ゆさゆさと揺すぶられているゾロの姿を周りの男達に見せつけるように・・・。
(ルフィ、俺はもうお前のところへは・・・・・・。)
絶望に沈んで行くゾロの心に、ルフィを助けるための薬だけが浮かび上がる。
こいつらが満足してしまえば、俺はお前を助ける事が出来る。
それだけが、ゾロの希望だったから。
一段と激しく揺さぶられて、奥に男のモノが吐き出される。
その流れ落ちる感触に顔を顰めた時、ふいにすさまじい音が響いてきた。
何かを破壊している音。
「何だ?」
「何の音だ?」
周りにいた男達の何人かが、音の出所を確かめようとドアに近づいた。

メキッ、メキメキッ、ドガシャーン。

ドアを破壊した勢いに男達は吹き飛ばされる。
壊されたドアの向こうから覗いている顔が見えた時、ゾロはこのまま死んでしまいたいと思った。
いきなり乱入してきた男達を見て、今まで何の反応もしたかった男が泣き崩れるのを村長は呆然と見やる。
だが、向こうは3人、それも一人は女だ。
すでに数人は、ドアとともにやられてはいたが、まだまだ数の上では分があると思っていた。
だが、そんな考えは一瞬で吹き飛んだ。
「ゴムゴムの鞭」
若い方の男が叫んだ途端、何かがシュルシュルと伸び、周りの男達を凪ぎ倒した。
「くそ引っ込んでろ、くそ野郎。」
もう一人の男が、とどめとばかりに蹴り技を叩き込んで行く。
自分以外の者たちがすべて地に伏し、部屋の中の物が見るも無残なガラクタになったのを知った時、村長は 今度は自分へと歩いてくる男を恐怖の目で見ていた。
その時、腕の中で今までずっと犯してきた男が小さく呟いた。

「ルフィ・・・。」と・・・・・・。

その名前を聞いて、村長はニヤリと笑う。
「まぁまて、お前がモンキー・D・ルフィなのだろう? このまま、おとなしく帰ってくれれば薬もやるし、この男も返してやるぞ。」
だが、その言葉を聞いてもルフィは歩みを止めない。
「薬がなければ、お前は死ぬしかなくなるんだぞ。おっ、俺に手を出せば、お前は死ぬんだ。」
村長の切り札とも言うべき台詞も、ルフィは薄く笑って聞いていた。
そして、ゾロを抱いたままの村長の頭を片手で掴み上げると、もう片方の腕で、まだ繋がったままのゾロを引き剥がした。
ルフィは裸体のままで震えているゾロの頭を掴み自分の頬へ擦り寄せた。
そのまま、優しく髪を撫でるとチュッと唇をあて、サンジにゾロを渡す。
サンジはそこらにあったゾロの服をまとめて渡してやり、早く着ろと目で促す。
その遣り取りを横目で見ていたルフィが おもむろに村長の方を見た。
「おっ、俺に手を出すな。お前の薬の場所は俺にしか判らないんだぞ。俺に手を出せば、決して薬は渡さんからな。」
「お前は言うさ。」
「絶対、言わん。」
「俺が言わせる。」
言いきって、ルフィは村長の顔を見つめた。

その微笑みは、いつものゾロ達を魅了するだけのモノではなかった。
今までの微笑みの何倍も壮絶で刹那的で、でもそれはすでに悪魔の領域に落ちていたのかもしれない。
村長がルフィの微笑みに呪縛され、ホオーッとため息をついた。
ルフィに魅とれ、自分のすべてを捧げてでも側にいたいと望んだ。
そんな村長にルフィは、微かに笑い、
「薬はどこだ?」
と一言だけ尋ねる。
魅入られたままの村長は素直に隠し場所をしゃべり、ルフィは顎をしゃくってナミに合図した。
心得たとばかりにナミは言われた場所から小瓶を取り出し、ルフィに肯く。
もう用はないと、部屋を出ようとしたルフィを村長はあわてて追いかけて目の前で跪く。
「どうか、私を一緒に。」
「やだ。」
にべもなく断れて村長は絶望に染まってゆく。
「ならば。私はこれからどうすればいいんでしょうか?」
縋り付こうとする村長を視線で遠ざけてルフィはムゲもなく言った。
「なら、死ねば。」
ルフィのあまりな言葉にナミ達が、村長へと視線を向ける。
だが、村長の顔に喜悦の表情が浮かんでいるのを見て、瞬時に理解した。
この男が死の許しをもらったことを・・・。

もう村長を振り返りもせず、ルフィは扉を出て行く。
その後に三人が、複雑な顔でルフィに続き、家を出たところでグラリと傾いだルフィをサンジが抱きとめた。
その時、扉の奥から聞こえた銃声に三人は目を伏せ、男の末路を知った。

サンジに抱き抱えられたまま、ルフィはゾロの名を呼んだ。
その声に泣きそうな顔で、ゾロが近づく。
「ゾロの、馬ー鹿。」
笑いながら、そういうルフィになんだとー!と返しつつゾロはルフィへと手を延ばす。
サンジはため息をつきながら、ゾロの腕の中へルフィを預ける。
それを 後ろで見ていたナミが、ゾロの頭にコツンと小瓶を当てた。
「早く、飲ましてあげなさいよね。」
ゾロは、ナミから小瓶を受け取ると蓋をはずし、ルフィの口へと寄せる。
ルフィはそれに、ふいと顔を背け命令する。
「ゾロが、飲ませろよ。」
口移しでという事に気付いたゾロは、思わずナミとサンジを見上げ二人がそっぽを向いているのを確認すると、小瓶の中身を口にする。
そのままルフィの口へと流し込むと、コクンと飲み込んだルフィが、やっぱり笑って言った。
「にげぇぞ、コレ。」
その顔に、ゾロはたまらなくなりルフィをギュッと抱きしめると懺悔の言葉を口にする。
「ルフィ、俺は・・・俺はもう・・・・・・。」
「言うな、ゾロ。俺は聞かねぇ。お前の帰る場所は一つしかないんだかんな。」
優しい声音でそう言って、ゾロの緑髪にキスを落とすとルフィは静かに眠りにつく。
それを見たゾロがあわてて駆け出そうとするのをサンジが掴まえると、ナミが
「大丈夫、薬のせいで眠くなっただけみたいだから・・・。」
その言葉にゾロはちょっとだけ安心し、しっかりとルフィを抱き抱えると船へと向かって歩き出す。
その後ろから、ナミとサンジが続く。
だが、ナミがふとその足を止め、今出てきた家を振り返る。
そんなナミを、サンジが近寄って抱き締めボソリと呟いた。
「俺達は、まだ死ねませんね。」
そうだ、辛くても苦しくてもあの瞳が自分達を必要とする限り、
「あたりまえでしょ。夢はまだ、叶ってないんだから・・・。」
サンジの腕から離れ、船への道へと踏み出す。
サンジはナミとゾロの後ろ姿を等分に見やり、苦笑しながら後に続く。
安らかに眠る、ルフィの側に居る為に。

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戯言:あれぇ?なんか思っていたのと違う話になっているようです。
ルゾロはいいんだけど、本当に痛いのは誰なんでしょうねぇ。
それに、ルフィさん、過激発言してるし。そんなキャラじゃないのにねぇ。
あくまでも、うちのルフィが言ってるんだと思ってくださいね。