<狂い桜 2>



「あっ・・・あぁぁっ・・・・・・やっめっ・・・。」
ルフィはゾロのモノを掴み、執拗に愛撫を繰り返す。
すでに衣服は取り去られ、素肌を花びらの絨毯の上に直に横たえながらゾロはルフィを見つめる。
広げられた足の間に身体を納め、ルフィはゾロのモノを咥え込んでゆく。
一個の生き物のような動きでゾロを翻弄してゆくルフィの舌。
目を伏せてゾロの官能を引き出すルフィを見ていると、ゾロは思考のどこかが抜け落ちてゆく気がして慌てて目を瞑った。
それでも快感は体中を巡り、ゾロは限界が近いとしる。
「もう・・・んんっ・・・も・・たな・・・・い・・・。」
切れ切れに綴られるゾロの言葉に、ルフィは速度を増してゾロのモノを舐め上げる。
先端を刺激し、喉の奥まで飲み込みながら、ゾロのモノをきつく吸い上げる。
その刺激にクウッとゾロの背がしなり、ルフィの口へと熱を迸らせた。
ルフィはその白濁を飲み込んでゆき、飲みこぼしがゾロのモノを伝う。
後ろへと流れてゆく感触にゾロの身体はブルッと身体が震える。
ルフィは口を離すと、ペロリと唇を舐め、薄く笑った。
狂気の楔はまだルフィの身体に打ち込まれたまま、次の犠牲者を待っていた。

ゾロの呼吸が整う間を与えずに、ルフィはゾロの身体を乱暴に俯ける。
いつもと違うルフィに恐怖を覚えつつも、ゾロは逃げ出すことも出来ない。
グイッと腰を抱えられ,獣の体勢を取らされてゾロはルフィを肩越しに見ようとした。
だが、すぐに後ろへと差し入れられた舌と指にビクンと身体が仰け反る。
「やめろっ、ルフィ。」
こんなのは嫌だとばかりに身体を捩るゾロをルフィは難なく押さえつけて、後ろへの攻めを続ける。
動けないようにと後ろから体重を掛けられ、ゾロは両腕で身体を支えた。
(何故だ?ルフィ?)
いつものルフィならゾロが本気で嫌がることは決してしない。いや、しないはずだ。
ましてや、大抵のことをゾロはルフィに許してしまうのだから、今だってルフィが一言口にすれば、こんな風に思うはずもないのだ。
けれど、今日のルフィは無言のまま、ゾロが欲しいと一度も口にしないままゾロを犯し続ける。
それでも、慣れた身体はルフィの攻めを受け入れ、心とは裏腹に快楽を享受し始める。
まるで、ルフィの纏う狂気がゾロの理性すら奪ってゆくようで、ゾロの瞳から銀の雫が伝い落ちた。

「んんっ・・・ル・・フィ・・・ル・・フ・・ィ・・・。」
三本に増やされた指がゾロの中を掻き回してゆく。
いつのまにか勃ちあがっていたゾロのモノもルフィの手によって快感を与えられる。
ゾロは首を振りながら啜り泣きの声でルフィの名を呼ぶしか出来ない。
「・・・ル・フィ・・・ル・・・フィ・・・。」
声に促されるようにルフィが指を引き抜いた。
そうして、自分のモノをゾロの後ろへとあてがうと一気に貫いていった。
「ひゃぅん・・・んんっ・・・あっ・・・やぁっ・・・。」
叩きつけられるようにゾロの中を抉ってゆくルフィのモノに、ゾロは痛みと快感と悲しみを感じる。
(悲しい?・・・違う、これは俺のモノじゃねぇ。)
痛みも快感もゾロのモノ。だが、この悲しみはゾロの中にあるものではない。
思い当たるのはたった一人。
後ろから抱きつくようにしてゾロを犯すルフィ。
(お前のモノなのか?この気持ちは・・・)
ポロリと涙が零れる。
あぁ、いったい正気と狂気の境界線は何処にあるというのだろう。
優しい瞳でゾロを抱くルフィも、狂ったようにゾロを求めるルフィも、ゾロにとってはたった一人の愛しい男。
なのに、人はこんなにも簡単に狂気へと近づけてしまうのだろうか?
そして、それを導くのは・・・・・・。
一際、激しい抽挿に意識の全てを攫われる。
ゾロの視界に映る物は、月光に照らされ銀の光を帯びながら、ハラハラと舞い落ちてゆく桜の花びら。
幻想のような光景を見ながら、ゾロはルフィの熱を受け止め、自らもまた、熱を解放した。

ヘタリと崩れ落ちるゾロの背中にルフィの重みが圧し掛かる。
まだ、少し荒い息のままルフィはゾロの頭ごと抱きしめて小さく呟いていた。
「ゾロ、離れるな。」
「・・・・・・。」
「俺の側にいろ。」
「・・・・・・。」
「俺の側に・・・いて・・・く・・れ。」
小さくなるルフィの声に懇願の響きを感じ取る。
沈黙を徹すゾロの背中に小さな寝息が降りかかってきた。
ルフィはゾロを抱きしめたまま深い眠りに落ちていった。

どのくらい、時が過ぎたのか?
ゾロはルフィを起こさないように、そっとルフィの身体の下から抜け出した。
脱がされた衣服を整え、ルフィの服もキチンと着せてやる。
そうして、ルフィを両腕で抱きかかえると桜の木の下へと移動した。
ルフィを横たえ、自らも桜の木に凭れかかり一つため息をつく。
ジッとルフィの寝顔を見ていたが、スイと手を伸ばし髪を梳く。
少し迷ってから、ルフィの身体をグイと引っ張り上げて腕の中に閉じ込めるように抱きしめた。

ルフィ、ルフィ。
何故だろう?こんなに俺達は側にいるのに、どうして不安になるのだろう。
狂わずにいられないほどの互いへの執着。
普段眠っている感情が、ふとしたことで顔を出す。
けれど、お前は知らない。
俺を狂わす物が確かに存在することを。
それは、この淡く切ない月光と、儚げに降る銀桜。
そして、何よりも不安定に揺れているこの腕の中の愛しい存在。
スリとルフィに頬擦りをして、ゾロは夜空を見上げる。
月の光が桜の木を通してゾロの目に映っている。
だが、ハラハラと散ってゆく銀の花びらが二人の身体に降り積もり、やがて視界を染めてゆく。
攫われそうになる心を必死で引き止めて、ゾロは腕の中の温もりをギュッと抱きしめながら目を瞑った。

そうして、抱き合ったまま二人は狂気の世界に背を向ける。
きっと朝の光を浴びれば、こんな気持ちは消えてゆくから。
だからそれまでは、狂気に互いを攫われぬよう抱きしめ合おう、このままずっと・・・。

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戯言:すいません。すいません。ゾロにまで感染してます。
でも、きっと朝になったらいつもどおりの二人になってると思うので、
夜の魔に捕まっただけだとお許しくださいね。
(というか、作者の魔につかまっているのかな?)