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恐怖の黒服列車

入社して2年めのことである.
私は和歌山県御坊市にある,とある個人病院のシステム開発の仕事をしていた.

名古屋から新幹線,地下鉄,JR(当時国鉄)を乗り継ぐ.
大阪・天王寺から特急くろしお号に乗り,御坊まではおよそ1時間半.
ちょっとした電車の旅を楽しもうと,カバンからウォークマンを取り出し,お気に入りのニューミュージックに耳を傾ける.
そしていつものように,うたた寝をしながら車窓の外に広がる景色に思いを馳せるのだ.

列車の中が,何がしかざわついている気がするが..
あれっ..?
浅い眠りの中,遠くの意識を呼び戻し,雰囲気を確かめる.
私の周り..いやに黒服のお兄さま方が多いなぁ...^^;
思いつつも私はまた,眠りの中に落ちて行く...

まもなくして和歌山駅に着いた.お客さんの移動がおこる.
あれ,あれっ...
おいおい,他の方たちはどこへ行ったんだ..(・_・?) ン?
冷や汗が...しかし,いまさら席を立つのもおかしいぞ...
しゃあない,こうなりゃ寝たふりしかないじゃない..
生きた心地もしないまま,やっとの思いで御坊に着いた.
扉が開くと私は一目散で列車を下りる.
ところが...

改札を出た瞬間,私の顔から血の気が失せた.
なんと,目前には黒服のお方の花道が延々と延びている.
そう,地元の親分さんの葬儀とガチ合ったのだった.

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