大人用音楽
YUMI'S CD REVIEW

山崎まさよし 「未完成」 2003.5.21 マキシシングル

 

8ビートでクワイヤーで歌謡曲という前情報。3つが全く結びつかなくって、想像は諦めてしまっていた。まぁ、そのうち、ラジオで初耳するだろう。その時の第一印象が楽しみ♪と思っていたの。しかし、初耳したのはSSTVでのPVだった。同時に初目でもあったのです。それはそれは、私にとってはショックな出来事だったですよ。

余談ですが、音楽って「音を楽しむ」だよねぇ。とりあえず、目はいらない。と、私は思う。一般的に聴覚よりも視覚が勝るもんだと思います。(逆の人は何らかの音の専門職につ
いてたりするもんじゃないでしょうか。) 私の場合、音を楽しむには視覚が邪魔になる。だからライブだって、いい時に限って目をつぶっちゃってたりする。もったいないとは思うんだ。観たい気持ちはヤマヤマ。でも、耳と身体で聴いてるんだな。視覚の記憶はないけども、その瞬間の鳥肌な感じはしっかり記憶に残ってたりします。

最近の若者は、音だけで楽しめなくなってきてるという話を聴いた。映像がないと、イメージが沸かなかったりするらしいのです。ラジオっ子なら、そんなことはありえないのに。最近は、アルバムの曲もPVカットするのが増えてきてるしねぇ。宣伝には必然ですか。こりゃ、本格的に VIDEO KILLED THE RADIO STAR ですね。

とっても好きなアーティストの新曲をPVで知ってしまった場合…。見てしまうんだぁ!しっかりと。それで曲の印象が薄らいでしまったりする…。映像より曲のインパクトが大だったりする場合は、それはないのかもしれないけど。「未完成」は…、スーツ姿のヤマちゃんが、インパクト大だった…。そして問題がもうひとつ。歌詞がダイレクトに入ってこないのであった。これは第一聴として、大きなミス!大事やんか、最初に耳につく言葉…。

それでも曲の第一印象というのはあるわけで。諦めた想像とは大いにかけ離れたものだったんです!驚きのあまりに好きにはなれなかった。なんだ??これは???ヤマちゃん、どこに向かってるの?何がしたかったの?

8ビートと聞いて、ハードなロックを想像してしまっていたし、クワイヤーと聞いて、もっと派手なものを想像してしまっていた。ただ、歌謡曲と聞いて、最近ライブで「襟裳岬」なんぞカヴァーしていたから、それとはしっかり結びついたんです。なるほど、そういうモード。それでスタンダードって言葉を使っていたんだねって。

サウンド的に、これはどんな方向性なの?って疑問だったんだけど、ヤマちゃんがインタビューで、「架空のTHE BANDを想像してください」って言ってて、あ〜なるほどね。この土臭さ、オルガンの感じ、アメリカだね〜。納得。なんか安心しちゃった。でも、そういう聴き方っていかがなもんだろうと、ちょっと自分が嫌になった…。「山崎まさよし」を聴いてない感じで…。「THE BAND」って知らなかったら、ただ一人でバンドやってんだって思って、何言ってんの?って感じだったんだろうな…。でも、それで正解かも。

結局、5月は、スガシカオ『SMILE』とファミシュガライブに明け暮れてた私は、このマキシをいつものように聴きまくってはいません。(だけど、c/w の「security」、すごい好きよ。ヤマちゃんらしくって。) 「未完成」はラジオやテレビでは何度も耳にしていますが。だから、スガ「Thank You」のように、アルバムを引っ張る曲として聴けるでしょう。2曲目というのがこの感じにピッタリかもしれないなぁなんて思っています。(君とピクニックってどんなかなぁ、ドキドキドキドキ…)

アルバム発売の前夜、音楽と人6月号の「未完成」についての記事を再読してみました。「〈洗練〉と〈泥臭さ〉の間を絶妙に突いてる」と、うまい表現がされてます。そして曲から受ける印象としては…、

・この歌に込められた感情、光景に歌世界の大きな変容を思うところはない。

・生活→人生を俯瞰して見つめている、視点の広い曲である。

・未成熟なこと、モラトリアム、言い訳、そうした甘さを嫌う、自分に厳しい山崎が、なぜ自分の現在形をあえて〈未完成〉というだろう。

うんうんうん。そうですね。ずっとそうですよね。なぜそんなことを歌うのか。

・彼なりの人生観、生き方が埋め込まれてるに違いない。

・『アトリエ』では、彼なりの〈生き方〉が垣間見られるのだろうか。

おお!次号のインタビューへ続く、うまい締めになってますねぇ!そして、見事にそんなテーマのインタビューを読ませていただきました。そのインタビューについては、また紹介します。

「未完成」は、見事に『アトリエ』の先行曲となってましたね。この曲の私の感想は、また改めて、『アトリエ』全曲レビューにて、書かせていただきます。

※以上のテキストは、『アトリエ』を聴く前夜(5/24)に書いたものを、再編させていただいたものです。
ご了承ください。

『アトリエ』ロングレビューも合わせてお楽しみください。

 

 

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