コンピュータ室   2012年分

コンピュータ関連の話をします。

2012/03/28 省エネ98(Ra43)の製作  2012.05.03 改訂


2012/03/28 (水)晴れ               ページ先頭↑

省エネ98(Ra43)の製作

【製作の経緯】

 業務(アプリケーション)を全て省エネAtomPCに移行させ、いずれはPC−9821のタワー型Ra43は廃止にするつもりでいました。ところがDOSアプリケーションである自作家計簿ソフトのDOS/V版がほとんど使っていなかったためデバッグされておらず正常に動かないことが分かりました。それで仕方なくバグのない98版を98仮想マシンであるT98−Next.上で使うことにしました。ところが仮想マシン上の日本語FEPとWindowsXP上のIMEとの間でキー入力が競合して思うように日本語入力ができなくなったため、データ入力が滞り家計の管理に支障が出てしまいました。我が家にとって家計簿システムは最も重要なアプリケーションであり1日も欠かせないものなので、AtomPCでの運用を諦め、元のタワー型Ra43のWindows98SE上での運用に戻しました。
 しかし、業務をAtomPCに移行させた理由はCO2削減のための省エネ(節電)が目的だったので、省エネが十分に果たせなくなりました。そこで考えたのがタワー型Ra43を省エネマシンにしてしまおうということでした。

【省エネの方法】

 Ra43は旧式の古いマシンなのでハイテクを使って省エネしたわけではありません。Windows98SE上の1個から3個のDOS窓で家計簿ソフトが動けば良いので、それ程高性能マシンである必要性はありません。ただ、IDEインターフェースは標準搭載のものでは遅すぎるし大容量のHDDが接続できないのでATA133対応のインターフェースは必要でした。それから周辺機器接続のためUSB2.0インターフェースはどうしても必要でした。

 具体的には次のような方法で省エネしました。

 (1)CPU
 CPUはCPU下駄であるPL−iP3/TとPentiumIII 1.1GHzを外し、標準搭載のCeleron433MHzに戻しました。(TDP29.0W−>24.1W)

 注)Celeron433MHzよりCeleron766MHzやCeleron733MHzの方がTDPが低いようですが、時間がなくてまだ試していません。

 (2)IDEインターフェース
 ATA133インターフェースであるI−O DATAのUIDE−133/98−Aは本体スロットに刺したまま不変です。

 (3)I・O拡張BOX
 ふえ太郎ハーフとそこに刺していたインターフェースを外しました。ふえ太郎ハーフ本体と冷却ファンと4枚のインターフェースがなくなりましたから、これが今回の最大の省エネ要素かも知れません。
 本体スロットからふえ太郎ハーフのホストカードを外し空きができたので、代わりに玄人志向のUSB2.0N6P−PCIを刺しました。
 グラフィックカードは標準搭載のPC−9821 TGUI968xCyber938x,Providia9685(Trident)を有効にしました。

(注)下表がふえ太郎ハーフ内のPCIスロットに刺していたインターフェースです。
 PCI#1   BUFFALO     WGP-FX16N   グラフィックアクセラレータ
 PCI#2  I-O DATA  GV-BCTV4  TVチューナ&ビデオキャプチャカード
 PCI#3  ADAPTEC  AU-5100B  USB2.0インターフェース 5ポート  
 PCI#4  System Talks  SGC-52UFG  スゴイカード USB2.0+IEEE1394+Gbit LAN 
   System Talks  SGC-PLS4  スゴイカードの拡張ブラケット
 (4)サウンドボード
 外付けサウンドボードSound BLASTER Extigy−LEを取り外しました。代わりに標準搭載のMATE−X PCMを有効にしました。Extigy−LEはAtomPCで必要な場合にだけ電源を入れて使うことになりました。
 
 (5)MOドライブ
 5インチベイマルチマウンタ PMU−012Wとそこに取り付けていた2.3G MOドライブとスリムCD−RW/DVD−ROMドライブを外しました。MOドライブはほとんど使わなくなっていましたし、外した方が省エネとスピードアップになるからです。代わりに5インチベイに直に普通サイズのCD−RW/DVD−ROMドライブを取り付けました。
 
 (6)コンパネ
 5インチベイに取れ付けていたメモリーカードリーダーと2チャンネルファンコン等が合体したサイズのコンパネは外しました。メモリーカードはAtomPCから読み書きするようにしRa43では扱わなくしたので省エネとスピードアップのため外しました。
 ファンコントロール部についてはファンの数を減らした等の理由で余り必要性がなくなったことと、5インチベイにもう1台リムーバブルHDDを接続するためいらなくなりました。
 
 (7)ファン
 電源ファンとCPUファン以外のファンの数を3個から1個に減らしました。真夏に温度上昇が問題になる部品はCPUとHDDです。この内、CPUについては固定回転数のCPUファンが付いているのでノータッチとなります。
 HDDファンはこれまでは専用ファンを取り付けていましたが、これをフロントケースファンと共用化することでいらなくしました。AT互換機用のPCケースには大抵3.5イントシャドウベイとは別にフロントケースファンの前辺りのケースの底に設置して使う3.5インチシャドウベイが付いています。私はここへシステムHDDを取り付けています。フロントケースファンで冷却されるのでHDDファンを取り付ける必要がなくなり省エネになるからです。
 省エネのためこの方法を98でも採用しました。HDD増設ホルダと呼ぶ部品を使って標準3.5インチシャドウベイの下にHDDがもう2台設置できるサイズのシャドウベイを設けました。ここはちょうどフロントケースファンの真ん前なのでAT互換機用のそれと同様、HDDファンがなくてもフロントケースファンにより十分に冷却できます。

 (注)黄色いラベルの下方に写っているのがアルミ製のHDD増設ホルダで作った3.5インチシャドウベイです。IDE HDDが取り付けられているのが見えます。システムHDDです。



 それからリアケースファンは外しました。フロントケースファンと電源ファンだけでケース全体の冷却は十分にできると見込んだからです。フロントケースファンはファンコンの付いたものです。このファンコンをケースの背面パネルに取り付けました。またこれとは別にファンの電源をON/OFFできるスイッチも取り付けました。ファンコンで目いっぱい絞っても回転は止まらず0.5W位は電力を消費するからです。1年の間にはフロントケースファンが必要ない季節が半年以上もあります。これをカットするためです。

 (注)写真のアルミパネルの右下にファンコンのつまみとその左側にファンの電源をON/OFFするためのトグルスイッチが写っています。



【省エネ98の消費電力】  2012.05.03 改訂

 以上の結果、タワー型Ra43はどの位省エネできたでしょうか。測定して省エネAtomPC製作時に測定した数値と比べて見ました。(下記)

              消費電力(W)                                             
   P C 名    改造前   改造後      搭載CPU TDP(W)        備   考
 Ra43#1   93.3   47 Celeron 766MHz (SL52X) 20.0 フロントファンOFF
 Ra43#2    −   48 Celeron 766MHz (SL4P6) 23.6 フロントファンOFF
 旧ASUS  118.5  100 Pentium4 3.0EGHz 81.9 フロントファンON、リアファンON
 AtomPC   38.8   41 Atom D510 1.66GHz 13 フロントファンON、リアファンOFF

93.3Wから48Wと大幅に少なくなり成果がありました。AtomPCとの差がこの位であれば同じ省エネPCとして消費電力を気にせず使えます。

(注)今回から消費電力の測定方法を変更しました。これまではモニターやスピーカーやその他の機器も含めた値で測定して後からその分を差し引く方法で測定していましたが、今回からはPCの電源プラグを別のワットメーターに刺して測定しました。従って精度は良くなったと思います。また検針はマシンがディスクアクセスを止めて静止している時に行いました。例えばWindowsからブラウザを起動した後のディスクアクセスや表示が終わって落ち着いた時点での検針です。これ以外のタイミングでは変動が大きく平等な測定ができないからです。

CPU別消費電力  2012.05.03 追加

 一般的には速いCPU程、消費電力が大きくなりますが、本当のところはマシンに組み込んで見ないと分らないので、所有しているCPUをタワー型Ra43に組み込んで試して見たところ次のようになりました。

   CPU名 S-Spec  FSB コア電圧  TDP   消費電力 (待機)  使用機
Celeron 433MHz SL3BS? 66MHz  2.00V  24.1W    45W (0.1)   -
Celeron 700MHz SL4P8 66MHz  1.70V  18.3W    46W (0.1)   -
Celeron 733MHz SL52Y 66MHz  1.75V  22.8W    46.5W (0.1)   -
Celeron 766MHz SL4P6 66MHz  1.70V  20.0W    48W (0.1) Ra43#2
Celeron 766MHz SL52X 66MHz  1.75V  23.6W    47W (0.1) Ra43#1
Pentium3 850MHz SL4Z2 100MHz  1.75V  25.7W    45W (0.1)   -
Pentium3 1.10GHz SL5QW 100MHz  1.75V  33.0W    49W (0.1)   -


 (注)PC−9821V200/M7Cの筐体にPC−9821Ra43の中身を組み込み作ったタワー型の省エネ98です。



【予備機の製作】

 旧タワー型Ra43 の省エネ化と並行して同一仕様の予備機も作りました。普通、バックアップというとソフトウェアのバックアップのことを言いますが、古くて買い替えたりメーカー修理ができないマシンの場合はハードウェアのバックアップもないと業務に支障が出るからです。同一仕様の予備機があればソフトがそのまま使えるので即時に復旧できるからです。
 ただし、同一仕様と言ってもATA133のIDEインターフェースだけは同じものが手に入らないので代替品にしました。それでも同一ソフトで動作させることができます。

 マシン名          IDEインターフェース     USBインターフェース
 Ra43#1   I−O DATA UIDE−133/98−A  玄人志向  USB2.0N6P−PCI 
 Ra43#2  玄人志向   CHANPON2’TURBO−PCI           −
(注) 家計簿専用マシンとしての98を省エネマシン化すると同時に、同一仕様の予備機も作ることになったのにはもう一つ理由がありました。改造作業中はマシンが使用できなくなり、家計の管理に支障が出てしまうからです。マシンが2台あれば1台はいつでも使用できるという便宜があったからです。それに改造で何かをした結果、マシンが起動しなくなるという深刻な事態も起こり得ますし。
 そういう訳で主機をそのまま使用しながら、まず先に予備機を製作しました。そして予備機の成果を主機に反映させました。予備機で動作するこや省エネになることを確認してからそれを主機に反映させました。ただし、途中で仕様変更もありますから「予備機−>主機」の一方通行だけでなく「主機−>予備機」という流れもありました。いずれにしろ1台はいつも動くマシンがあったので安心して改造に取り組めました。  2012.05.21 追加