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 今回は、NYの中でも私が住んでみたいと切望していたブルックリン滞在でした。ブルックリン在住歴9年の田中家。日本人名ですが、旦那さんはアメリカ国籍を取得しています。(移住して20年になるらしい)里帰りされる間に8匹の猫の世話をするということで、今回格安で滞在させてもらいました。毎年NY滞在する予定の私としては、とても今回ラッキーないきさつ。NYは住宅事情が悪すぎます。物価も日本より少し高めだけど、なんだってこんな所で、こ〜んな滞在費を払わなくちゃならないのー!って状況。
 5年以上は、毎年1ヶ月間滞在しようと決めて2回目ですが、やはり大都会。疲れます。たったの1ヶ月間の美術学校滞在も、ずいぶんとプレッシャーあります。よく「楽しかった?とか、思い出たくさんつくれた?」と以外なことを(私にしてみれば)聞かれます。そうですよね、自分で行きたい所にいって時間を過ごしているのだから、普段よりずっと楽しく暮らしていると思われるのですね。それは、ほんの一部で。正直言うと、きついです。ここで働いて生活している人達を尊敬します。私はとてもできそうもないから,というのが本音です。やはり観光でのんびりと、休暇で旅行というのとは違うし。お金も節約しなくてはならないし、言葉の問題もあって苦労するし、NYで今回掴みたいと思っていることがあって行くわけだから、面倒なことをやりこなしていかなくてはなりません。特にNYは、どこもかしこも叫びたくなるほどに、皆さん不親切です。親切はお金で買う所だから、リッチでない人間には辛いです。また、ふてぶてしく見える私は、どこにいってもニューヨーカーに見られるので、道は聞かれるわ、地下鉄では駅や列車について聞かれるわ、で。エーゴわからないから、話しかけないで〜という感じで逃げたくなります。今回は学校で「解剖学」の講議をとったのですが、思っていた以上に英語がわからなくて泣けました。情けなかった・・・。言葉もそうだけど、あらゆる勉強も逃げずにやっていけば、きっと自分がなにかに気がついてぱっちりと目がさめる日がくるような気がして。その日のために、ちょっとした修行だと今はやってます。行く前は「今度はど〜んなトラブルが起こるのやら、コワー」と逃げたい気持ち半分、これもまた勉強よと思う気持ち半分です。海外へは、気の合うお友達や家族と一緒がいいなあ。遊びでのんびりと南国へー、歴史の旅を観光でー、もしくは欲しいもの存分買い物旅行ー、というのがよさそう。今一番旅行してみたい所はイタリアです。同じ趣味の人がいたら(絵をみながら語り合える人、騒がしい事は苦手ない人)同行しませんか?

 ちょうどあのワートレ崩壊の悲劇から1年という日にも滞在していたので、色々と複雑な心境。追悼式の模様をテレビで半日観ていた。被害者の名前を全員読むということで、せめてこれだけは全部と思って。しかし、長い。なかなか終わらず。それだけで結局半日かかりました。未だにあのグランドゼロ(跡地)には行く気になれない。あまりにも悲しすぎるし、見学にいく観光客にはなれないし。住人でも観光客でもない私には複雑です。あの事件で私が個人的に気がついたことは、NYに対して(住人とは違う感情だけど)かなりの感情移入を自分が持っているということ。霊感も強いので、行き場のない霊にまとわりつかれるのも実は恐くて。TVのニュースで以前のワートレがあった時と同じように地下鉄の駅がまた通じたというのを知って、突然バッテリーパークから自由の女神を眺めたくなりました。何度もNYに来ていても、自由の女神を見に行動したのはこれで3回目。9年前と何もかわらず、公園では相変わらず大道芸をやっていて、お土産の屋台があって、ベンチに座って自由の女神を見ている人達がいて・・。SOHOにある画廊でみたワートレ崩壊前後の写真展を思い出す。自由の女神に崩壊したビルの煙りがかかっていたあの写真。なんだかとても辛さを感じて、まじまじと見入ってしまったあの写真。あのときの臨場感が蘇るような写真だった。自由の国アメリカ。
 今期は真面目に大学の講議でプラグマティズム( 現代アメリカ思想)をやっています。アメリカの歴史より先にアメリカ(といっても一部しか知りませんが)に何度も観光や短期遊学にきてなんとなくアメリカの思想を現場で感じとっていましたが、プラグマティズムを勉強してみると、今までの疑問が解けていきます。しかし、2002年になるというのに、教材で「コロンブスがアメリカ大陸を発見した」となっているのでびっくりしました。発見っていったって、自分達が知らなかっただけで原住民が生活していたではないですか。原住民だって、天と地ほどに哲学が違う西洋人が突然表れてびっくりしたでしょうに。彼等にいわせれば、「突然上陸してきた態度のでかい白い人間達を発見した」でしょ。 それを今でも「コロンブスがアメリカ大陸を発見した」という表現を使うなんて、ア然。「とても広くてすばらしい可能性のある土地を見つけたので、原住民を無視して彼等はそこに新しい国を作って領土にすることに決めました。」って事でじゃない、結局は。本当の事を書けよ、現在の大学の教材だろうが!ひねくれた社会人の私に西洋人中心の思想をふきこもうったってそうはいきません。

 ここでの1年に1ヶ月間の生活の足跡を残したくて、今回から始めたプロジェクト2002。郵送で、友人絵の関係者などに郵送でメッセージを含めたカード(カードですが、これは私にとっては作品です)を送ります。そして、私が一つ質問をしてそれに答えてもらうという企画です。答えはハガキに書いてもらうのですが返信用の切手も送り先の住所も用意してあるので、もらった人は質問の答えを書いて投函するだけです。この質問の答えのハガキは個展にてファイルして、来場してくれた人に読んでもらいます。今後2年に1度個展を開催していく予定で、ちょうど2003年の4月に銀座の中和ギャラリーさんで個展を開催するので今回の「プロジェクト2002」はこの時発表します。後は、2年分まとめて発表という予定でいます。


題/月曜から金曜日の午後1時から4時45分までのデッサン
サイズ/45×61cm
日付/1993年9月
場所/A・S・L NY.USA

題/1993年のデッサンの部分
サイズ/5×7.8cm
日付/2002年9月
場所/A・S・L NY.USA


●メッセージ●
私は1993年9月と2002年9月に同じ場所(A・S・L NY.USA)に居ます。左側の1993年9月に描いたデッサンを、カッターで小さく切り取った部分が右側の2002年9月の作品です。


●皆さんへの質問●
『あなたは1993年の9月に何をしていましたか?』
というのが質問です。
もし、このプロジェクトに興味がある方は、メール下さい。 毎年9月に郵送します。
でも必ず質問の返事をお願いします。もちろん毎年、質問は違いますし、メッセー
ジも違います。質問への答えは絵でも記号でも文章でもよいです。

さて、今回のアートの報告です。自分の趣味でどうこうはおさえて、ちょっとした
メインの情報のみ簡単に紹介します。画廊の多い地名別と美術館名にしました。

 

 

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