取材 神部竜二(21才、学生) 1996年の11月23日(土)から27日(水)まで、浜松アクトギャラリーで開かれた良美さんの展示会に行ってきました。近くに住みながらなかなか足が延びないアクトシティですが、今回はしっかりデジタルカメラを携えて6Fに向かいました。 展望回廊への通路側からギャラリーのなかが見渡せるようになっていて、どこから入ったらいいのかと迷っていると良美さんの旦那さんが暖かい笑顔で出迎えてくれました。
ちょうどパントマイムショーが始まったところで、パフォーマの方(現在、中央にて活躍中の細川紘未さん)の指先から爪先まですべてを(もちろん表情も)駆使した表現にまず驚かされました。
大きな木を描いてパフォーマンスは終了し、お客さんたちにはコーヒー(紅茶)とケーキが(ビールもありましたが)ささやかに振る舞わました。 ヴァーチャルギャラリーのほうで良美さんの作品はいくつか見ていましたが、実物を見るのは今回が初めてです。 自分は少しだけ興奮して会場のなかを見て歩くことになりました。良美さんの絵はアクリル画で、特にタイトルを付けるかどうかは迷ったそうです。 それが、これ、「和室に響くジャズヴォーカル」。
先の旦那さんはブルースのギタリストで、ジャンルとしては違うのですが、なんとなく以前お宅に伺ったときの雰囲気を思い出して、それで何となく好きになってしまいました。 あとで聞いたら、やはりけっこう人気が高い作品だそうです。 しかし実際に見てみて、一番意外だったのは作品のそこかしこに「和(風)」の雰囲気が流れていたことでした。 作品だけではありません。「南天に舞う香」をはじめこれら3作品は、単に普通のキャンバスに張り付けられているわけではありません。
「別に本能に従って描いたら日本人としての自我が出た」だけで、たいした事を考えて描いたわけではない」、そうですが、このあたりから何となく良美さんの作品というのはその画本体だけのものではないのかなあ、という感じがしてきていました。 小作品においては、前述のジャズヴォーカルをはじめ、この「海がみたい」
でもごく普通の木板に打ち付けられていますが、この「恋人たちの待ち合わせ場所」では、キャンヴァスが白く描かれています。
なんていうか、部屋の中の世界には前者で、後者については華やかな屋外の風景を描いたようなものが多かったように感じます。 また、この「Happy New Year」
のように大きなものでは、また別のやり方を生みだしていて、それはこのような、キャンバスの間中をさっと開いてしまうものです。
よく「行間を読む」という表現が用いられますが、これはそれをビジュアル的に彷彿とさせられたような気がします。 しかも、この様に間を開いたものには、もう一つ特徴がありました。それは、特別立派な額に入ってない、ということです。 額選びも作品のうちなのかも知れませんが、この様に二つの切り離された作品を一つの作品として受け入れられるような額はなかったのだと思います。木で作られたそのままの枠にはめ込まれていました。 少し大げさですが、成長とはいわなくても常に変わり続ける良美というアーティストの可能性を垣間みたような気がします。 それは私たち自身についてももちろん同じことで、きっと現在のやり方に基づいて作られた道具、もしくはやり方そのものに、不満を感じて変わっていく日がやってくるのかも知れません。 また別のものとして、縁側をモチーフにしたものがあったのですが、これもなかなか面白かったです。 正面向きは
この様に普通なのですが、これを横からみると
この様に出っ張っているのです。
最後に、良美さんの写真を撮らせていただきました。
その場では「なかなか生意気に撮れている」と好評でした。
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