05. 躊躇えば命を落とす
「リオ、戦くな」
「はい」
一瞬の迷いが生死を分かつ。
怖がるな。
戦え。絶対に勝つと思え。
今までとは比べ物にならない。
凶暴で強力。
明らかに格が違う。
肌に直接突き刺さるような小さな無数の痛み。対峙してるだけでこれか。
逃げる訳にはいかない。
退けない。
誰か1人欠けたら、終わりだ。
「援護を頼む」
先に飛び出したのはキマナ。
あたしとルオが同時に、別方向へと駆け出す。役目は雑魚の一掃。
近いのから屠る。付いてる親玉の所為か、雑魚つってもその辺のより強い。
大鉈の柄にカケラを取り付けてある。覚えたばかりの魔法を付与して攻撃する。
まだ魔力の扱いに慣れてないんだから初歩のしか使っちゃ駄目だってサールの忠告だ。それでも戦いは随分楽になった。
キマナの魔剣が唸る。
白目の無い赤い瞳がキマナを追ってぎょろりと動く。
多少の傷はものともせずキマナは、果敢に突っ込んで親玉の触手を切り落とす。
本体から離れてもビクビクと蠢くそれをルオが踏み潰す。
別の触手にサールの雷の魔法が炸裂する。
そろそろ詰めだ。
大魔法の準備に入ってるサールに迫る最後の1匹の魔物を、あたしの大鉈が襲う。
ルオが跳ね飛んで注意を逸らす。
撓めた竹のようにキマナは斬撃の直前。
止めの一撃。
紅蓮の炎。
断末魔の叫喚――長く尾を引く喘鳴。
後に残された特大のカケラ。
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