03. 偶然と必然、どっちでもかまうものか



「あたしはリオ。こっちはルオ」
「俺はキマナだ」
「僕はサール」
 ふとキマナは何かを拾ってサールに渡した。
「それ」
「カケラ。”魔力の器”を満たすもの」
「……魔王ね」
「知ってるの?」
 上着の内ポケットから小さな袋を取り出す。硬い手触り。中には水晶のような欠片が幾つか。
 一際大きいのはユノイの部屋で見つけた。
 魔物を倒したら同じようなのが落ちてた。だから拾った。そして集めた。手掛かりのような気がしたから。
「驚いたな。特大だ」
「君、大丈夫?」
「は?」
「カケラは”魔王”の残滓。酔い痴れ、現と夢の狭間を彷徨い、自我を失う。それは大きさに比例する」
 サールは歌うように言った。
「少なくとも今は正気だと思う。何で?」
「魔力に免疫がないと罹る」
「…貴方達、誰」
「通りすがりの旅人です」
笑ってサールは答えた。
「何なのか知らないで持ってたの? 魔物が寄って来るよ」
「そうなの?」
「惹かれるんだろうね」
 確かに魔物との遭遇率は高かった。
「リオは旅は長いの?」
「……、貴方達と同じくらいじゃない?」
 予感があった。
 理由は知らないけど目的は同じだ。この人達も魔王を捜してる。
「女の子が1人で旅してて、魔術師でもないのにカケラを集めてる、凄く興味があるな」
「そう?」
「同行して良い?」
「信用できると思う?」
「正論だな」
 キマナが当たり前のように頷く。
「魔術師の本当の役目を知ってる?」
 頭を振る。
「魔王復活の阻止だよ」
 サールは昏く笑って言った。

 だから、一緒に行くと決めた。







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