2006.1.20
おひる

いまの職場が青山の骨董通り沿いにあることは、このコラム内で幾度となく(いや、最初はハッキリ書いてなかったけど)書いてきた。

その骨通り唯一のハッキリしたファミレスだったジョナサン骨通り店が1月31日で店をたたむことになった。
14時も過ぎるとわりと空いてのんびりできる店で、仕事がヒマな日の夕方や終電を逃した夜中の時間つぶしに大いに活用させてもらった。

「諸般の事情により」ということなので、ショバ代が高くて採算が合わなかったんだろう。
駐車場ナシ、未来的なショップの脇の細い階段を上がった二階、通りに突き出た看板もないという、ファミレスとしては不利な面もあった。

社内平均的には、ランチタイムは14時すぎという感じ。
たぶん今の職場に来てからのオレの昼食はジョナサンがいちばん多かったんだろうと思う。


が、ジョナサンの他にもよく通っている店はある。
今回はオレのランチを喰う店を紹介しよう(サイトの趣旨が決まってないとなんでもアリでいいもんだぁ)
★は店のサイト、もしくは店が載っているページへのリンク。

どの店も夜に行ったことはないので、ランチの顔しか触れない。
なお、よく行く店のひとつ【梟】はすでにラーメンのコラムで紹介済。


【ラ・ボエム】

「青山」で括るとこのボエムは原宿、表参道、北青山、南青山、骨通りの各店がある。ムダに多い(笑み)
入社初日に連れて行かれたのが骨通り店。
初日は顔合わせのために昼食をおごってもらう習わしになっているのだ。

骨通り店は地下。
中は結構広く、バーカウンターはネオンで飾られていて、青山に慣れてなかったオレは
「あぁ、前とは別世界だ」というカルチャーショックを受けた。

“前”とは水道橋の南口にある前の職場のこと。
ランチタイムはどこも学生とサラリーマンで混み合う、野郎臭い街だった。
店は狭いが量が多くて安い、というのがセオリー。「居酒屋のランチ」も多い。
店員も基本はおばちゃんかバイトの兄ちゃん… ってところかな。

水道橋も地下の店はいくらでもあったが、ボエムは水道橋にはあり得ない雰囲気。

ランチはサラダ・パン・パスタ・ドリンク・ワイン(デザートに変更可)のセットがお得。
店員は若い男女だけで、やりすぎなくらい人なつっこい… 悪く言えば馴れ馴れしいのが大きな特徴。
ランチは15時までで、前は良く行ったのだが… なぜか最近ご無沙汰だ。
サッカー日本代表の試合の日はスポーツバー的な空間になる。

骨通り店に次いで近い南青山店は、六本木通りを地下歩道でくぐり抜けた先にある。
骨通り店の半分もないキャパで、ランチのワインはちっさいグラスの食前オレンジジュースにしか変更できない。


【モンスーンカフェ】

イタメシ系のボエムに対して、こっちはアジア系のメニュー。
サイトを観てのとおり、ボエムと同じ「グローバルダイニング」が経営している店だ。
かつてあのボビー・オロゴンがこのモンスーンのどこかの店の厨房でバイトをしていて、彼が考えたパイナップルチャーハンは特に好評だったそう。

写真の南青山店は六本木通りの交差点の角にあるのだが、ここの横断歩道の信号待ちはいっつも長い。
ここも水道橋では考えられない広さと内外装で、中二階というか、踊り場的なところにも席があったりして面白い。
左の写真はまさにその踊り場的な席から1階の席を見下ろしたところだ。

よく食べるのはガパオ飯。挽き肉と玉子が載ったご飯だ(真ん中の写真はなんかのチャーハンで、別モノ)。
ちなみに、ランチに付いてくる生春巻の「旨さ」は未だ理解できない。
ランチについてくるライスは白米・タイ米・玄米(だったよな…)が選べる。

この店も同僚に連れてこられて入った。
それまでタイ系の料理は食わず嫌いだったのだが、それ以後は自分からちょいちょい行くようになった。
席が多いため食後にまったりしても平気で居心地がいいし、ボエムとともにコーヒーなどはおかわりもできる。
ただ、モンスーンに限ってはランチのオーダーが14時で終わるのが痛いところ。

右の画像は店の入り口にある気取ったコピーの求人広告なのだが、「才能『募集』」の文字がワープロ… そこの才能がないんだよな…


【AURA】

2005年の秋くらいからよく行くようになった。
ボエムと同じブロックの並びにあり、同じく地下の店。
ビルの1階からエレベーターで降りるので、エレベーターの前に鉄の彫刻の小さな看板が立っている(左の写真)。
ランチ終わりが17時と遅いので、ジョナサンかここしか行けないタイミングのときを選んで行っている。

ランチは洋食のセットメニューのみ。最初に出てくる「サラダ」はいつも葉っぱのみだ。
キノコ類をよく料理に混ぜるのがここの傾向で、椎茸が好きじゃないオレはここが困るところ。

ここもライスは白米と五穀米の選択ができる。
昼のタイミングを逃しまくっていた昨年末は週に3度行って、「いつもありがとうございます」と言われ常連リスト入りを果たした。
ここでは同僚に出くわすことがやたらと多い。さすが、ウチの会社には都合のいい時間設定の店だ。


【美都里】
たまーに妙に行きたくなる「定食屋」。
ジョナサンの裏、岡本太郎美術館の斜め向かいにある。
おじさん・おばさんがきりもりしていて、テーブルにはしょうゆとソース、テーブルの下の棚にはマンガ雑誌、
メニューは黒板にチョークで焼魚定食、メンチカツ定食… 付け合わせはマカロニサラダかナポリタン…
カレーライスは昔の家庭的なトロっとしたアレ… という、ドのつく定食屋さん。

ただ、初めて行くと少々奇妙な思いをする。
注文してからいくらたっても、料理の音が聞こえてこないのだ。
ふつうの小さい飲食店の体(てい)で、テーブル席とカウンター席がある。
カウンターの向こうはふつうキッチンになってるもんなんだが…
作ってるのか不安になったころ、とつぜん奥から料理が出てくる。
別棟というか、別の部屋で作ってるようだ。

食後にお金を払ってから店を出るまでに、おじさんはいつも「すいません」を3回くらい言う。
そんな謝り口調にしなくていいのにね。


【椀cafe】

骨通りからブルーノート東京や根津美術館あるる道に入り、
美術館の脇の坂を六本木ヒルズを正面に見ながら下った先にあった店。住宅街の中だ。
おされなインテリアの店で、名前のとおりメニューは和風。焼魚だったり、丼だったりだ。

客間は2階分あるが、小さい建物なのでキャパはない。
なのに、いつ行っても客が少なく、経営が成り立つのか? と心配だった。
うちの会社からするとランチに出るには考えられない方角にあって隠れ家的だったのだが、
やっぱり成り立たなかったらしく、店じまいしちゃったらしい…
っていうか、潰れたらしいという噂を聞いて以降行ってないので実は定かでなかったり。
ちょっと遠いので、確認しにいかずじまいなのだ。


【オゼール】
青山通りと骨董通りの交差点から北青山側へちょっと入ったところにあるトラットリア。
店は1階と2階があり、昼は2階のみ開いている。
テーブルはテレビのコントなんかでよく出てくるような赤のギンガムチェックのクロスがかかっていて、
トラットリアなんて使い慣れない言葉でいうより、我が町のレストラン的雰囲気だ。
ガキのころ、「レストラン」というと赤ギンガム… のイメージがなんとなくあったなぁ。

2階の窓際の席は、向かい側のビルの足サロン(ネイルとかマッサージとか)の様子が見えるのだが、
なかなかセレブっぽいマダム・コマダムがひっきりなしにやってきて面白い。

イタメシなので、ランチは当然パスタがあるのだが、ここのランチでは肉料理しか食べたことがない。
初めて入ったときに食べたのが「生ハムと鶏とモッツァレラをどうにかしたもの」だ(笑み)
表記の3品を揚げ衣でつつんであって、ナイフでザクっと切ると、とろけたチーズがでろーんと出てくる。
写真中央の白いのがそれで、右側から出てきている。
そして、上にかかっているソース(デミグラス… なのかな?)がまたすんごいウマいの。
ほかにも2種くらいランチの肉料理があるのだが、ともにこのソースがかかっている。

その初めての日、あまりにウマかったので、お店のおばさんが皿を下げにきたときに
「おいしかったです」と言ったら、「ソースが美味しいでしょ?」と言われた。
やっぱりこのソースには自信があるらしい。


【チャックワゴン】

オゼールからさらに道を奥に進んだところにある、アメリカ西部・南部な雰囲気の店。
ランチのハンバーグ、ステーキ、グリルチキンはそれぞれ複数のソースが選べるので、同じメニューでも毎回違う食べ方ができる。

店の中は雑貨がいっぱい。ボッサがよく流れていて、オレ的に好きな空間。
でも、肉料理は鉄板皿で熱いので、食後は毎回おでこの汗を拭いて佇んでいるオレがいる。
サイトによると「メキシコ料理」なのね… ランチでしっくりくるのはガンボライスくらいなんだが…
コラム「かんばん」の最後に出てきた物件は、このオゼール・チャックワゴンの前を通り、さらに奥へ行って左に曲がった先だ。


【田んぼ】


オゼールの前の道からさらに路地に入ったところの地下にある。
「ごはん」を喰いたいときは絶対ココだ。

新潟の自社の田んぼでとれた米を毎日精米して出している。ごはんはまさに銀シャリだ。
一人用のおひつに入って出てきて、茶碗1杯半くらいある。
写真はちょうど1杯を盛って半がおひつに残っている状態。

ランチは¥1,000の昼おひつ膳しか食べたことがない。ほかはさらに値が張るので。
昼おひつ膳は焼きしゃけかさばみそ煮を選ぶのだが、これも喰ったことがあるのは写真のしゃけだけ。

ごはんはふつうにしゃけと食べたあとおかわりをして、周りの小物たちでお茶漬けを喰う。
おかわりはおひつ1杯のみ可だが、半分入れてもらえば十分。
ここで力を発揮するのがしゃけの皿の左上、だし巻き玉子の左にある「しそもろみ」だ。
これがまたたまらなくウマい。右の野沢菜も加え、さらにしょうゆを少したらせばお茶漬けは完璧!
写真の土瓶はお茶漬け用のたぶん玄米茶で、本来の「お茶」は湯呑みの緑茶が出る。
土瓶のお茶はお茶漬け後も余るので、緑茶の入っていた湯呑みで飲んでも可。

ここのごはんを喰った翌日にファミレスなんかの皿盛りのライスを喰らうと、そのパッサパサ感にガッカリする。


【ロイヤルホスト青山通り店】

青学の向かい、国連大学やこどもの城のある一角の脇を入ったところにあって、正しくは青山通りには面していない。
昼休みに歩いて訪れるには少々遠い位置のこの店は、会社のチャリで渋谷へ買い物に出るときに限って寄る。

ここはメニューが高めの「黒ロイホ(ロゴが深緑の文字のテンポ…呼び方はオレが勝手に決定)」なのだが、
さらにこの店独自のランチメニューがあるのが特徴。
オレが好きなのは写真の「バイエルングリル」で、見てのとおり青いものが一切ない、「腹を満たすのが主眼」のメニュー。
おかず皿がムダにデカい(笑み)

目玉焼きの下にハンバーグ、さらにその下にはハムというかソーセージというか、とにかく大きい肉加工品がベロンと敷かれている。
このハンバーグも切ると肉汁がジュルジュル出てくる、シズラーメニューだ。
右の写真の円の中央、ソースの色が薄くなっているところが、肉汁が溢れだしている部分だ。
この店には4-5回行ったが、禁煙席との境のところの窓際の2席のどちらかしか案内されたことがない。

1月17日、今年初めて訪れたら、なんと閉店してた!
ジョナサン閉店の予告を聞いた直後にこっちがすでにツブれていたことを知ってかなりガッカリした。


【志味津】

青山通りのとんかつ屋。
青山店が北青山3-12…で、表参道店が北青山3-10…。
表参道の交差点から骨通りの交差点までの短い間にともに地下で2店舗ある、ちょっと不思議な店。
表参道店は別カテゴリの飲食店が出ていった後に入った感じで、とんかつ屋の雰囲気はない。

ボリュームが多く、基本のメニューは高めだが、ランチは1,000を切るサービスメニューがあってお得。
そのサービスメニューでも十分腹が膨れる量だ。
写真のカツカレーは「お冷やにスプーンが入って」出てくる、古き良きスタイル。
ある男性客がカツカレー大盛りを頼んだら、「かなり多いですけど平気ですか?」と店員が確認していた。
写真が通常で、見ての通りの状態(湯呑み・お椀・コップと皿の大きさの比率がおかしい)だから、大盛りはかなりすごいことになるんだろうな。
ちなみにそのスーツを着た30歳前後の客は「いつも食べてるので平気」と答えていた。

ここに限らないが、オレはさいきんとんかつを食べるときは、ソースのほか、
しょうゆをかけてみたり、塩をふってみたりと、いろんな食べ方をしている。
揚げたてだったら塩はとくにウマい。
この3つだと、実はソースがいちばん豚肉の旨味を消してやしないか、とも思う。
…なので、とんかつ屋でテーブルに塩がないと、ちょっとガッカリするのだ。
この志味津は、ソースが甘口・辛口の2種あるので、しょうゆ・塩(きちんとテーブルにある)とともに、4つの食べ方ができるわけだ。
ほかに、おろしカツやチーズが入ったカツもあるが、後者はランチ特価ものはなく、高すぎて食べたことがない(¥1,300前後だったっけ)。

この店、昼は外でワゴンを出して弁当も売っている。


【七面鳥カフェ】
どんじりはまた職場の近所に戻って、骨通りの店。雑居ビルの2階にある。
丈さんが仕事で来たことがある、ニッカのビルの向かいだ。
たぶん、いまの職場に来てからジョナサンに次いでよく訪れてる店。

いきなり脱線。
ここの1階は陽気なコックの人形(笑み)が目立つSMOKYというソーセージ料理の店で、ここに目を奪われがち。
いまの会社へ入社した直後のころ、このSMOKYの道に面した席で世界の坂本龍一が一人でパスタを喰らっていた。
さすが青山! と感動したもんだ。

その後見たのは三遊亭好楽(笑点のピンクの人)、永六輔、バレーボールの三屋裕子…
ほか、忘れちゃったけど何人かいた。
そして、1月18日、久々に大物を目撃… オカマっぽいオッサンが向かってきたと思ったら、美川憲一だった。
この七面鳥カフェの向かい、サマンサ・タバサから出てきたところだったようだ。
サマンサ・タバサはコラム「かばん」に出てきた店の骨通りのほうの店舗。
美川憲一は運転手つきのシルバーの外車に乗り込んで去って行った。

元に戻そう。
雑居ビルはエレベーターがついているが、2階の七面鳥カフェには手前の階段で上がるのが手っ取り早い。
この階段、段が木製。このビルはかなり古いんだろう。でも雰囲気があってよし。
踊り場には音楽やアート系のフライヤーがラックに収まっていて、一人のときはここで何かを取って行く。

お店の概要はサイトを見てのとおり。
サイトに出ている千賀さん(たぶんオーナー)をはじめ、ロン毛でヒゲを生やしている店員さんが多いのが特徴。

店内のイスはあえて統一されておらず、食事をしにくいゆったりソファーも混じっている。
骨通りに面した窓際には、ギターをはじめとする楽器類やオーディオ機材などの雑貨が並ぶ。
春先は窓が開いていて、昼下がりの窓際の席でボーっとすると、なんとなく幸せな気分になる。

このお店、窓と反対側の壁はレコードで埋まっている。
このレコードたちが、飲食店としては少々大きめのボリュームで常にかけられている。
天気とか客の雰囲気によって店員さんがチョイスするんだとか。
プロジェクターもあって、夜は映像を流したりもするようだ。

ランチメニューは固定のものと、定期的に入れ替わるものがある。
左がスパイシーロコモコ、右がとろとろ角煮ごはん。この2つは固定メニューだ。
ロコモコというとハンバーグ丼のようなスタイルがふつうらしいが、これはミートソース丼と言える。
オレが初めて「ロコモコ」を喰ったのがこの店なので、ロコモコとはそういうものだと思いこんだもんだ。

左は入れ替わりメニューのひとつ、ポークステーキジンジャーソース。
見てのとおり、肉に大してジンジャーソースが多めにかかっているのがポイント。
オレはおかずに対してのライスの消費が少ないタイプで、ごはんを余す失敗をしがち。
しかしこの料理の場合、肉を喰い切ってもジンジャーソースをごはんにかけて喰えるのだ。
このジンジャーソース、たまらなくライスに合う。この店で一番好きなメニューなのだが、残念ながら固定メニューではない。
同僚にこれを喰わせて「まずい」と言った人間はいない。

食後は夏場を除き右写真のホットコーヒーを頼む。
カップが大きいので結構な量があり、ゆっくりできる。
写真左に映っている、ホットコーヒーのときだけ出てくる黒糖を2コ入れて飲む。
これまたオツでウマい。ふつうの黒糖なんだろうけど、店の空気がそうさせてるのかもしれない。


以上、たっぷり載っけた。
オレは別にグルメではないんだけど、こうしてたまにメシをケイタイで撮っている。
世の中には毎食欠かさず撮っている人も結構いるらしいが。

職場の周りはこの他も含め、ウマい店はいろいろあるのだが、やはり平均して高い。
さいきんはコンビニ飯ランチが減ってるので、すこし節約しなきゃいけないな…

でも、まったりできる店は、やっぱり行ってしまうのだ。

Back