春のうららかな土曜日、ひとり。
俺は、カレッジのスペイン語講座の期末課題『ラテン文化に触れてレポートをスパニッシュで書くこと』を片付けるために、
ロングビーチのラテンアメリカ美術館(Museum of Latin Art)へと車を駆った。 ひとり。
入場料5ドル。 特別展がContemporary Art、つまり南米の画家による現代美術だったので、
ゲルニカのような奇妙な絵ばっかり展示されていた。
アステカの遺跡から発掘された縄文式土器をみせられるよりは楽しめたと思うが、
しかし、これでラテンアメリカ文化に触れたことになるのだろうか?
それよりも、さっきから聞こえている爆音は何だ?
暴走族か? キャノンボールか?
帰り道に巻き込まれたら嫌だなと思いつつ……
車で走ると、道でチェッカーフラグを振ってる兄ちゃんが多数。
その背後の看板に、GRAND PRIX PARKING $25.00 の文字が。
そうか、レースか。
兄ちゃんは、沿道の店が空き地を利用して仕立て上げた即席臨時パーキングの呼び込みか。
これは征かなくてはならんな。 そう、征くんだ。 征け、勇気をだして!
ひとりで。
翌早朝、ロングビーチに再突入。 写真は朝もやに霞むアラミトス(Alamitos)ロード。
普段は直進すればコンベンションセンターや水族館に行ける道が、完全封鎖されていた。
写真は、コンベンションセンターと水族館へ行くときに使う公道 SHORELINE DRIVE だ。
今日だけは TOYOTA LONG BEACH GRAND PRIX のバックストレート。
入場料は、Upper Seat(上段席) $65.00、Lower Seat(下段席) $55.00、そして地べたで立ち見は$45.00 だった。
さすがにそれなりに高い。
写真の PINE AVE. にはアニメエキスポのときに利用する駐車場がある。
もちろん今日はレースコースになってしまっているので、立ち入り禁止だ。
メインレースは 12:30 からなので、それまでの時間は出店(多数)を覗いたり、コンベンションセンターでおこなわれている自動車ショーを見たり。
とりあえず、適当に飽きない。
レースクィーンがいないことが、残念。 あれはニポン文化だったのか。
当日のレースはダブル・イエロー・フラッグがでまくり。
ただでさえ90周もあるレースが、さらにいつもよりたくさん回ってますという状態に。
ゴールが 2:40pm くらいだったので、2時間強のあいだ車をただ見つめていたことになる。
写真に挑戦だ。
爆音が聞こえてくる。 カメラを構える。
車群がみえてくる。 シャッターに指をかける。
来た! パチリ!
……全然、写らない。 10回挑戦して皆無である。
教訓。 走っているレーシングカーを真横からオートフォーカスでデジカメに捉えようとしてはならない。
素人には、無理だ。
ハイアット・ホテル横の歩道橋から挑戦。
コーナー立ち上がり直後の斜めアングルならなんとか撮れることが判明。
観客席。 向こうに見えるのは水族館。 下に仮設トイレも見える。 俺はコンベンションセンターにいちいち戻ってトイレを使った。
背後には屋台の群れが。 といってもバーガーやホットドッグやプレッツェルだが。
たこ焼きが食いたい。 たい焼きも捨てがたい。
隣のマンション。
写真だとわかりづらいが、レース場側のベランダは、人が鈴なり。
アメリカ国旗も散見できる。
座席に陣取る。
最終ヘアピンを抜けてバックストレートに入る位置だ。
立ちあがりに不完全燃焼をおこして爆竹のようにハジケる音を立ててマシンが加速していく。
ピットの入り口もよく見える。
しかし、抜きどころでは無いようだ。
レース中に1台がヘアピンでスピンした他は、抜き抜かれのバトルをみることはできなかった。
中継スクリーンがあり、また古舘ばりのアナウンサーが面白おかしく場内スピーカで解説してくれるので、飽きはしない。
おぉ、モーレツっ!
ひとり、そんなことを考えながら、帰路につく。
駐車場の一番奥に止めていたために、車、だすことできず。
前に駐車している人はまだ、最終レースを見ているらしい。
泣きながら、また南米美術館へ。 時間潰しのため。
一度みた絵画を、1時間かけてさらにじっくり鑑賞。
……泣けるな〜(『酢メシ疑獄』)。
ぴよぴよロードショー新作シリーズ『漂流播磨』、予告編その3 完