ティーアイ君、AX2001へ行く〜その10〜
AX2001とは、The Internatilnal Animation & Comics Exposition 2001である。主催はSPJA(The Society for the Promotion of Japanese Animation)ってボランティアで運営されている団体らしい。今年で10周年である。要するに年1回のアメリカの聖なるお祭りである。夏と冬のアレを心待ちにしている人は推して知るべし。
ああぁぁぁっ、女神さまっ!、の巻
さぁ、祭りもそろそろおしまいだね、ティーアイ君。
「3時でビデオ上映会も終わっちゃったしネ」
ちょっと疲れたかな。
「じゃあ、Video1 ルームでチャリティオークションがあるみたいだから、そこで休もうヨ」
よしゃ!
……というわけで、冷房がきいていて座り心地のよいイスがある Video1 ルームへとやってきました。
「広いよネ」
こんないい会場を、しかも独立記念日休暇の週に借りることができるなんて、アメリカのオタク組織あなどれません。
……
「始まらないネ」
そうです、進行が遅れているのか開始予定時間になっても始まってくれませんでした。
「物販ブースにでもいこうヨ」
……い、いや、ちょっと待ち給へ。
「パルゥっ?」
こ、この音楽がっ……
「会場のBGMにアニメソングが流れてるネ」
俺の心を呪縛して離してくれんのだよっ!
隊長の心を鷲づかみにしたBGM
・オーガス(漂流〜スカイハリケーン〜 & 心はジプシー)
・クリーミーマミ(デリケートに好きして)
・サザンクロス(星のデジャ・ブー)
・キャッツアイ(デリンジャー)
・名探偵ホームズ(空からこぼれたStory)
「昭和を生きたオタクの心を直撃だネっ!」
なぜ俺はアメリカ西海岸で、クリーミーマミを聴いて涙目になっているのでしょう。
「懐かしい曲だもんネ。 いったい誰が選曲したのかナ?」
戦争なんかでさ、隠れている敵に降伏勧告するとき、その相手の故郷の歌を流したりするじゃない? "うさぎ追いしかの山〜" とか。
「四面楚歌なんかもその亜流だよネ」
俺の場合、クリーミーマミとかラムのラブソングで降伏しちゃいますっ、たぶん。
「(どてっ)」
……
とか言っているうちにオークションが始まりました。
「司会の人はプロかナ? テンポがよくてしっかりした進行をしてるヨ」
まえにも話したけど、こんな点でAX2001はプロの使いどころがうまいですね。
「安心感があるよネ」
オークションはお金がからむからね。 えっと、支払いは現金、チェック、あとカードもOKだってさ。
「JCBはいいのか、って質問がでたヨ」
だめでした。(笑)
「パルゥっ(笑)」
アメリカ人にはわからんでしょうけど、日本人の目からみたらナイス質問です。(笑)
「オークションが始まったヨ」
出品物は舞台上のカンバスに置かれます。 さらにそれをビデオ装置で映してスクリーンに拡大映写してくれます。
「さっきの写真で AX って文字がでてるところに映るんだヨ」
まずはセル画ですね。
「AIC とかがたくさん提供してくれたみたいだネ」
そうだね。魎呼, 阿重霞, 天地の3人が入った"天地無用!"のセルに $450- の値がついたのが大きなところかな。 そして……、でたっ、女神さまっ!
「映画版のセルだネ」
女神さまっ、映画版セル
・ベルダンディ $375-
・黒い女神さま(映画版まだみてないからオリジナルキャラ知らないんです、俺) $400-
・戦闘服の赤いベルダンディ $900-
・ベルダンディ,ウルド,スクルドが額を寄せ合っている場面 $1,300-
サーティーンハンドレッドですっ! セルで千ドルを突破しましたっ! 会場大拍手です。
「女神さまっ、の映画版は絵が綺麗だからネ」
他の作品のセルを遥かに引き離しています。いうなればシャーザク!
「3倍くらい値段が違うってことだネ」
他の作品で目をひいたものはといえば、"吸血鬼ハンターD"ですか。
「約2名のファンが値段を吊り上げ合って自爆してたよネ(笑)」
こちら、$650- と $750- の値がつきました。 でも俺、感心してます。
「どうしたノっ?」
俺が見て、いい絵だっ、と思うものはアメリカ人もくらいついてます。しょぼいものは値段がせり上がりません。
「それはアメリカ人の脳みそが隊長なみに腐ってきてるってコトじゃ……ぐはっ」
……俺の目が正しいとは言わないですが、アメリカ人オタクの燃え&萌えどころが日本人の感覚に近づいているということですっ。
「……隊長、痛いヨぉ」
アメリカ人にはアメコミの HAHAHAHAHA!!! ってな感じのヒーロー絵しか理解できないなんて思ってたら大間違いということなんだよ、ティーアイくん。
「パルゥぅ……、やっぱり脳みそが侵されてるってことだヨぉ」
その後もオークションは盛り上がりつつ進んでいきます。
「サイン入りのムックとか、ケロちゃんのシングルCDとかネ」
それらは $85- から $200- くらいの間の値がついていました。フィギュア類はあまり高値がつきません。まぁそんなものはマニアグッズ屋で買えますし。
「Tシャツなんかもでてたネ」
司会の人が "これは日本人サイズでLだから、アメリカ人だとSだな" というお約束のギャグをかましてくれます。(笑)
「重要な商品情報だもんネ(笑)」
そしてっ、ああセルが一番の見所だったなそろそろ終わりかなと油断をしていたそのときっ、でてきましたっ!
「ゲストの方々が AX2001 のために書き下ろししてくださった直筆カラーイラスト色紙だヨっ! パルパルゥっ!」
・アベ-san "X" のイラスト色紙 $1,500-
「いきなり高値更新だヨっ!」
・アサミヤ-san のイラスト色紙 $1,900-
またまた高値です。 麻宮騎亜先生は公式Tシャツのイラストでもがんばってくださいましたっ!
・アベ-san のCCさくらのイラスト色紙 $1,400-
これは出品されたとき会場前方がちょっとどよめきました。
「まずカンバスに載せられるからそれが見える会場前方から波がくるんだよネ」
そう。(笑) そしてスクリーンに映しだされてから会場全体がどよめくと。
「さくらちゃんと小狼君がフィルムの上にのって空を見上げてる、って感じのいい構図だったヨ」
俺の感覚では、そのどよめきの大小がはっきり絵の燃え&萌え度と比例してました。 アメリカ人はニュータイプに近づいています、覚醒しそうです。(笑)
「あっ、こんどのどよめきはもっと凄いヨ」
・真宮寺さくらのイラスト色紙 上半身微笑の図
一発目、$2,000-の掛け声がでましたっ!
「パルゥっ! アメリカの藤島パワー炸裂かナ?」
いや、それもあるでしょうけど。 たぶん コジマ-san の色紙だと思うのですが、俺がいままでの人生で見た真宮寺さくらさんのなかでも、このイラストは3本の指に入りますっ!
「微笑み具合とか角度とかが絶品だったよネ」
最終的に、$3,400-で落札されました。 アメリカ人、お目が高いっ!
「隊長っ、次のどよめきも凄いヨっ!」
・カワモト-san のビバップのイラスト色紙 $4,000-
・カワモト-san のガンダム0083のイラスト色紙 $4,500-
あっさり新記録です。 アメリカでのビバップ人気の高さを物語っていますっ! イラストも格好いいです。
「"ビバップ"はスパイク&フェイ、"0083"はニーナ&コウだったヨ」
撮影の人も、会場からのリクエストに応えて、女性キャラ部分を拡大してスクリーンに映してくれたりして、もうツボをわかってらっしゃいます。(笑)
「パルパルゥっ」
と、そのときっ!
「アナウンスの人が "次はミキモト-san のスケッチブックです" って言ったんだよネ」
まだカンバス上に出品されていないのに、会場に鯨波が轟きましたっ!
「有名なんだネ」
名前だけでイッちゃってますっ!
「カンバス上にでてきたのは普通のスケッチブックだったよネ」
ところがところが表紙をめくると、でたっ、最終兵器リン・ミンメイっ
「横向きで手を前に伸ばして歌っている、最終戦闘形態のカラー全身像イラストだったヨ」
また沸き起こるどよめきっ!
「もはやこの構図は反則すれすれじゃないかナ?(笑)」
ミンメイはゼントラーディではなく、アメリカにダイダロスアタックをかましたようです!(笑)
・ミキモト-san のミンメイのイラスト付きスケッチブック $4,000-
俺の感じでは、会場がビビってしまって競り上がりが激しくならなかったようです。 でもこのお値段です。 いや、それだけの価値はあるかもっ!?
「そろそろおしまいかナ?」
そろそろだろうね……ん?
「パルゥっ?」
・ベルダンディのイラスト色紙 たぶんマツバラ-san
「パルゥっ、女神さまだヨっ!」
競りが、ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
ヒートアップ!
そして、
落札価格……$10,000− でしたっ!
「パルゥっ!」
でたっ、テンサウザンドっ! 会場 割れるような拍手ですっ!
「イラストも素晴らしかったヨ」
そして$10,000-きっちりで競り上げをやめた参加者の方も、なかなか演出を心得ています。憎い心意気です。
「でも$10,000-はすごかったネ」
さらにロサンゼルス郡(カウンティ)の消費税 8% が上乗せされます。(笑)
「パルゥっ!」
ここで今日まなんだことは何だかわかりますね?
「パルゥっ……アメリカでは、」
アメリカでは?
ああっ、別格ですぅ 女神さまっ!(笑)
………
………
………
「たぶん、AX2001記念イラストってとこにも値打ちがあるんだネ」
そうだね。 だからヨコシマな考えで日本から女神さまの色紙をもっていっても、そんなに高く売れないと思うよ。
「パルゥっ。 隊長も競りに参加したらよかったノに」
いやいや、見ているだけで十分に満足ですよ。拍手もいっぱいしたし、楽しかったし。
「そうだネ」
あと、せっかくAX2001で出品されたんだから、文化財としてアメリカにおいておきたいしね。俺が競り落としたら日本にアメリカの文化財が流出しちゃうことになるだろ。
「奥が深いんだネ」
………
………
………
おまけコーナーっ!
「パルゥっ、ちょっといいセリフでオチをつけたんじゃなかったノ?」
だって今回は写真が少ないでしょう?
「写真撮影禁止だったからネ」
だから、ちょっと色を添えてみますっ!
"AX2001その5" でご紹介したダーティペアのアメコミの中身です。結構イケてるでしょ?
「隊長、ハマったネ(笑)」
つづくっ!
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