聖夜スペシャル
第八章 日本の島々


 九州の思ひ出。

 九州に上陸、修学旅行の別府めぐり以来です。
 新幹線で博多まで、それから在来線特急で大分までやってきまし
た。博多駅で買う小魚が入った駅弁が美味くて、いつも楽しみでし
た。
 大分には飛行機でも行ったことがあります。大分空港から市内ま
ではホバークラフトで海を渡って行きます。ブーン。風が強い日は
運休になります。台風か何かで大風が吹いているときに運行して、
風にあおられれフワッと浮いて180度転覆したことがあったから、
という噂をききました。さすがホバー空中浮遊マシンです。
 大分ではあまりフラフラしませんでした。一度だけ、大友宗麟の
史跡を訪ねて臼杵に行ったのですが、石仏がいっぱい鎮座されてい
ただけでした。大友家は古になりにけり。
 終わり。

 四国の思ひ出。

 鳴門、徳島に強襲上陸。
 空軍コースだと、伊丹空港から1時間弱です。今は無きJASで
す。しかもYS機です。プロペラが回ってます。風が吹くとガック
ンガックン揺れます。1時間の空旅で空酔いして死ぬ思いをしたの
はこれが初めてでした。でもペラだからなんだか飛んでる実感がす
るのでいいなーと思ってたのですが、パイロットになった同級生に
話をきくと、YSは操縦が難しいらしいです。完全自動制御のジャ
ンボのほうがよっぽど着陸が楽だとか。桑原桑原。
 
 海軍コースだと、大阪港から高速艇がでていました。水中翼船と
いうやつですね。これで鳴門まで2時間くらいでした。ブーン。ま
さに飛んでるように走ります。波が高いときなんかは水面飛行する
ような感じでかなり気持いいです。酔いますたぶん。
 残念ながらこの海軍コースは、明石海峡大橋ができて高速バスが
開通した瞬間に廃止になってしまいました。残念。

 陸軍コースだと、その高速バスです。JRだと瀬戸大橋経由にな
るので時間がかかって仕方ありません。その点、高速バスは早いで
す。時速100kmでかっ飛ばしてくれます。上陸はナシですが、
いちおう淡路島めぐりもしたことになります。ふるさと創世資金で
1億円ののべ棒を買った市も通り過ぎます(観光の旗がみえます)。
乗車ポイントも神戸学園都市、三宮、大阪とあって、なかなか便利
です。問題はときどき満員で乗れないときがあったことくらいでしょ
うか。

 徳島では生卵をのせた濃厚な徳島ラーメンが美味かったです。あ
れはかなり変わった味のラーメンでした。友人が赴任していたころ
に伺って、「ドイツ館」とか「メリー牧場」とか「八十八箇所めぐ
りの第一札所」とか、いろいろパラダイスに連れていっていただき
ました。
 鳴門では渦潮! といいたいところですがそういうベタなところ
は遠慮して、美術館に行きました。大塚陶板美術館といって、地元
の大塚製薬系列の会社がたぶん開発したかなにからしい陶板印刷技
術(お風呂のタイルのような質感です)を駆使して、古今東西の絵
画をテカテカの陶板(タイルといっても巨大です)にプリンティン
グして再現しまくったものを美術館にしてしまいました、という凄
まじい企画です。と聞くとイロモノのようですが、これがまた突き
抜けています。すべての絵画を実物大で模造しているので、畳み何
個分のような大きさの美術も思うままに堪能できます。イタリアの
教会の天井画もそのまま再現してます…つまりそのままの礼拝堂が
再現されているのではるか上空の絵画を見上げて楽しむことができ
るというなんとも贅沢ことです。古代の陶器の破片も再現してます、
というかそれは絵画じゃないじゃないですか。
 いはやは、ここは最低3時間コースですよ。山中の要塞のような
広い美術館ですので、興味のある方はいかがでしょうか。
 終わり。

 北海道の思ひ出。

 道東の釧路に行ってきました。真夏、お盆のシーズンです。皆様
がお休みのときにお仕事をするというお仕事もあるというような、
そんなメンテナンサーチックなことをやっていたのです。
 真夏です…寒かった。
 びっくりです。商店街の温度計が15度を示しています。これが
年間で最も暑い季節の温度なのですよ。さすが北海道のしかも東部。
いつものごとく、釧路駅からホテルまで歩いて迷って1時間かかっ
たのですが、地元の方から「冬だと死ぬから絶対にタクシーに乗っ
てくれ」と言われました。うー。
 釧路はもうお勧めです。この温度を体感するだけでも価値があり、
またメインイベントである沼めぐり丹頂鶴ツアーには行ってない僕
が大満足したのですから、間違いありません。
 必ず港めぐりの遊覧船には乗りましょう。大量のカモメを間近で
観ることができます。風がとても気持ちいいです。真夏なのに凍え
そうな風、そして陸地に見える倉庫のつらなりが、気分をハードボ
イルドにしてくれます。また港のそばには綺麗な物産販売の施設が
あるので、そこでカニとかウニとかを堪能できます。カニならば、
売り場で試食もしきりと勧めてくれます。これが凄まじく美味い。
シーズンとしてはお盆あたりが花咲ガニのシーズンなので、その頃
がベストですね。
 あと、カニやウニならば、駅近くの朝市も必見です。朝6時頃に
出撃すると、取れたての切り身を1つ単位で売ってくれます。そし
てご飯も売っているのでそれに乗せてもらってその場で食べます。
極上です。僕はアメリカに3年ほど住んでいたのですが、おそらく
全米の美味いものをすべて集めても釧路の食には勝てません(ア
メリカと比べること自体が間違っているのかもしれませんが)。そ
のくらいの美食っぷりです。カニですよ、カニ。ウニは釧路よりも
もうちょっと東が本場らしいです。でもウニ丼も安くて旨いですよ。
 
 そうそう、お盆のシーズンには千灯祭という、夜に屋外で蝋燭を
灯しまくって慰霊をするというイベントがおこなわれます。夏の北
海道の夜空の元、揺れる無数の蝋燭の光。ルミナリエなんかよりも
遥かに幻想的です。そして何より有り難いのはその蝋燭の炎で身体 
が暖められることです。なんせ真夏なのに夜は寒いのですよ。これ
こそ日本のベストオブ慰霊だ、とそう感じました。 

 ……その夜、大輪の花火も見ることができて、釧路、最高でした。
   また行きたいです。誰かを連れて。
   
 (その誰かって誰なの?)

 ……えと、この世の誰でもない1/6サイズのあなた、なんて。

 (ユキちゃん、人生いろいろね)

 ……はい、いろいろです。

 (じゃ、いちおう聞いてあげるけど、次はどこなの?)

 ……札幌と、タイかな?

 (もう支離滅裂ね)

 ……人生、支離滅裂。モルドールの十三不塔です。