飲み会-中忍篇-



 床に頭を打つ、と目を瞑ったが、感じたのはふうわりとした優しい感触。
「…え…」
 ゆっくりと目を開けると、見慣れた、優しい笑顔。
「今晩は。イルカ先生」
「…カカシ…さ…先生」
 いつも通りに呼びそうになり、慌てて直す。頭を撫でられたままで何とか見回すと、アスマ・紅・ガイといった、いつもの上忍師仲間が揃っていた。
 茫然としていると、アスマが遠回しに合コンを指摘し、それを同僚達が調子よく否定するのが聞こえ、微かに眉を寄せる。
 同じ上忍なら、カカシ達の方が『条件が良い』のは理解出来るのだが。流石にむっとする。
 宥めるように動く手に絆されてしまうけれど、その辺は、主張気味にカカシの服の裾を掴むので我慢した。
「…助けに来たよ」
 他の三人が同僚達を巻き込んで一緒に飲もうと誘っている間に起こされ、耳許に囁かれる。
「…助かりました」
「ん」
 安堵の息を吐いた所にアスマが現れ、カカシの横に座る。幾つかの問答で何かを察したらしい彼は、苦々しそうに紫煙を吐き出した。
「…ったく…。良かったな、イルカ。旦那が帰って来てよ」
「…あ、はい」
 苦笑するアスマに、この夜、初めての営業用以外の笑顔を浮かべる。
「何の話?」
「何でもねぇよ」
「ひっどいわねぇ。…ねぇ、イルカ先生、明日はアカデミーなの?」
「いえ。お休みです」
「本当?じゃあさ、明日、うちの子達の演習見に来ない?」
「お。いいな。ちょうど明日は三班合同だしな」
「良いんじゃない?最近、イルカ先生が受付外れてるから、ナルト達が元気なくて」
「…良かったら」
「ありがと!あの子達喜ぶわ」
「はい」









「…あの、カカシさん」
「んー?」
「助けてくれてありがとうございます」
「どういたしまして」
「明日こそ、一緒にご飯食べましょう」
「…じゃ、明日は任務キャンセルするよ」


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