「…だってよ」
先に行った仲間を追いかけて走り去ったシカマルを遠くに眺めながら溜息を吐く。忽然と現れた気配は複数で、どれも暗部面を着けていた。
「えー。下忍に気付かれてたって事?」
「…ありゃ、予測してたって感じだろ?疑問形だったし」
困惑気味の声に苦笑が返る。シカマルが彼らの気配に気付いていた筈はない。事実、あの少年は明後日の方を向いて喋っていたのだから。
それが意味するのは唯一つ。
初めから、自分達(主に七班)が見守られているのを予測していたと言う事だろう。
「…流石は奈良上忍のご子息」
「あ、侮れねぇ」
他の子供達より多くの情報を持っているとはいえ、その慧眼には感服するしかない。
「それはそうと、隊長は?」
「そろそろお帰りになると思うぜ。連絡鳥来てたし」
「じゃあ、まあ、説得力倍増だよなぁ」
「いや。それにしても、手段選ばねぇな」
盗み聴いた、彼らの作戦に笑い合う。
大雑把にして大胆不敵。臨機応変でありながら緻密。何より、自分達の特性を生かした、悪戯と紙一重の行動。
協力を仰ぐ大人は勿論、その場に居合わせるだろう大人を巻き込む事すら前提されているそれには、苦笑しつつも脱帽してしまう。
「先が怖いな」
「将来有望って言ってやれよ」
「有望って言えば、サクラ嬢もじゃねぇ?」
「頭脳明晰。記憶力抜群。アレで忍の家系じゃないってのが逆に素晴らしい」
「それ言ったら、総合力では山中上忍のお嬢さんも見逃せないぜ」
「日向のご息女も、あの身のこなしは才能有と見た。性格は大人しいけど、将来絶対化ける」
「油女のも、あの年齢であの沈着さは凄い。着実に伸びる」
「犬塚の、あの身体能力もイケル。忍犬との相性も良い」
「俺は秋道上忍のお子さんイチオシ。バランス感覚が良いよ。後は敏捷性かな」
「御子方は言うに及ばす。…っつーか、何たって可愛い」
アカデミー時代の教師の所為か、はたまた親馬鹿集団の所為か、あの新米同期下忍は全員、根が素直で可愛いのだ。能力もさることながら、性格で下忍試験を通過したのではないかと思ってしまう程に。
「…あの世代、美味しすぎる」
「マンツーで指導したい」
「あー。それいい」
「隊長帰って来たら相談してみよーぜ」
「その前に受付所だろ」
「…まぁ。出番はないだろーけど」
「もしもがあるから」
「行くか」
フォロー半分、見物半分、子供達の後を追った。
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