雷切真話




「やっばいなぁ。三代目に叱られる」
「あー?写輪眼封じられたからか?」
「そんなの、手順憶えてるし、里ですぐ解呪するから平気」
「…化けモンだな、お前」
「失礼だね」
 骨も残さず、綺麗に薙いでしまったモノは仕方がないと、現場を放棄して帰里途中(任務そのものは成功している)、ぼやくカカシを気を持ち直したアスマが揶揄う。
「しかしな、カカシ」
「何?」
「…お前、写輪眼封じられてからチャクラ量増してないか?」
 間近で感じるチャクラ量が通常の倍近くに感じるのだ。
 能力は別として、元来、カカシのチャクラ量は上忍としては並程度。この量は不自然である。
「あぁ、うん。あのね」
「あ?」
「俺のチャクラ、基本的に負荷が掛かってんのよ」
「はぁ?」
「全体の五割を里の結界、三割を『不使用状態』の写輪眼に取られてるから、いつもは二割程度で行動してるの」
 パワーリストやら何やらと同じ効果が出るよ。
 無駄に爽やかにそう続けるカカシに、開いた口が塞がらない。画期的過ぎるチャクラ訓練法に、頭は理解するが、心が納得しない。
 忍術を使わない、常態でチャクラを八割使用しているなど、普通の忍なら行動にかなりの制限がある筈なのだ。
 にも関わらず、カカシはその状態ですら超一流なのである。つくづく化け物染みている。それとも、三忍や二人の火影に馬鹿丁寧に育てられるとこうなるのだろうか。
(※アスマは上記の伝説の忍達を、自らの父親を含めて、化け物だと信じている)
「…って事は…」
「写輪眼封じると、今度は逆にチャクラの負荷が外れてね。『雷切』呼ぶのとか、凄い楽なんだよね」
「化けモン」
「えー。だって、普通よりちょっと多いだけのチャクラじゃ不安だったから、増やす努力してるだけだぁよ?」
「そもそも増やす必要があんのかよ」
「『雷切』って神刀だし、振るうのに並の量だとかなりの過負荷になるの。それに、用心為にもナルトより大きなチャクラになりたいし」
「…九尾封じか」
「あの子には平穏無事に生きて欲しいのよ」
「…まぁ、納得してやるけどな。ったく、本当に隠し玉が多いな、お前は」
「アスマは知ってる方だって」
「全然、嬉しくないのは何でだろーな…」
「…んー…」



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