雷切真話




「…あ」
「何だよ」
「写輪眼封じられた」
 戦闘中、刹那の隙に敵の術が完成したらしい。
 視界の片隅に置いておいた、後衛の敵忍の印が組み上がった瞬間、ジワリと空気を辿る如く、微かなチャクラがカカシの写輪眼に襲いかかった。
「…ふはははは!はたけカカシ敗れたり!」
 術を練り上げた忍は既に姿を消し、鬨をあげるのは相対する忍の中の頭だろう。その、あまりにもお約束的な高笑いに、アスマか面倒臭そうに溜息を吐き、カカシも微妙な表情で視線を逸らす。
「…敗れたらしいな、お前」
「…そうみたいね」
 くく、と低く笑うのに肩を竦め、周囲を窺う。
 二人を相手しているにしては、有り得ない程の数が潜んでいる。ビンゴブック掲載の忍を二人相手取った所為か、数を頼みにしたのは理解出来るが、それでも足りないと言って良いだろう。
「写輪眼さえ封じれば、はたけカカシなぞ怖るるに足らず!今日こそその首貰おうか!」
「…だってよ」
「…アスマ。自分が呼ばれないからって僻まないでよ」
「ばーか。誰が僻むか」
 じわりと包囲網が縮まるのを確認しつつ、上げていた額宛をくいと写輪眼に被せ、常態に戻す。
 刹那、こぽりと体の奥から何かが湧き出す音がする。
「…カカシ」
「ん〜。よく写輪眼を封じ込めたな、て感心してたのよ」
 こんなのは、三忍レベルの超高等忍術である。
 言ったら悪いが、今、目の前に居るヤツらでは到底開発不可能と言って良い。
「…くくっ。大蛇丸様の御技に不可能はないわ!写輪眼さえなければ、コピーした術も唯一無二の技も一切使えまい。覚悟しろ!」
「大蛇丸ぅ?そんな大物がついてたのかよ」
「成程。…見捨てられたね、アンタ達」
 一瞬、目を見開くアスマを横目に、薄く笑う。あの、大蛇丸がそう簡単に格下に『超高等忍術』を教える訳はない。ましてや、あの御仁は『カカシの事情』をよく知っている。
 …となれば。
 始末を押し付けられたに相違ない。
 仕方のない元保護者に苦笑し、横でのんびり煙草を銜えなおすアスマを振り返る。
「アスマ。下がってて良いよ。見せてあげる」
 ふわりと、気配が変わった。


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